【感想】文スト アニメ43話

※原作未読のアニメ視聴となります。
※念入りに調べてはいますが、情報に誤りがあった場合教えていただけると嬉しいです。


感想

  • 斗南司法次官という肩書から分かること。我々の世界では司法省は1948年に廃止されているし、特務課を内包する内務省も1947年に解体された。また文スト世界には軍警もいる。終戦が原作軸から14年前であることを考慮しても、政治における戦争の余波の規模が全く異なっている模様(我々の世界の終戦は今のところ1945年)。占領やらGHQ指導やらはなかったのかな、と思ったり。

  • 乱歩さんの虫君に対する「友人」発言と、その忠告を守る姿勢に胸アツ。後で虫くんボコボコにされてたのが何とも……。

  • 授かった祓魔梓弓(初見で読めなかった)を、後で「ただの木片」だと言い切ってしまう社長ェ……。

  • 国木田さんとの訓練シーンからまだ未熟なのは分かるんだけど、推理力や判断力の向上、異能の適切な使いどころ、機動力など、敦くんの成長が見えたのが良かった。

  • 太宰さんの「おや、分かるのかい?」の「おや」と「かい?」の発音が好き。あと条野さんに罪状読み上げられているときの顔。太宰さんとはいえ「此奴何で知ってるんだ(想定外)」なのか、太宰さんだから「やっぱりこうなったか(想定内)」なのか。条野さんの中の人、穏やかにえげつないことをしている感じの口調がキャラクターとマッチしていました。

  • 探偵社が犯人に仕立て上げるような流れに持っていかれるのを見てぞわぞわしてた。探偵社が「席に戻るのを嫌がる」じゃなくて、「席に戻れなくする」の間違いじゃないの……? 嫌な奴(褒めてるし褒めてない)。

  • ニコライさんの中の人、やっぱすごいな(語彙力の低下)。ニコライさんの感情の緩急を目だけじゃなくて耳でも理解して追うことができるのが嬉しい。

  • 万年筆を走らせている手の持ち主、誰だろう? ちょっと個別で考察したい。


考察に近い何か

 n番煎じの考察かとは思いますが、自分なりの言葉で整理したいので書きます。知識の増強により後で変化しうることをご理解ください。

堕ちた探偵社員たち

 「白紙の文学書」に関する情報を抜きとられ、深手を負った種田長官を乱歩さんが抱き起こすシーンに注目。壁には十字架と翼とが赤で描かれており、立ち位置の関係上それらが乱歩さんの背中に生えているかのように見えますよね。
 ここで私の頭にぱっと浮かんだのは、「探偵社設立秘話」にて乱歩さんが推理に使った天使の比喩です。劇の筋書きになぞらえ、観客と演者における「被害者と加害者の関係が逆転する」というものだったと思うのですが(メモが下手だったので曖昧で申し訳ありません)、それが約12年の時を経て我が身を含めた探偵社に降りかかるという暗示ではないか、と。今回の天人五衰事件では「探偵社(演者)は陰謀に巻き込まれた被害者だが、何も知らない世間(観客)からすればテロ集団なので加害者」となっています。読者である我々は、舞台装置(劇場そのもの?)やその裏側をある程度見ることできる立場だから理解できるけれど、客席に座っている人たちから見たら傍迷惑でしかないのです。
 また、「十字架を背負う」という言葉があるように、翼に挟まれるようにして描かれた十字架は、探偵社がこれから咎人として追われる運命であるということを想起させるには十分です。こうして罪を負わされることを表明するのに乱歩さんが必要だったのは、以上のような設立秘話の因縁があったために迫りくる悪夢の予兆を掴めていたからなのでしょう。気になるのは、そもそも原作漫画にこの描写があったかどうかなのですが……。


 いつもより長くなってしまいましたが、今回はここまで。書いた通り、物語を書いていたのが誰なのかについては別途考察します。

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