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よかった作品 ~炎の1月編~

2023年になって何か新しいことを始めようということで日頃から制作物についての説明をする際に、文章力のなさだったり自分の考えていることを人に伝えることに対しての苦手意識があったので、文章力を鍛える意味だったり月々に自分がどういった作品をみていたかを後で見返したら面白そうだな〜と思い、その月に見た作品で特に印象に残ったものを記していこうと思います。
12月頃には文豪になってたらいいね。

1月分は1月以前にも見た作品がやや混入しています。

記載作品について

ジャンル問わずめちゃくちゃ良〜と思った作品だったりなんやらを載せていくのでランキングなどではなく順番は特に関係ないです🐙

1:Cyberpunk: Edgerunners

Netflixで配信されている全10話のアニメ
ニューロマンサーだったり攻殻機動隊の世界観が大好きだったので公開されてからずっと観たいを唸っていた作品。Netflixを契約していなかったり、ありがたいことに仕事がめちゃくちゃ忙しかったのでずっと見る機会がなく、年末年始の仕事の連絡がないタイミングでやっと観れました。

人体改造が一般化した近未来を舞台に主人公がなんやかんやあって裏で暗躍する組織に加入してなんやかんやあるという話でストーリーとしてはそこまで珍しい作品ではないにも関わらず、サイバーパンクという世界観に落とし込むことで面白い作品になっていて最高。
ストーリーとしては最終的にはハッピーエンドとは言い難い結末ではあるけれど、サイバーパンクという世界観が既にいちジャンルとして根強く世界に存在していることでCyberpunk: Edgerunnersという作品自体が主役ではなく、あくまでも舞台であるナイトシティの片隅の物語でしかないといった雰囲気を感じられるところが特に好き。Cyberpunk: Edgerunnersがなろう系小説だったらサンデヴィスタン一本でラスボスを倒していると思う。

あと主人公が大きくなって組織のリーダーになったタイミングでルーシーがいなくなっていたので最終回付近で敵として現れて最終和解するあるあるパターンかと思ったら普通に家いるしめちゃくちゃ大人の関係になってたのがなんやねんって感じで面白かった。

2:BNA

2020年に放送されていたTRIGGERのアニメ
ビジュアルが好きでなんとなく記憶に残っていたのでNetflixに契約したタイミングで観た。

人間と獣人がいる世界で何故か急に獣人になってしまった元人間の主人公が獣人の住む街に行き獣人と生活をともにしつつ、人間に戻れる方法を探す話。
制作がTRIGGERということもあって映像のテンポだったりopとedがとてもかっこよくopは一度も飛ばさずに観た気がする。
基本ギャグ調ではあるものの、ストーリーがしっかりしているし根底にあるテーマが人間と獣人という異なる種族の共存のあり方という現実世界の人種によるカテゴライズといった問題にもつながる部分があり、ギャグと真面目の温度感がちょうどいいので流しで観てもじっくり観ても面白い作品。

3:映画大好きポンポさん

好きな映画何かと聞かれたら絶対言っている映画。

ベースは映画制作の話ではあるけれど人生の中で選んできたもの、切り捨ててきたもののどちらも今の自分を形成している大切な要素だと気づかせてくれる作品なのでどんなものであれ、趣味であれ仕事であれ何かを作っている人には観て欲しいなと思う作品で2月の中旬頃からNetflixでも観れるらしい。最高。
あと原作では出てこない映画オリジナルキャラのアランという男の子が作品の良さを5倍くらい底上げしていて、彼はクリエイターというわけではなく、特に何かに熱中した経験もないままそつなく大学をこなしそつなく社会人になってしまった子ではあるのだけれどこの子がいることによって何かを創り出すことができなかった人たちに向けても手を差し伸べてくれる優しい作品になっている。

ご都合主義の若干出来過ぎなストーリーと言われるかもしれないけれど自分がコンテンツの制作に携わる仕事をしている間はそんな冷めたことを言わないでこの作品で感動した真っ直ぐな気持ちを忘れたくないなと思うし、この映画に何も感じなくなってしまった時はクリエイター(あんまりこの言い方は好きではないけれど)としての自分はもう終わりだなと思わせてくれる作品。

4:生背神

天使電影さんが裏命楽曲コンテストに公開していたオリジナル楽曲

イラストを描いている游さんという方が大好きで、その方がRTしていたので観たらイラストは勿論のこと楽曲もドンピシャでブッ刺さった作品。
裏命楽曲コンテストの作品なのに裏命を食わんばかりのガチガチのベースが聴いてて最高に心地よく、揺らぎのあるアングラな世界観とメタ的な視点のニヒルっぽさが裏命にハマってて最高やんってめちゃくちゃ思いました。

最近はMVのデザイン関係の仕事が多く、作業中はデモ音源を永遠とループしていたりspotifyで自分がダウンロードした楽曲ばかりを聴いていたので新しい曲を探す機会というのが少なくなっていたけれどこういう素敵な出会いがあると自分の知っている曲ばかり聴くのではなく、新しさを求めるのも大事だなと再認識させられました。

完全に部外者なので何もできないけれどマジで入賞して欲しい。
入賞しなくてもすとろぼ賞は受賞している。

5:明透 マシュマリー

11ヶ月前の明透さんのcover楽曲。11ヶ月前という事実が怖い。

存流明透のお二人が少し前までやっていたTHE COVER series(カバー曲をリリックデザインまで作り込むヤバ企画)のかなり初期の頃の作品で歌声、イラスト、原曲の透明感を殺すことなく、縁の下の力持ち的なアプローチで作品全体の世界観を補強している文字の置き方選び方、映像の作り方が本当に素敵。
デザインはそれ自体が主張しすぎることなく素材の良さを引き出して特別な作品に仕上げるある種額縁的な存在だと思っているのでマシュマリーのこのデザインはまさしくリリックをデザインしているなと思い11ヶ月経った今でも自分の中ではお手本のような作品であり定期的に観に行ってしまう作品です。

MV内に字幕的ではなく派手に歌詞を表示させるMVをよく見るようになり、リリックデザインという単語もよく見るようになった最近。そういった仕事をよく受けさせてもらえる自分としても文字を作っていたらリリックデザインと言えるのか、デカデカと文字が出ていればリリックデザインと言えるのか、そもそもリリックデザインって何だなど常に正解(というか自分の中の考え)を探している最中ではあるけれど、少なくともこの作品はリリックデザインの正解の一つなのではと思う。
この作品くらいいいものを作りた〜

6:インナアチャイルド

理芽さんのオリジナルMV

楽曲のジメっとしたいやらしさだったり、一歩足を踏み外せば落っこちてしまいそうな日常に潜む狂気のイメージがそのままビジュアルとして感じられて山口駿さん×パンチさん×理芽チの相性が良すぎた作品。
DUSTCELLの漂泊者が先かもしれないけどパンチさんのアートワークをはじめに動かそうとした人は何かしらの賞をもらった方がいいと思う。
あとこのMVに雰囲気が似ているビバリウムという映画も陰鬱としていて世界観としてはかなり面白いので是非見てほしいです。

THINKRアーティストの中でも理芽、ヰ世界情緒のMVは他のアーティストMVと比べて映像制作者の癖が滲み出ている作品が多いので観ていてめちゃくちゃ好き。

7:汽元象レコード

RIOT MUSICが設立したリアルとヴァーチャルの境界、2次元と3次元の狭間を軸とした新しい音楽レーベル。

淡水と海水の混ざり合う汽水と2次元と3次元の狭間をかけて「汽元象レコード」というネーミングがまずカッコ良すぎてかっこいいを超えて謎の悔しさが生まれてしまうレベル。

またアイデンティティデザインもかなりイカしていて、現実で行う処理とPC上で行う処理をデザイン制作の過程として組み込むことでデザイン自体のディティールを追加するとともに「現実と仮想を横断する」という汽元象レコードのスタンスをそのまま表しているデザインになっていて最終成果物のビジュアルだけでなくプロセスでも汽元象レコードを表しているデザインがマジで最高です。

8:フタガミハルキミくん

いにしえより伝わるインターネット作字マンの一人、上は1月の作字で自分が一番好きな七草

作字をやっている人をよく見るようになったけどここまで沢山の作風、沢山の作品をコンスタントに出しつつ常にイカした作字をしている人はほぼいないといってもいいほどに全ての作品がかっこいい。

誰かが優れたデザインは誰でも真似できるデザインって言っていた気がする(言っていないかもしれない)けどフタガミくんの作品はまさしくそれ。トレースをしようとしたらできるだろうけど自分では絶対思いつかないような攻めた省略やパスストロークの作品が殆どで、どの作品も読めなそうで読めてしまう絶妙なラインをつくのが本当に上手。本人の観察眼の良さとどんなコンテンツからでも良い部分を吸収するスポンジのように柔らかい脳を持ってるんだろうなといつも作品を見ながら思う。
メチャリスペクトです。

9:今月のお仕事

可不の楽曲コンテストで大賞に選ばれたヒマヲタベルさんの不器用なラフ絵の具のMV制作のお仕事

MVコンテストで大賞に選ばれた作品のMVを新たに制作ということでオリジナルが既に良いのに新しいの作って良いんですか…と少しプレッシャーがあった作品。
映像を担当してくれたまるいちさんとどういうMVを作ろうかと話をしている最中にTwitterで色々な人が可不のファンアートを描いたり曲を作ったり、グッズを作ったりしているのを見て思った「イラストや音楽、デザインなど様々なクリエイターの思いによって人それぞれの可不が生まれる」という部分をテーマにして作った作品(ここまでカッコつけたことは打ち合わせでは言えなかった気がするので悔しい。カッコつけて言いたかった。)

技術的な部分の話をすると今回のリリックデザインはどういう書体の雰囲気が合うか打ち合わせをした後、ほとんどの文字を作るという作字ゴリラ手法を採用した。

リリックデザインというとデザイナーの方が注目されがちな気がするけれど実は文字を動かしてくれる映像作家の方がめちゃくちゃ凄く、映像作家の人とのやりとりを上手くしないとお互いに苦労することが多い。もしもやりとりなしで今回のような殆ど作字のリリックデザインをやろうとしたら結構な地獄が生まれていたんじゃないかなと思う。なので映像についてかなり細かく相談をさせてくれたまるいちさん、そして大量の文字を動かしてくれたまるいちさん、そしてレンダリングがめちゃくちゃ遅いのに頑張ってレンダリングしてくれたまるいちさんありがとう。

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