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志望校を食堂で決めた話



 中学2年生の終わり頃、

 耳にタコができそうなくらい
 周りの大人たちから

 「来年から受験生、大変だね〜」
 と言われていた。

 正直なところ、
 わたしは他人事だと思っていて

 勉強が大の苦手なので
 できれば来年になってほしくないな
 と思っていた

 というより、願っていた。



 中学生の時にハマった
 アニメと漫画の影響で
 高校生活というものには憧れがあった


 少女漫画のような恋愛がしたいと
 思っていたし、

 アニメのように放課後、軽音部に
 入部してケーキ食べたいって思ってた。


 わたしにとって、
 高校生になるというのは
 ↑これがしたいというだけのものだった


 深く考えたりしないまま、
 高校3年生になった。


 「あーーーー、いやだーーーーー。」


 毎日心がこう叫んでいた。
 普段のテストの合間に
 学力テスト。勉強、勉強、テスト。

 おまけに放課後は塾。
 苦手なことをしなければいけないのは
 本当に苦痛そのものだった。


 夏から秋にかけて、
 本格的に志望校を見つけるために
 オープンスクールというものに行った。

 私立、公立含めて
 4校ほど行った。



 正直あの勧誘感がたまらなく嫌いで

 在校生たちがどんだけ
 学校の良いところを説明してくれても

 ピンとくるものはなかった。


 そんな時、
 自宅から自転車で片道40分弱
 かかる学校のオープンスクールに行った。


 いつも通り、説明を受けて
 何かしらの体験をさせてもらって

 お昼休憩の時に食堂に行った。


 その時食べたカツ丼にピンときた。

 めちゃくちゃ美味しくて、
 ここの学校にしようと決めた。


 カツ丼と言っても、

 カツの上に卵のあんかけが
 かかっている大量に作れそうな
 ザ・食堂!みたいな感じで

 中学3年生のわたしは

 「学校であったかいカツ丼が
     食べれるなんて最高だーーー」

 この思いだけで志望校を決めた。



 志望校は公立だったので、

 滑り止めである私立高校は必ずしも
 合格しておきたいと思ったと同時に、
 絶対に志望校に行きたいと思った。


 ただ私立高校のほうが
 試験日が早く、
 合格発表も試験日の翌日だったので
 もしそこで合格してしまったら

 わたしの性格的に、
 ホッとしてしまって
 志望校のための勉強をしなくなるのが
 怖かった。


 そのことを考えた時に、


 「💡!
  私立高校、
  女子校にすればいいんじゃね??」


 と閃いた。

 これは女子校が悪いというわけではなく

 わたしが高校生というものは
 少女漫画のような恋愛がしたいと
 強く強く思っていたので、

 あえて滑り止めである私立高校を
 女子校にすることによって

 志望校に落ちたら
 少女漫画のような恋愛はできない!
 と自分に暗示をかけていた。
 (共学じゃないと恋愛できないと思っていた)




 そしてこの作戦は
 ものすごくうまくいった。


 見事、滑り止めの女子校にも合格し
 志望校にも合格した。


 そしてわたしは無事、
 華の高校生になることができた。



 高校生というものは
 わたしにとって一番憧れな存在で

 きらきらしていて、

 受験生になった時
 1年後本当に自分がなれるのだろうかと
 思っていたけれど、


 勉強が大の苦手でも、


 カツ丼で決めた志望校と、

 あえて滑り止めを行きたくない女子校に
 し本命に向けて本気で取り組んで合格した。 



 そんなふざけたような直感で選んだ
 志望校での高校生活は充実していた。


 片道40分弱を毎日通ったし
 カツ丼も何度も食べた。


 憧れていた少女漫画のような
 恋愛はできたのかは分からないし、

 軽音部には入部しなかったけど、

 本当に充実した3年間だった。




 これはわたしが生まれて初めて
 自分の人生の選択をし、

 自分の直感を信じた
 おもしろくて最高の成功体験だ。



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