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窓展:窓をめぐるアートと建築の旅

窓展:窓をめぐるアートと建築の旅
2019.11.1 - 2020.2.2
@東京国立近代美術館(東京都千代田区北の丸公園3-1)
入場料:1200円(所蔵作品展「MOMATコレクション」も入場可)

★★☆☆☆

夜間開館日で時間があったので、窓展のあとでコレクション展も見ることができた。

窓をテーマに、時代やジャンルを超えて作品を集結させた展覧会。
YKK apが2018年に設立した一般財団法人 窓研究所と東近美のタッグで実現した。窓研究所は、「窓学」を主宰する。

窓学について
「窓学」とは、YKK APが2007年に開始した「窓は文明であり、文化である」の思想のもと窓を学問として多角的に研究する活動です。窓を歴史的、文化的に位置づけ、その新たな可能性や魅力を提示することで、よりよい建築、都市、社会づくりに貢献することをめざして活動しています。
「窓学」は、総合監修に東北大学五十嵐太郎氏を迎え、国内外の大学・有識者と協働し、その研究成果を積み重ねてまいりました。この10年間で、計17の大学および研究機関、のべ55名の研究者、建築家、アーティストの方々に、分野の垣根を超えてご参加いただき、50を超える窓の多様なテーマについて研究を行いました。
http://madogaku.madoken.jp/about/

一般財団法人としてのの成立は2018年だが、「窓学」の活動自体は2007年から始まり、2013年には「窓研究所」という組織が生まれていたようだ。

このテーマと窓研究所が気になったこと、そして「窓学」の総合監修を務める五十嵐太郎氏が書く文章が好きなので、楽しみにしていた。


これは、入り口にある小さな冊子。美術の文脈から作品を説明する展示室内のキャプションのほかに、建築的な視点から作品を読み解くためのガイド。
赤い四角が作品の形を模したりしていて、デザインが可愛い。本ほどきっちりしてないラフさだけど持っておきたくなる冊子っていいね。


序盤にあった「窓と美術」という年表は見応えがあった。"美術"、"窓の技術"、"建築"という3つの年表が1つになっていた。



私がこの展覧会を訪れたちょうど1週間ほど前に逝去した写真家・奈良原一高のキャプションが没年2020年になっていた。展示中の作品のキャプションをひっそりと入れ替えるというその行為が追悼とリスペクトの意を示している感じがした。



ゲルハルト・リヒターの作品は展示室にこの作品だけが置かれていて、窓展に出品された位置付けとしても面白かった。
昨年、ニューヨーク旅行に行ったときにDia:Beaconという美術館で見た、リヒターの濃いブルーグレーの作品を思い出した。正直、それを見た時は「不思議な感じ〜」という曖昧な感想で終わっていたが、このキャプションを読んで、そいういうことか!と腑に落ちた。

ニューヨークで見たリヒター作品がこちら。↓



最後にあったのは、建築家の藤本壮介の作品。東近美の入り口前に実際に建てられていた。



今回、無料音声ガイドのCatalog Pocketもダウンロードして使用してみた。機械読み上げってどうなんだろう(聞きづらいのでは?)と思っていたけど、意外と気にならなかった。特に章ごとの説明を、他の人の邪魔にならないように壁を読まなくていいのは快適。ただ、「読み上げ」がデフォルトになっていなくて使い方が分かりづらかったり、そもそもアプリをダウンロードするというハードルは高いと思った。


展覧会は分かりやすく、一企業が活動として行なっている窓学という研究が美術館で企画展を開催する機会を得ることができたのは素晴らしいことだと思う。ただ、感動が少なかった。実物(本物の作品)があるからこそのキュレーションの面白みがあまりなかったような気がする。本で見るのとあまり変わらない体験というか。単に私が大型作品が好きだからだろうか。


展覧会URL

https://www.momat.go.jp/am/learn/school/windows_teacher/

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