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恐怖強欲指数(Fear&Greed Index)とは?指数の中身と活用方法徹底解説!

0.初めに

投資の神様ウォーレン・バフェットは投資の極意として、

人が貪欲な時に恐れを抱け。人が恐れを抱いている時は貪欲であれ。

と語っています。

この言葉の意味は、株式市場に買いが優勢で強欲な時は上値が重くなり下落しやすくなり、売りが優勢で恐怖に包まれているときは上昇しやすくなる傾向がある、ということです。

つまり、現在の株式市場が「恐怖」か?「強欲」か?が分かれば、売買のタイミングを掴みやすくなるということにつながります。

その「恐怖」「強欲」を測る一つの指標として「恐怖強欲指数(Fear&Greed Index)」があります。

以下の章でその詳細を解説します。

1.恐怖強欲指数(Fear&Greed Index)の概要

「恐怖強欲指数(Fear&Greed Index)」とは、CNN Moneyが開発・計測している指数であり、文字通り市場が恐怖を感じているか強欲になっているかを測る指数となります。
この指数は『7つの指標』を均等加重平均して計算しており、0から100までの数値で表されている0は恐怖、100は強欲を示しています。

恐怖強欲指数(Fear&Greed Index)のリンクと表の見方は下の通りです。
Fear & Greed Index :https://edition.cnn.com/markets/fear-and-greed

トップページを開くと以下のような半円のゲージが表示されています。


ゲージの見方は以下の通りです。

EXTREME FEAR(0~24)・・・過度の恐怖
FEAR(25~45)・・・恐怖
NEUTRAL(46~55)・・・中立
GREED(56~75)・・・強欲
EXTREME GREED(76~100)・・・過度の強欲

上の図ではGREED(63)、すなわち強欲であることが分かります。

また、右上のスイッチを【Timeline】に切り替えると、下記のような折れ線グラフの表示に切り替わり、時系列で指数の変化が分かるようになります。

参考までに、コロナショックで大暴落した際、2020年3月9日には「3」、2020年3月12日には「1」となっておりとてつもない過度の恐怖(EXTREME FEAR)に包まれていたことが分かりますが、その後未曾有の金融緩和で急激に株式市場は回復したため実は絶好の買い場でした。

2.指数の内訳

では、この指数にはどのような指標が含まれているのでしょうか?
恐怖強欲指数を構成するのは以下7つの指標となります。それぞれ解説します。


【内訳】

  1. マーケットのモメンタム(勢い)(MARKET MOMENTUM)

  2. 株価の強さ(STOCK PRICE STRENGTH)

  3. 株価の値幅(STOCK PRICE BREADTH)

  4. オプションの割合(PUT AND CALL OPTIONS)

  5. ボラティリティ変動幅(MARKET VOLATILITY)

  6. 安全資産(債券)への逃避(SAFE HAVEN DEMAND)

  7. ジャンク債への需要(JUNK BOND DEMAND)


①マーケットのモメンタム(勢い)(MARKET MOMENTUM)

S&P500種指数の125日移動平均線との乖離状況を測る指標です。
株価が移動平均を上回っている場合は「強欲」となりますが、下回っている場合は「恐怖」となります。

②株価の強さ(STOCK PRICE STRENGTH)

株式市場全体が52週平均と比べて高値圏or安値圏のどちらにあるかを測る指標です。
ニューヨーク証券取引所に上場している株式のうち、52週で高値圏にある株式と安値圏にある株式の数を比較し、高値圏にある株式が多いと「強欲」、少ないと「恐怖」となります。

③株価の値幅(STOCK PRICE BREADTH)

ニューヨーク証券取引所に上場している株式のうち、上昇している株の出来高が下落している株の出来高を上回っているかを測る指標です。
上昇している株の出来高が多いと「強欲」、下落している株の出来高が多いと「恐怖」となります。

④オプションの割合(PUT AND CALL OPTIONS)

先物取引でプット(売り)/コール(買い)の割合を測るものです。
プット(売り)に対するコール(買い)の割合が上昇している時は「強欲」、コール(買い)に対するプット(売り)の割合が上昇しているときは「恐怖」となります。

⑤ボラティリティ変動幅(MARKET VOLATILITY)

市場の値動きの変動幅を示すいわゆる「VIX指数」です。変動幅が少ない場合は「強欲」、大きい場合は「恐怖」となります。

⑥安全資産(債券)への逃避(SAFE HAVEN DEMAND)

過去20取引日における国債と株式のリターンの差を示す指標です。
基本的に価格変動の割合の大きさは債券<株式となるため、株式市場が不安定な時に債券が買われやすくなります。
そのため、株式が債券のリターンを上回る場合は「強欲」、債券のリターンが株式を上回る場合「恐怖」となります。

⑦ジャンク債への需要(JUNK BOND DEMAND)

ジャンク債と呼ばれる「投資不適格債」と「国債」との収益差を測る指標です。
ジャンク債は他の債券に比べて債務不履行の危険性が高いため、ジャンク債の収益率とより安全な国債の収益率の差(またはスプレッド)が小さい場合は「強欲」、大きい場合は「恐怖」となります。

3.指数の活用方法

では、実際に恐怖貪欲指数は投資判断に活用できるのでしょうか?

S&P500指数と恐怖貪欲指数の比較

下の図では、2022年のS&P500の日足チャートと恐怖貪欲指数のタイムラインを比較してみました。

この図を見て分かる通り、S&P500指数の上昇局面のピーク(天井)/下落局面のピーク(底値)と恐怖貪欲指数の高値(貪欲)・底値(恐怖)がほぼ一致していることが分かります。

つまり、恐怖貪欲指数が底値圏(過度の恐怖)となった場合に株式を購入するとその後上昇する、逆に恐怖貪欲指数が高値圏(過度の強欲)となった場合に購入するとその後下落するというパターンがあると考えられます。

中長期投資の判断材料に使えるか

とはいえ、過度の恐怖のタイミングで株を購入したとしても、その株を持ち越した場合にトータルリターンが大きくなるかは別問題です。この記事をお読みの方には毎月決まったタイミングで投資信託やETFを定期購入する設定をしている長期投資家の方もいらっしゃると思います。

下の図では、S&P500指数に連動するETF($VOO)を毎月1日に購入し、この記事を書いている時点(2022/12/4)まで保有した場合のリターンをまとめた表になります。

この表を見てお分かりの通り、リターンの順位の「1位」と「2位」は過度の恐怖(Extreme Fear)を示していた10月と7月となります。

しかしながら、例えば過度の恐怖(Extreme Fear)を示した3月や5月に購入したとしても、リターンの順位はそれぞれ「8位」と「5位」となっておりイマイチの結果です。

逆に、強欲(Greed)のタイミングである11月1日に購入した場合にリターンは「3位」となっており、上昇トレンド中であれば仮に強欲(Greed)であったとしても良いリターンを得られます。

中期〜長期投資で考える場合は、恐怖貪欲指数を見て投資してもしなくてもリターンにそこまで大きな影響はなさそうです。

恐怖貪欲指数の特徴と活用法

これらの結果から、恐怖貪欲指数の特徴として以下のことが分かります。


〈恐怖貪欲指数の特徴〉
・上昇トレンド/下落トレンドの転換点をある程度掴むことができる
・市場の大底/大天井を言い当てることは難しい


そのため、私が考える恐怖貪欲指数の投資への活用方法は、以下の通りです。

短期投資:
過度の恐怖となったタイミングで購入し、強欲となったタイミングで売却する

中長期投資:
①市場全体のトレンドを把握してトレンドに乗り遅れている割安の個別株を仕込む
②S&P連動ETFなどを定期買付する場合はそもそもあまり気にしなくて良い

なお、恐怖貪欲指数は市場全体のセンチメントを測る指数のため、上記に挙げた短期投資に活用する場合、個別株よりも、市場全体を丸ごと購入するETFであるVOO(S&P500)やVTI(全米株)の方が適していると思います。

とはいえ、2022年のように上昇・下落が特徴的な相場であれば活用できそうですが、値幅が少ないダラダラした相場の場合はなかなか参考にすることは難しいと感じるので、指数を過信し過ぎずあくまで判断の一要素として考えるのが良いと思います。

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