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多摩動物公園に行った話 その2

その1はこちら。

カワセミを見た俺と妻は、南へ下ってコアラ館の中へ。
薄暗いその中には、フクロモモンガとかフクロキツネもいて、超ラブリー。
前座みたいな扱いの有袋類の小動物を見ながら奥へ進むと、広くて明るいコーナーが。
メインのコアラエリアだ!

流石に人だかりができているが、多摩動物公園のコアラ館は、ガラスがとても横に長くて大きく、滅多なことでもなければ、所々隙間が開いているので、コアラは見られることと思う。

更に、多摩動物公園のコアラ館は、餌のユーカリを交換する時間が一般公開されており、それが一つのメインイベントにもなっているのだ。
なっているのだ、て俺もその日初めて知ったんだけど。
更にコアラ館に入ったその時間は、丁度その日のユーカリ交換の時間だったのだ。
道理で平日なのにやけに人が多いと思った。

職員さんたちがユーカリの枝を抱えて、入ってくる。待ってました!
それまでは枝の上に頭を埋めるように動かなかったコアラたちも、待ってました、とウロウロし始める。
ユーカリの交換どうやるのかな、て思ってたら、なんと、コアラが身を寄せている枝を有無を言わさずに引っこ抜きはじめたではないか。
強制退去だ!
寝床を奪われたコアラたちは呆然と他の枝の上で、表情も変えずにユーカリを引っこ抜く職員さんたちを眺める。
大陸に移住してきた人類に瞬く間に自然を奪われたオーストラリアの悲しい過去を思い出しているのだろうか。
んなわけない。
その証拠に新たなユーカリが植えられた瞬間、即座にそちらに移動し、「新しい葉っぱだありがてえ」ともぐもぐし始めてた。
というか、こんなに動くコアラ初めて見たかもしれない!
皆さんも、動くコアラの可愛さを堪能したかったら、多摩動物公園のコアラ館の、ユーカリ交換の時間に見に行こう!

コアラ可愛い、と満足したので、コアラ館を出て、ワラビーたちのゾーンを回りながら、階段を降りて虎とご対面。

この虎がまた、サービス精神旺盛なのか、広い虎舎をあっちこっちへウロウロ動いてくれて、シャッターチャンスが取れないほど!
そして虎ってやっぱり美しいな。

更に降りて、シフゾウとニホンカモシカを見に。

その途中の広場に足を踏み入れると、遠くに何かが見える。

なんだあれは……?

なんなんだ……?

孔雀が放し飼いにされとる!

周りに職員さんの姿は全く見えず、というか、他に客もおらず、自分たち以外の誰も、この自由な孔雀を目撃していない。
まさかこれは俺と妻にしか見えていない幻の孔雀?
ヤットデタマンのジュジャク?
きらめく鳥ジュジャクは多摩動物公園?

後ほどわかるのだが、多摩動物公園では、三羽の孔雀を放し飼いにしており、全部見つけられるかな? みたいな面白企画をしていたのだった。
でも、その時はそんなの知らなかったから、マジでどっかから逃げ出してウロウロしてんじゃないか、と不安になったのだった。

そのまま南に下りてムフロンとヒマラヤタール。

ムフロンの雄同士の戦いの様子がイラストで説明されてて、ムフロン舎の職員さんもなかなかふざけてるな、と感心してしまう。

そして再び北に登り、コアラ売店でお昼ご飯。
カレーと焼きそばという、ジャスト売店飯! というメニューに舌鼓。
そこの休憩所で、多摩動物公園のライオンバスがもうすぐお別れ、という事実を知る。
ライオン舎の建物が耐震工事のためリニューアルするらしく、しばらくバスツアーがお休みするらしいのだ。

よし、今後ライオンを見に行くぞ、と心に決めて、休憩所を出て、アジアゾウへ。

三頭の象がいて、年寄りの象は一頭上に隔離されており、下の広いところには若い雄と雌の象が一頭ずついた。

象の鼻ってやっぱり長いな、と、同時に、雄の象の股の下もぐんぐん伸びているのが目に入る。

あれ? 象の股間って、常にあんなに鼻と同じくらい長かったんだ?
と、思ってたら、あれよあれよという間に、雄の象が雌の象の背中にまたがり始めたのだ。

発情してらっしゃる!

嫌がって走って逃げようとする雌の背中に走って追いかけてガンガン乗りかかろうとする雄の姿を見ながら、妻と二人で光速で引いていく。でかい動物が二頭走ってるだけでももう怖いし。
親子連れもいたし、若い四人組のダブルデートみたいな人々もいたが、全員が同じその悪夢のような巨大生物の交尾を寒空の下見せつけられたのだった。
多摩動物公園すげえ。
凍てついたような、もしくは伊勢志摩あたりの秘宝館のような、その場の空気を和やかにしたかったのだろう、ダブルデートの若者の男の子の一人が、「すげー勃起してるぞ!」とはしゃいでみていたが、そんなのは一目瞭然だったので、場の空気は一ミリとも変わることは無く、彼の明るいその声は、象舎の色あせたコンクリートに反射し、そのまま抜けるような青空へ吸い込まれていった。

固唾を飲んで客たちが象の交尾の顛末を見守る中(職員でもないくせに)、やがて雄の象は気が済んだのか、始末させたのか、すっかりなんでもないような様子で雌から離れていき、雌も安心したようにゆっくりと動き出した。
雄の股間は、初めから何もぶら下がってないかのような落ち着きを見せていた。
やっぱり象の股間は、常に鼻みたいに長いことはなかったです。

物凄い濃いものを見せられて、多摩動物公園のサービス精神にすっかりやられながら、カンガルー舎へ移動。

カンガルーは可愛いなあ。トナカイは立派だなあ、と心を癒しながら、更に南へ下りながら、ライオンバスのある、アフリカ園へ向かうのであった……

続く。

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