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紙芝居「たこくんのはさみ」

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ある日 たこくんは考えた。
「いったいぜんたい どれが手で どれが足なんだろう?」

たこくんが 海の底で考えていると そこへ…


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カニくんが通りかかった。
たこくんは カニくんに聞いてみた。
「ねぇカニくん。きみは手と足をどうやって見分けているんだい。ぼくには どれもみんな同じに見えて 全然わからないんだ」
カニくんは 笑って答えた。
「そんなの決まっているじゃないか。はさみが付いているのが手で 付いていないのが足さ!」

なるほど…と たこくんは思った。

「でも どうしてぼくには はさみがないんだろう…。はさみさえあったらなぁ…」

そこでたこくんは はさみを探すことにした。
深い海の底をズンズン泳いでいくと…。


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あったー。
たこくん 大喜び!


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でも ちょっと違うみたい。
ヒトデだね これは。
別のを探そう。

たこくん ズンズン泳いでいくと…。


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あった あったー。
たこくん また大喜び!


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でも でも ちょっと違うみたい。
さかなだよ これは。
別のを探そう。

たこくん ズンズン泳いでいくと…。


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あった あった あったー。
たこくん またまた大喜び!


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でも でも でも ちょっと違うんじゃないか。
サンゴだよね これは。


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そうそうはさみなんて おちてるもんじゃない。
すっかりくたびれて たこくんは岩場のかげでひとやすみ。
すると 遠くのほうから 声が聞こえてきた。


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たこくんが かおを出してのぞいてみると
それは カニくんとロブスターくんだった。
「やいやい ロブスターのくせに なまいきだぞ! この貝は オレ様が先に見つけたんだからな チョッキン」
「なんだと! そっちこそ はさみをひっこめろ パッチン」
「小さいはさみのくせに いばるな チョッキン」
「よくも言ったな。オレのはさみは小さくても よく切れるんだ。おまえのはさみは 大きいばかりで ちっとも切れやしないじゃないか パッチン」
「もう おこったぞ チョッキン」
「ぜったい 負けるもんか パッチン」
チョッキン パッチン とうとう けんかになっちゃった。


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「けがするよ」
たこくんはふたりに声をかけた。
「こいつが悪いんだ チョッキン」
「いいや こいつがわるいんだ パッチン」
チョッキン パッチン チョッキン パッチン ふたりのけんかは ひどくなるばかり。

「もう やめなよ!」
たこくんは スミをふいた。

まっくらになって おどろいて カニくんと ロブスターくんは にげだした。

あとには…


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けんかでとれた カニくんとロブスターくんの はさみが落ちていた。

たこくんは どうしたと思う?


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たこくんは はさみを ひろわなかったんだ。

はさみなんか持ってたら たこくんも だれかと けんかしちゃうような気がしたんだって。

でも でも でも でも。
たこくんは 今でも ときどき 考えることがあるんだ。

いったいぜんたい どれが手で どれが足なのかなぁ〜って。

みんなは どう思う?
もし わかったら おしえてあげてね。


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