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【しゅうくんとベジタボーキングダムのなかまたち】
しゅうくんは にんじんが だいすきです
ごはんのおかずに にんじんがでてくると
いつも おおよろこびです
でもどうしてだろう?
ごはんにでてくる にんじんは
スーパーにならんでる にんじんとは
みためが ぜんぜん ちがうのです
きょうも しゅうくんが
いつものにんじんを たべながら
ふしぎだなぁと かんがえていると
とつぜん どこかから
だれかの こえが きこえてきました
「しゅうくん
キミはとても いいところに きがついたね!
しゅうくんが ふしぎにおもっていることの
こたえを ぼくが おしえて あげよう」
とつぜん あらわれた
にんじんみたいな おじさんのすがたに
しゅうくんは びっくりしすぎて
こえも でません
そんなしゅうくんには おかまいなしに
にんじんみたいなおじさんは
はなしをつづけました
「ぼくは ベジタボーキングダムにすむ
にんじんのようせいさ
『にんじんマスター』ってよんでくれよ
いまから ぼくたちにんじんが
どうやって おいしくヘンシンするのか
じゅんばんに せつめいするよ」
にんじんマスターとなのるヘンなおじさんは
はりきって せつめいをはじめました
「ぼくたちにんじんは ほそく きられて
ごまあぶらたっぷりの フライパンのなかで
パラパラゴロゴロ まずは うんどうするのさ
それからフタがしまると ゆっくりゆっくり
やわらかくなるまで おやすみタイムだ」
「ぼくらが しっかりやわらかくなったら
しょうゆがチョロチョロ なかまいり
そうして しゅうくんが たべてる
いつものやつに ヘンシンかんりょう!
とゆうわけさ」
それからにんじんマスターは
しゅうくんにむかって
こう しめくくりました
「そうやって ぼくたちをヘンシンさせてるのは
しゅうくんの おかあさん なんだぞ
しゅうくんの おかあさんは まいにち
ぼくたちベジタボーキングダムの なかまたちを
だいどころで おいしく
ヘンシンさせている というわけなのさ」
「べ…べ…ベジタボーキングダム…
それってナニデスカ?」
しゅうくんが おそるおそるたずねると
にんじんマスターは まってましたとばかりに
とくいげにこたえました
「ベジタボーキングダムってのは
やさいの おうこくさ
ぼくたち にんじんの ほかにも
いろんな やさいの ようせいたちが
くらしているんだよ」
「ええ そのとおりですわ
ワタクシたちも
そんなベジタボーキングダムの
なかまですのよ」
こえとともに とつぜん あらわれたのは
あなぼこメガネに フシギなあたまの おばさんでした
しゅうくんは びっくりしすぎて とびあがってしまいました
そんな しゅうくんには おかまいなしに
フシギなおばさんは じこしょうかいを はじめました
「はろう しゅうくん
ワタクシは レンコンのようせい
『マダムレンコーン』よ
よろしくね」
「しゅうくんの だいすきな レンコンチップが
ワタクシたちからできているってことは
しゅうくんも ごぞんじよね
そんなワタクシたちが どんなふうに
レンコンチップにヘンシンしてるとおもう?
しゅうくんのおかあさんが
ワタクシたちレンコンにかけているマホウを
こっそり おしえてあげちゃうわ」
マダムレンコーンは
できたてやまもりのレンコンチップをとりだすと
レンコンがレンコンチップにヘンシンするせつめいをはじめました
「ワタクシたちレンコンは
まず ひみつへいきで
うす〜く スリムにしてもらってから
たっぷりのあぶらがグツグツしてる
あつあつの おなべにダイブして
パチパチうつくしく およぐのよ」
「こんがり カリッと きつねいろになったら
レンコンチップにヘンシンかんりょうのサインよ
でもね うすくスリムになったワタクシたちは
かずが すごく たくさんになるから
しゅうくんのおかあさんが ひとつひとつ
レンコンチップになったワタクシたちを
おなべから とりだすのは
とても たいへんなシゴトなのよ
つまり おいしくするマホウってゆうのは
とっても てまがかかるものなのよ
だからたいせつに たべてちょうだいね」
マダムレンコーンのことばに
どこかからだれかが こうつづけました
『そうよそうよ あたしたちのことも
いやがらずに たいせつに たべてほしいわ』
「あたしは 『ブロッコリンダ』
ブロッコリーのようせいよ」
「あたしは キャベツのようせい
『キャベツィーギー』 よろしくね」
またまた とつぜん あらわれた ヘンなひとたちに
しゅうくんはもう おどろきません
だって どうやら
やさいというものには
ようせいが いるらしいのだから
それにしゅうくんは ブロッコリーもキャベツも
すきじゃないので
このふたりのことには
あんまり キョウミがありません
「わかってるわよ
しゅうくんは あたしたち みどりいろのやさいが
にがてなのよね
だから しゅうくんの おかあさんは
あたしたちに ミジンギリのマホウをかけるのよ」
と ブロッコリンダがいいました
「そうそう わたしたちが みつからないように
いろんなところに そっとかくして
おいしくしちゃうのよね」
と キャベツィーギーも
とくいげに ささやきました
「そのとおりじゃ!
わしらのことも ちいさくちいさく
してくれとるのじゃよ
しゅうくんが たべやすいようにな」
またまた とつぜん
どこかから だれかが
はなしにくわわってきました
「あ わしは ねぎのようせい
『ねぎじぃや』 じゃよ」
「ときどき おみそしるに はいっている
しろい てんてんは このわたし
えのきのようせい 『エノキング』であ〜る!
わたしは このベジタボーキングダムの
おうさまでもあるのだよ
おうさまなのに おみそしるには
とってもちいさくなって はいっているから
のこさないで ぜんぶ たべて ほしいのであるよ」
フシギななかまが どんどんでてきて
さいしょはびっくりしていた しゅうくんも
いつのまにか
だんだん たのしくなってきました
『ねぇ しゅうくん
いろんなやさいと なかよしになって
たくさんたべて げんきいっぱい
おおきくなろうね!』
『ねぇ しゅうくん
こんどスーパーにいったら
ぼくたちベジタボーキングダムのなかまたちを
さがしてみてね
しゅうくんに きづいてもらえるように
みんなで てをふって まってるからね』
(おしまい)
【おまけの朗読バージョン】(音声だよん)
【おまけのおまけの紙芝居バージョン】(動画だよん)
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