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ヨコハマトリエンナーレ2020

ヨコハマトリエンナーレ2020
2020.7.17-10.11
@横浜美術館、プロット48
入場料:2000円
★★☆☆☆

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地方で行われる芸術祭が大好きな私ですが実はあいちや横浜などの都市型トリエンナーレは行ったことがなく・・・初めての参加でした。

コロナで大騒ぎの世の中だったけど、意外と開幕延期することもなく、7月17日からオープンした。チケットは事前申し込み・時間指定制なので遅れそうになって焦りながら到着(この制度でこの状況、本当に多い)。待ち時間もなく、体温計測されて入場。

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一見、工事中?と思いそうな横浜美術館のファサードを覆っているのは、イヴァナ・フランケの「予期せぬ共鳴」という作品。


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ニック・ケイヴ「回転する森」。ヨコトリ2020で間違いなく最も目立つ、目玉作品。キラキラのモビールがいろんな速さでくるくる回っていて、床は鏡面になっているので高さがさらに強調される。


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2階からスタート。横浜美術館内は、いつもの常設展示などもすべてなくなりヨコトリの展示室となっていた。

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竹村京。


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ロバート・アンドリュー「つながりの啓示」。
上についている機械が画面を行き来しながら定期的に少しずつ水が噴射され、会期を通して文字が浮かび上がる。最初は真っ白な状態だったのだろうが、もうかなり見えていた。


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エリアス・シメ「綱渡り2.2」。


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キム・ユンチョル「クロマ」。
展示室に入るときには黒い物体だったのに、展示室を出るときに振り返ったらめっちゃカラフルに光っていた。


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エヴァ・ファブレガス「からみあい」。
見たかった作品のひとつ。なんとタッチOKだった。生命感のあるぷくぷくした形と色使いが好み。


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タウス・マハチェヴァ「目標の定量的無限性」。どこかおかしい体操器具。


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インゲラ・イルマン「ジャイアント・ホグウィード」。その昔、とあるめずらしい観葉植物を誰もが欲しがったが、それには実は人にとって猛毒があった、というコンセプト。

一見、安っぽい工作のように見えそうな素材を使っているのに、安っぽさは感じさせずいい味が出ているなと思った。子どものように駆け寄りたくなる大きさ。


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レーヌカ・ラジーヴ「親しみと違い」。正直コンセプトどうこうではなく、絵のタッチが好みだった。


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ツェリン・シェルパ「54の智慧と慈悲」。


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さとうりさ「双つの樹(白)」。
ふわふわの真っ白な彫刻。抱きしめたくなる。


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佐藤雅晴「死神先生」。癌と戦う日々で生み出された作品たち。


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青野文昭「なおす・代用・合体・侵入・連値「震災後石巻で収集した廃船の復元−2」」。
これ生命力があって好きだったな。


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メイク・オア・ブレイク(レベッカ・ギャロ&コニー・アンテス)「橋を気にかける」。
横浜の海水が入った霧吹きスプレーを渡され、会場の鉄製の作品に来場者が吹きかける作品。



2つ目のメイン会場「プロット48」へ。
かつてアンパンマンミュージアムだった建物らしく、内装に名残があった。

横浜美術館からは歩いて10分弱。その間、ヨコトリオリジナルの日傘を使用できる(下の写真右手に写ったスタッフが持っているもの)。これはとても良かった。日陰のない道で暑かったし、遠くからでもスタッフがいることがわかる。また、美術館からの道中でも同じ傘を持っている人がいるとなんか嬉しいし、ヨコトリに来ているのではない通行人などにも良い宣伝になる。目立つのにダサくないデザインが嬉しい。

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アモル・K・パティル「回想」。
1枚目手前の作品は、4つのカセットテープとレコーダーが一つのテープを再生していて、ひとつが鳴り終わるとその隣のレコーダーから音が聴こえてくる。小さな小さな音で、顔を近づけないと聴こえない。だけど何かを伝えようとしている感じ。実際は機械とサイレンと蚊の音だそうだ。

その他は砂の中でうごめく物体があるのだが、なぜか写真はOKで動画は駄目だった。

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映像作品、座り心地が良いソファばかりで悩ましい。


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エレナ・ノックス


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アリュアーイ・プリダン(武 玉玲)「纏繞」。


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ハイグ・アイヴァジアン「1、2、3 ソレイユ!(2020)」。
壁の白い跡は、壁沿いに落ちているチョークの入った袋があたった跡。クラゲみたいで可愛い。


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オスカー・サンティラン「チューインガム・コデックス」。


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ラヒマ・ガンボ「タツニヤ(物語)1」。



ひとりで一日で回ったのでへとへとになったが、ほぼ全ての作品を観ることができた。(多くの"長い"映像作品や体験型作品、日本郵政歴史博物館の作品は除く。)
私が行ったことのある、瀬戸内や新潟、奥能登などの地方の芸術祭とはまったく違う感想だ。

瀬戸内国際芸術祭などの町おこしと一体になった芸術祭を「地方型芸術祭」、ヨコハマトリエンナーレなどの都市にある美術館や文化施設を主な展示会場とする芸術祭を「都市型芸術祭」と呼ぶとすると、ヨコトリは地方型芸術祭とは性質が違いすぎて比較する意味もないような気もするが、以下所感も含めてメモしておく。
全体の印象としては、いわば販売目的のないアートフェアのようだった。屋内施設の中で世界中のアーティストの作品が観られるが、テーマや実際に展示されている作品コンセプトがグローバル化されすぎていて、"ヨコハマ"でやる意味って何だろう?と思ってしまった。

イベントとしての規模感
都市型芸術祭は、イベントとして見たときに、建物の中だけで完結しているところが大きな特徴といえるだろう。地方型芸術祭と違い、周辺の食事どころや提携している飲食店などの案内がなかった。ほぼほぼの来場者が、途中で必要となる食事の場所の案内を出していないのはすごく勿体ないというか、閉鎖的なイベントだなと思う。私は横浜美術館のカフェで昼食をとったが、正直に言って味気ない学食のようなカフェテリアで、リラックスしたり気分転換になる場所ではなかった。イベントの物理的規模や来場者数を考えれば、もっと町に開いて一緒に盛り上げたらいいのになぁとおもった。
横浜アート巡りチケットという、「BankART Life Ⅵ」と「黄金町バザール2020」周辺のイベントの参加がセットで安くなるシステムはあった。

作品について
作品は、間口広く募集して集まったもの、という感じ。
テーマは日本のものが多かったと思うが、日本の横浜意外の地方を扱うものが多かった印象がある。先にも書いたが、参加者がグローバルだからこそ、テーマはもっとローカル(例えば"ヨコハマ"など)に絞った方が面白いのではないだろうか。

巡り方について
地方型芸術祭は、まず観る作品を探すところから始まる。現地にはしばしば案内スタッフがおり作品の説明をしてくれ、スタンプラリー形式で観た作品がわかるようにスタンプを押してもらったりする。つまり、作品までの道中や作品のある場所で会話が生まれやすい仕組みがある。
ヨコトリにはそれらの仕組みはなく、膨大な作品数をまわるうちに疲れもあいまって、だんだんと作品と出会うのが億劫になってしまった。特に映像作品の展示方法は同じようなものが多く、残念ながらあまり記憶に残っていない。
地方型芸術祭では作品数が多いことと、作品にたどり着くのが困難な場合が多いため、作品を観ることを諦めざるをえないこともよくある。だが逆にそのおかげで(諦めがつくおかげで)、目の前の作品に集中できるし時間もとれるようになる。
ただもちろん都市開催のメリットとして、1日しか時間がとれない人や単独での来場が叶うし、非常に効率的に多くの作品を観ることができることは間違いない。

バーチャルツアー
公式サイト内では、会場を回っているかのようなバーチャルツアーができるようになっていて、この記事を書く時も作家・作品名や作品概要を振り返るのにも良かった。ごくたまにキャプションがバーチャルの中で見つけられなかったりしたが。

↓これは私がTwitterでつぶやいた感想。


展覧会公式HP


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