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Vol.8 京都市バスの一日券廃止について

そこはかとなく書きつくっているコラムですので、大体は忖度なしで語っています。ですので時事問題に関しても、素人ながら思うところを本音で少し書いていこうと思います。

※サムネの背景を変えてみました。全部みなとみらいだとつまんないので。


さて、何を取り上げようか考えたとき、ちょうど京都市バスの「乗り放題一日券」が2024年3月末で廃止となるというニュースを目にしました。観光に興味がありますのでちょうどいい、これについて考えてみます。

乗り放題一日券とは、たった700円で一日京都市内のバスを乗り放題になる、観光客にとって神のような切符です。京都市バスの運賃が一律230円なので、4回使っただけで元が取れます。
さらに京都の観光地は各地に散らばっており、バスの移動は欠かせません。京都市のバス路線は市バスだけで74路線!いかにこの切符がイカレているかよくわかります。

当然需要は高く、バスの車内は連日観光客でいっぱい。京都駅前では長蛇の列になります。しかも最近問題になっている「オーバーツーリズム」によってこの惨劇に拍車がかかっているという始末。このことが一日券廃止に踏み切る引き金となりました。

京都市交通局では、(中略)、市バスの混雑緩和に資する料金体系とすること、お客様一人当たりの乗車運賃の引上げの観点から、これまでから「企画乗車券の見直し」を検討してきました。

 「バス1日券」については、(中略)、平成30年7月に実施した「企画乗車券等の利用状況アンケート調査」では、購入者のうち9割が観光客などの市外在住者という結果が出ており、観光地を経由する系統を中心に観光客が市バスに集中する要因となっています。

 そこで市バス混雑対策の取組の一つとして、「バス1日券」を廃止し、存続する「地下鉄・バス1日券」を御利用いただくことで、市バスの集中利用から地下鉄への分散に繋がり、ひいては市民・観光客双方が共に便利で快適に市バス・地下鉄を御利用いただける取組と考えています。

京都市交通局ホームページ」より

これをふまえての僕の私見ですが、これは致し方が無いのかなと思っています。一部のコメントでは「観光客への差別だ」とか「京都市民が優遇されるのはズルい」「正直不便」といったものが多く見られました。

しかし観光客への不当な差別という意見は「全くの見当違い」だと思います。市バスというのは市が市のために運営しているもの、つまり元々は市民のために走らせているもののはずです。確かに今観光需要が高まっているので、それに特化した路線も増えているのは事実です。ですが元々は「市民のバス」のはずです。この根本的概念を忘れているのではないでしょうか?

例えば江ノ電沿線にはたくさんの見どころがあって、そこには連日たくさんの観光客が訪れます。しかしそこにも元から住んでいる住民がいます。中には江ノ電を使って通勤・通学や買い物に出かける人もいます。

そんな生活の足である江ノ電に住民でもない観光客でごった返し、中々乗ることができなかったらどうでしょうか?「住んでいる以上仕方ない」という無責任な言葉で済む話でしょうか?

市民の快適な生活を守るため、観光客に規制をかけるのは当然のことでしょう。

これからも、このように観光客だけでなく、そこに住んでいる地域住民の生活も考慮する政策がたくさん出てくると思います。確かに観光客を引き寄せてお金を落とすことは大事ですが、それで地域の人々が迷惑や不利益を被っては意味がありません。地域満足度が下がって住む人が減ると、今度は住民税が減ったり空き家・空地が増えたりして、むしろ町としてのブランドが落ちることになります。「住んでよし・訪れてよしのまちづくり」は大変なんだなと改めて感じます。


最後に、この廃止策がオーバーツーリズム解消の決定打になるのかということですが、現時点ではそれは難しい(判断できない)と思います。

ニュースを見ていると、市民のこんな声がありました。

「私もお稽古や美術館を回る日などでバスを乗り継ぐ時には「バス1日券」を使います。市民も使う便利なものなので、これをなくすことが混雑緩和になるのか、効果があるのでしょうか」

NHKニュース「“乗りすぎないでおくれやす” 京都で「バス1日券」廃止のなぜ」より

意外にも、住民もこの一日券を利用してたようです。そうすると住民にとってはただの「値上げ」ということになってしまいます。

確かにこれにより一定の緩和は見られると思いますが、それでも利用する観光客はいます。検証結果が今はまだ出ていませんが、少し小手先な解決策だと個人的に思えました。

市民の生活を考えるなら、「京都市民だけ割引・(もしくは)乗り放題!!」といった市民優遇サービスをすべきだろうと考えます。近年では市民に割引、もしくは観光客に税をつけてやや割高にして、収益とキャパシティ調整を両立させようとする試みが見られてきています。日本の観光もそういった路線に踏み込むタイミングでしょう。

それでも「観光客差別だ」という声があるなら、相当の分からず屋です(規制の程度にもよりますが)。なにも観光客の落とすお金だけが地域を支えているわけではありません。町の中心はあくまでも地域住民だということを忘れてはいけないと思います。

※この文章はあくまで個人の意見です。そこのところはよろしくお願いします


というわけでVol.8、おしまいです。
次回のコラムも、お楽しみに!


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