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キャッチ・ミー・イフ・ユー・キャン映画&ミュージカル比較レポ

レオナルド・ディカプリオとトム・ハンクス主演の映画、「Catch me if you can 」を元にしたブロードウェイミュージカル、「キャッチ・ミー・イフ・ユー・キャン」が東京・大阪で2022年8月から9月にかけてSnow Man岩本照くん主演で公演されました。

今回は、観劇レポと映画の感想、二つでどう異なるかについて好きに話そうと思います!

まずは、映画から!

2002年公開のアメリカ映画です。

巨匠、スティーブン・スピルバーグ氏監督、レオナルド・ディカプリオとトム・ハンクス主演という豪華すぎるメンバー。

ストーリー

レオナルド・ディカプリオ演じるフランク・W・アバグネイル・Jr.は両親の離婚をきっかけに家出し、その後世界中を股にかけて飛び回る16歳の若き天才詐欺師です。1960年代主軸だった銀行小切手を用いた詐欺を行うために、身分を詐称してある時はパイロット、ある時は医学生、ある時は大病院の小児科医、ある時は弁護士と威信のある職業に成りすまします。トム・ハンクス演じるカール・ハンラティはFBI捜査官として彼を逮捕しようと執念深く追い続けます。果たして、フランクはハンラティ捜査官に捕まってしまうのでしょうか?

感想
痛快な逃走劇。まるで、ルパン3世のルパンと銭形のよう!

 フランクはまだ16歳という若者ですが、詐欺師としては超一流。非常に賢い手を使って詭弁雄弁垂れて小切手詐欺を完遂します。
 特に、最初、パイロットになりすまして詐欺をするまでの手口は詳しく描かれていますが、お見事!見ていて思わず感心してしまうほど鮮やかな手口でした。

 そして、それを追うハンラティ捜査官は捜査官らしい頭がちょっと固めのおじさん。何回も頭の柔らかいフランクから逃げられてしまいます。それでも、必ずフランクを逮捕する!という意気込みだけは一流。どこまでも彼を追い続けます。まるで、ルパンと銭形の追いかけっこのようなハラハラ。でもどこか見ていて楽しい痛快な2人のやり取りは何度見ても飽きません。

私が好きなのは、フランクは詐欺を人生として謳歌しているという点です。
フランクはかなりの額の詐欺を行って、なかなか危ない橋を渡っているのですが、自身はその時々の状況を楽しんでいます
 パイロットになれば、美人のCAさんを連れて歩き、かっこいい制服を着て羨望の眼差しを受けます。ホテルで出会ったかわいこちゃんを引っ掛けてワンナイトも。医者になれば、そこの看護師と関係を持ち、ついには身分を詐称したまま結婚してしまうのです!

パイロットになりきったフランク。副操縦士のフリをして自身も飛行機に乗り世界を飛び回ります。

 フランクにとっての詐欺とは、誰かを痛めつけたり悪さをするものではなく、一度きりの人生を鮮やかに生きるための手段。本当は詐欺とはもちろん犯罪行為ですが、いたずらのように次々と詐欺の手口を思い浮かべ、誰かに成りすますフランクを見ていると、「頭が良すぎた少年による若気の至り」に思えてくるのです。 
 また一方で、両親が大好きだったのに離婚を経験してしまったフランクにとって詐欺で得た幸福感は寂しさの裏返しと捉えることもできます。ハンラティに対して時々、「助けて欲しい」というような訴えをする場面はまだ彼が本来は子どもで大人に頼りたい気持ちがあるということを示唆しています。そしてフランクを追いかけるハンラティもその孤独に気付き、いつしかフランクをただの犯罪者として逮捕するのではなく、おイタした少年を叱るために捕まえるという目的に変わっていきます。そんなフランクとハンラティの関係性にも注目です。
 コメディだけではなく、人情味あるストーリー展開、無駄がない描写、音楽、スケールどれを取っても優秀なハリウッド作品なのではないでしょうか。ノンストレスで見られる作品でした!

そして、1番驚くべきことは…なんとこの話、実話を元に作られているんです!!

この映画の原作は、フランク・アバグネイル氏による「Catch Me If You Can 」という書籍から。
フランク・アバグネイル氏は映画のように16歳で銀行小切手詐欺氏になり、パイロットや医者、弁護士といった身分詐称を8回行い、21歳で逮捕されています。この物語、嘘みたいな本当の話なんです!!

フランク・W・アバグネイル・Jr.ご本人

 現在は、服役をし自身の詐欺の経験を通じて、セキュリティコンサルティング会社を設立。偽造防止小切手を考案し、毎日銀行や大企業が使用しているため、彼には年間数百万ドルの対価が貰えているらしいです。
 うーん、なんともアメリカン・ドリーム笑。一度逮捕されても億万長者になれるチャンスがあるんですね…。
 それにしても、やっぱり彼は物凄く頭が良かったんだと思います。多分、詐欺師をやらずに真面目に勉強していればそれこそ何にだってなれる人だったのではないでしょうか。

 ちなみに、ハンラティ捜査官には特定のモデルは居ません。彼を逮捕して更生まで導いた数多くの捜査官の象徴としてハンラティは映画の中で生きています。

この映画の素晴らしさは派手さがあり、ザ・ハリウッド作品なのにも関わらず、実話でもあるという映画と現実世界のつながりを感じられる点も大いにあると思います!





さーて、やっと!ミュージカル、キャッチ・ミー・イフ・ユーキャンのお時間です!

ミュージカル「Catch me if you can 」

フジテレビ協賛のミュージカル。2022年8月・9月に公演しました。

 2011年にブロードウェイミュージカルとして大成功を収めた同作品を、Snow Man岩本照くんがフランク役、吉田栄作さんがハンラティ捜査官を熱演しました。
 岩本くんは日々筋トレを行う体格の良いすらっとした高身長(182センチ)であり、ブロードウェイミュージカルの人にも劣らないスタイルを持っています。年は29歳のため10代を演じるのは少々無理がありますが、映画版のフランクを演じたレオナルド・ディカプリオさんも当時28歳であったことを考えるとまあギリギリOKなラインでしょうか。そして、周りのキャストさんも岩本くんより年上の方が多かったのでそことの差別化で「青年感」はちゃんとありました。
 吉田栄作さんはとてもダンディなお方。すらっとしていて声もハンサムでした。捜査官の黒スーツがよく似合い、生真面目なのにどこかチャーミングなハンラティをよく再現されていたと思います。

東京国際フォーラムホールCにて。

というわけで、9/2と9/3の東京公演にお邪魔させていただきました🎶

いやーーー、チケット取るのほんと大変だった泣
まず、FC全滅。次の一般先行も全滅。残された一般発売(早いもの順のチケ戦)でようやく2公演取れました…。岩本くんの人気舐めたらダメ!私もハンラティ並みの執念で岩本くん追いかけた笑。

グッズ売り場は長蛇の列。
クーラーがない内階段の上まで列が伸びてとにかく暑かったです…。黄色の服装(岩本くんのメンカラ)を着た方々がひたすら待ってグッズを買っていました。
 今後、ジャニーズ関連の舞台行く方は時間に必ず余裕を持って参戦することをお勧めします。終演後は混雑を避けるためグッズを売っていない場合もあるため、必ず公演前に買うようにしましょう。30分は見ておいたほうがいいです。

感想

生オケが最高でした!曲は華やかなテイストの曲が多くて、ブロードウェイミュージカルっぽくて大好きです!サックスやトランペットの音が大好きな人にとっては堪らないと思います。
・私が好きだった曲は、最初にフランクが歌う「Live In Living Color 」です。華やかかつあざやかなフランクを示す曲だと思います。かつ、アクロバットが得意な岩本くんは大サビ前にバク転を披露!!さすがです。
・フランク・シニア(フランクのパパ)とフランク・Jr.で歌う「ミルクからバター」は作中で何回も歌われるキーとなる曲。フランク一家の生き様をオシャレに描いた曲で今でも耳に残っています。
・2幕で春野寿美礼さんが歌われる「忘れないで、この愛を」がうますぎてびっくりしました。フランクの母、ポーラの出身であるフランスのシャンソン風の曲です。
・「世界の七不思議」は印象に残っている人も多いのでは無いでしょうか。フランクと恋人のブレンダがベッドの上で愛を語るシーン。個人的にはこれはアラジンの「A Whole New World 」を彷彿とさせる王子様とお姫様っぷりでした。2人だけの世界(泣)
・最後に歌う「いつまでも二人で(嘘みたいな話)」はフランクとハンラティが歌う曲。「ミルクからバター」も盛り込まれた終章に相応しい楽曲と言えるでしょう。吉田さんと岩本くんが一緒に階段を踊りながら上るところ、2人で息を合わせるような鏡の踊りが2人とも楽しそうに見えて良かったです。
・岩本くんのターンが本当に綺麗でターンする度に星が見えた!足使いが本当に細かくて爪先まで見ていたい踊りとはこのことだな、と。
・9/2の方は、岩本くんの滑舌が少し不安なところがありました。地声を10代の若者にするため、少し上げているのですが、そのため早口のセリフは聞き取りづらいと感じました。
・9/3は、滑舌は気になりませんでした。(2公演目で私もセリフを覚えていたから?)歌は基本的には上手いですが、高い声の部分は若干危なく感じる瞬間もありました。歌は今後の課題だと思います。
・ダンスに関しては文句の付け所なし。華やかなダンスも技巧派の岩本くんは丁寧かつ鮮やかに魅せてくれます。ダンサーの人たちにも劣らない、いやそれ以上の実力だったと思います。
・ブレンダ演じる横山由依さんはヒロインらしい子。2幕の初めから登場するのですが、第一声は「Dr.コナーズ!」(フランクが医者になりすますため)。とても可愛らしい声で一瞬で「この子が正ヒロインだ‼︎」と認識。
・ハンラティ演じる吉田栄作さんに関しても、滑舌は課題だと思います。大声を張って話すところが角ばっていて聞きづらいところもありました。
・フランク・シニアを演じる岸祐二さんは大人の色気がたっぷりなダンディな方。歌もハリがあってセリフも聞き取りやすく、彼がこのミュージカルをミュージカルらしくしてくれた縁の下の力持ち的な風格を備えていらっしゃいました。
・フランクの母ポーラを演じる春野寿美礼さんは元宝塚の方。そのため、歌も振る舞いも当たり前ですが超一流で見ていて安心感がありました。
・連日参戦、さすがに飽きるかな?と危惧していたのですが、観劇ってナマモノですし、9/2と9/3では全然違ったので何回でもこりゃ観る価値あると思いました。(特にキスの仕方とか全然違った絶句)


映画とミュージカルの比較

大筋は同じですがミュージカルの方がより「青年の危うさ」がテーマになっていると感じました。映画のフランクはミュージカルより若干大人っぽいと思います。ハンラティとの関係も映画より親子感が強いような気がする。

 第一幕では、フランクが詐欺師として生き始め、パイロットになるまでの過程を描いています。
 第二幕では、医者に職業を変えたフランクが看護師のブレンダと出会い、失いかけていた愛を取り戻し、詐欺師としての苦悩をメインに描かれています。
 ミュージカルは詐欺そのものより、ハンラティやブレンダを通じた人間関係が主軸です。詐欺の方法は限られた舞台装置では再現できない部分になっているので、フランクが口頭で早口説明をして終わり。そのため、映画を観ないとストーリーがややあやふやになる部分があります。私は友達と観に行ったのですが、映画を観ずに来た友達は「1幕のストーリーで分からない部分があった」と言っていました。私は映画を観たため説明できたのですが、確かに初見殺しのシーンもあり。せっかく映画では鮮やかな詐欺手口やハラハラ感を味わえていたので、そこは再現して欲しかったところ。

 一方で、ヒロインであるブレンダとのシーンはより丁寧に描かれていました。映画はかなり早く場面転換が進むため、ブレンダの役割ってそんなに大きくないのですが、ミュージカルだとフランクがどれほどブレンダを愛していたかについてより理解を深めることができます。みなさん、キスシーンで泡吹いてたんじゃないですか?フランクとブレンダの濃厚なキスシーン、劇場ではオペラグラスでガン見する人と、耐えられなくてオペラグラスを下ろす人が二分化されてて大変おもしろかったです笑。
 また、お父さんとの関係も映画より時間を取って描かれています。ミュージカルではお父さんがキーポイントです

 ですが、大筋はほとんど映画と変わらず、逃走劇をうまく描き切っている面白いミュージカルでした。映画の華やかさにも引けを取らない豪華なアメリカらしいミュージカルでした。



余談 Snow Man岩本照くんについて


 本ミュージカルで主演を務めた岩本照くんは、ジャニーズの旬のアイドル、Snow Manのリーダーを務め、ダンスとアクロバットを得意とし自身でグループの曲の振り付けも行っています。その振り付け能力は業界人からも定評です。

Crazy F-R-E-S-H Beat」は岩本くんが振付した評価が高い作品。今までのアイドルイメージを払拭するかのような特徴的な振付です。

 そんなダンス番長が挑んだミュージカル。ですが、実は結構大変だったそうです…。

 と言うのも2022年7月、彼は新型コロナウイルスに感染して舞台稽古に出られない時期が続きました。復帰した頃にはもう本稽古がスタートしていたとか。そして、声がそこまで高くない彼は10代の青年が歌う高い声を出すのにも苦戦していたそう。そして、劇が始まったら食べているのにも関わらず5日で5キロ痩せたらしいですよ(泣)それでも体調を崩さずに全公演終えたのはプロ根性です。

 なにより、2022年の岩本くんはとにかく多忙
主演映画、「映画おそ松さん」と6枚目シングル「ブラザービート」のプロモ、Snow Manの主演である「滝沢歌舞伎ZERO 2022」の座長(謎にハードな体育会系歌舞伎です)、初単独主演映画「モエカレはオレンジ色」の撮影と関連プロモ、7枚目シングル「オレンジkiss」のプロモ、そして主演ミュージカル「Catch me if you can 」の稽古と舞台期間、それが終わるとすぐに2ndアルバムのプロモとそれに伴ったアリーナツアーアルバム曲の振付、そして岩本くんの年末一大仕事、「SASUKE」に向けたトレーニングをこなし、さらにはJr.の舞台である「JOHNNYS' Island 」のダンス曲の振付も行っていたんだとか。その間にSnow Manの冠ラジオや毎週更新のYouTube、冠番組「それスノ」の収録、雑誌の取材などの仕事もこなしていたかと思うとちょっと信じられないです…。
 
 そして、岩本くんの尊敬できるところは絶対に「大変だった」とか「疲れた」とか弱音を吐かないところ。いつもファンが心配するくらい忙しくてもちゃんと自身のお仕事を手を抜かずにやってくれます。そういうところが岩本くんの職人的な渋さであり、カッコ良さでもあります。

岩本くんは入所前にもミュージカルの出演経験があり、Jr.時代からダンスも得意、滝沢歌舞伎も毎年出演していたので舞台慣れしたアドバンテージがあるため、ミュージカルのお仕事が来たのだと思います。
 彼は昔からとにかくエンターテイメントの世界で活躍する目的を持ってジャニーズ事務所に入ってくれました。
 エンターテイメントの世界で生きていきたいと思ってくれる岩本くんは見ててとても頼もしいです。これからも色んな世界で楽しく鮮やかな人生を送って欲しいと心から願ってます。岩本くんのエンターテイメントに対する精神自体が私は好きなので、これから先の彼のどんなお仕事も信頼を持って楽しく観られるだろうと確信し、次の個人仕事も応援することを心に誓いました。
 そして、カーテンコールで岩本くんが両日とも言っていたのは、「お身体ご自愛ください」でした。私からすると、岩本くんこそ忙しいから気をつけてね!!ですが(事実彼の頬は痩けていた)、そんな彼の温かい心遣いも含め、やっぱ岩本照が大好きだなと思えた2日間でした。

夏のよき思い出でした♡

長くなりましたが、本当に楽しくて数ヶ月後に思い出したかのように長文レポ書いちゃうくらい大好きなミュージカルです!はあ、またどこかでフランクに会いたいなぁ…♡

ここまで読んでくださりありがとうございました!





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