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ガスが停まっていた話

先週末、山口県へ仕事で行っていたのだが、帰ってきたらガスが停まっていた。

山口県なんかに行かなければ……!
と、いうことは勿論一切なくて、単純に俺が料金を支払い忘れていたのだった。

うっかりしていた。すぐに払って開栓し直さなければ!
と思うのだが、その場では手持ちのお金が足りなかった。

ガスは一度停められてしまうと、滞納分全額払わなくては開栓してくれないのだ、と知る。

幸い、あと二日でお金が振り込まれる段取りになっていたので、妻に
「申し訳ないけれど二日だけ水をうまいことやりくりしながらなんとか過ごそう」
と提案した。

「文明に頼らないロハスな暮らしって現代人が失いかけていた大切な何かを取り戻せそうだし!」
とは、提案しなかった。
絶対に怒られると思ったからだ。

で、火を使わない生活を二日ほど過ごすことになってしまったのだ。
しまったのだ、て、お金払ってなかった俺がクルクルパーなだけなのだけれど。

電気は通じているしお水も出るので、ポットでお湯を沸かすこともできるしお米も炊ける。電子レンジだって使えるので、食べ物に関しては何も不自由なく思えた。

問題は入浴なのだが、これは、ポットで沸かしたお湯を水で適温にして、浸したタオルで体を拭く、という方法で乗り切ることにした。

大学卒業直後、風呂なしのアパートに住んでいた頃によくやっていた方式だ。
厳密には入浴でもなんでもないので、体の疲れはとれないが、皮膚をさっぱりさせることはできるし、それだけで結構生まれ変わった気分になれる。
傷ついた兵士の身体を野戦病院で拭いてやるナイチンゲールに想いを馳せることも容易い。
(現実は金を払い忘れた中年が垢を拭いているだけ)

頭を洗うのは、水で我慢した。
危ないところであった。これがもう少し気温の低い日であればたちまち風邪をひいてしまう。
しかし、今は幸いなことに気温は穏やかだ。日中は暖かい。
水で頭を洗うくらい、特別なことでもなんでもない!
そもそも、お湯だって、冷めれば水じゃないか!
と、妻を元気付けるような戯言は言わず、ただただ「ごめん」と頭を下げた。

こうしてガスのない二日間をなんとか勇気と知恵と言い訳で乗り切り、ようやくガス代を支払って東京ガスに電話をして、我が家にガスは再供給されることとなった。

今後も、似たような困難が我が家を襲うかもしれない。
だが、そういう時こそ、知恵と勇気で乗り越えていく強さを身につけることが必要なのだ。

取り敢えず、つい先ほど、明日から水道が停められてしまうという葉書を、郵便受けの奥から発見した。

次なる困難は早くも目前に迫っているようだ。

#雑記

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