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【MTG】推しの話をしよう~オブ・ニクシリス編~

MTGプレイヤーの皆様こんばんは、ストライクです。
皆様「好きなキャラクター」っていますか?
僕はいます。しかもたくさん。

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好きなキャラ(?)の一例

MTGは設定が多い/少ないの差はあれど色んな背景を持った魅力的なキャラクターがたくさんいて、面白いストーリーも無料で読めます(たまに言語の壁があるけど)。
日本公式のストーリーまとめ:https://mtg-jp.com/reading/ur/
英語の記事まとめ:https://mtg.fandom.com/wiki/Magic_Story
背景世界紹介記事「あなたの隣のプレインズウォーカー」シリーズ:こちら

ただ様々なところに設定が散らばってるせいか、キャラを紹介する記事って少ないんですよね。もっと語りたいし人の話も聞きたい!
ということで今回は好きなキャラクターの一人
・力と闘争と勝利を愛する黒の権化
・残忍で無慈悲だけど地道な努力家で妙にポジティブ
・暇な時は鳩サブレを焼いたりする(嘘)
プレインズウォーカー「オブ・ニクシリス」を紹介します。面白い人なんだよ!

1:カードについて

彼がカードとして初登場したのは『ゼンディカー』(2009/10発売)。

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この頃はキャラについて語られることが今よりさらに少なく、彼も「背景はありそうだけどよくわかんない伝説のクリーチャーが出てきたな」という未知の状態でした。
カードの性能としては無防備に出すとすぐ《稲妻/Lightning Bolt》されたり手札に土地がないと全然活躍しなかったりと正直「超強いカード」ではなかったのですが、機能したときの爆発力とすごい速さで直接ライフを狙える攻撃性がお気に入りでよく使っていました。
《聖遺の騎士/Knight of the Reliquary》などと合わせたアブザンカラーのデッキを作ってFinals予選を抜けた記憶があります。

このカードのフレーバーテキストにはこうあります。

灯を失った彼は、彼の魂を砕いたこの次元の堕落したマナへの復讐を計画している。

「灯を失った」ってことは元PWだったのかな?ゼンディカーで何かあって灯を失って悪魔にされたから復讐しようとしてるのかな…と設定が明かされないながらぼんやり考えていました。
※「灯」こと「プレインズウォーカーの灯」はPWになるための特殊な才能みたいなもの。ないとPWにはなれない。人間以外の種族も持てるが、一部の種族(デーモンとかファイレクシアンとか)は持てない

そんな彼が再び登場したのは『基本セット2015』(2014/7発売)。

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羽生えてる!空飛べるようになってる!「解き放たれし」って何?
さらにゲーム「マジック2015―デュエルズ・オブ・ザ・プレインズウォーカーズ」にも登場、公式記事「忌むべき者の夢」でついに彼の設定の一部が明かされます。やっぱり元PWだったんだ!
間髪入れず『統率者2014』(2014/11発売)にも登場。元人間なの!?

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鎧のデザインが悪魔化してからの肉体に反映されてるのがわかりますね。

そして1年後の『戦乱のゼンディカー』(2015/10発売)では満を持して灯を取り戻し悪役として大暴れ。イラストも笑顔で角も太くなった。
カードとしてもこの時が一番使われてた気がします。アドバンテージが取れて自分を守れるPWは強い!フィニッシャーにもなるし。

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史上一番の笑顔

『戦乱のゼンディカー』ストーリーではさまざまな活躍(暗躍?)を繰り広げ、最終的に主人公側に退けられるも生き延びて他の次元へと旅立ちます。

PW大集合の『灯争大戦』(2019/4発売)でも健在。なんと味方側として戦いますが、自身の目的を果たすとあっさり何処かへ消え去ります。自由人だな。

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2021/2時点で本人のカードは5枚。その他『デュエルデッキ:ニッサvsオブ・ニクシリス』(2016/9発売)などでも登場しています。
一貫して黒単色、また持っている能力も「ライフを失わせる(自分も相手も)」「クリーチャーを破壊する」など黒らしいものばかり。
特徴的な「カードを引くとライフが減る」能力は《地獄界の夢/Underworld Dreams》《ファイレクシアの闘技場/Phyrexian Arena》を意識しているんだと思います。やはりいかにも黒って感じ。

2:ストーリーについて

5回もカード化しているだけあって設定に関する記事も何本か書かれており、また本編のストーリー上でも結構活躍?しています。

人間時代を書いた記事「最初の世界、最後の難関」によると、生まれた次元では高名な将軍だったようです。
剣で戦っても肉弾戦をしても魔法を使っても優秀、しかし部下には裏切られるし自身も忠実な配下の名前を覚えてなかったり部下をあっさり生け贄に捧げたり戦の騒音を「交響曲」と評するなど無慈悲で情のないバトルマニアな性格をしています。
そんな性格なので裏切られて大軍に追い立てられ、逃げ延びた先で彼は悪魔を召喚します。悪魔は彼の望みを見つけ、叶え、一足飛びで世界を滅ぼしました。

 それらは世界を終わらせた。
その過程は完全に平凡なものだった。吠え猛る風も、炎と血の爆発もなく、翼を持つ貪欲なものどもが土地を食らい尽くすこともなかった。ただ、終わった。あらゆる生ける魂が倒れ、死んだ。この落盤を掘り進んだ私に届く程の所から、遥か遠くの大陸の農夫一人まで。彼らは単純に死んだ。誰も彼もが。
 私を除いて。

一人生き残った彼は、彷徨った果てに「自身やこの世界が高位存在によって造られたものであること」「世界は高位存在の玩具として造られ壊されるものであること」「自身は世界を滅ぼす役目を与えられた駒であったこと」などを聞かされます。その衝撃に彼は打ちひしがれ、笑い、倒れ伏し、泣き、喘ぎ…そしてプレインズウォーカーの灯が目覚めます。
※「プレインズウォーカーの灯」は精神的なショックで覚醒することが多い。その時のショックでいきなり別の次元に飛ぶこともある。

PWとなった彼(まだ人間)は将軍だった頃と同様にその力で他の次元を征服して回りました。その中で彼は《鎖のヴェール/The Chain Veil》と出会ってしまいます。
ヴェールの呪いで肉体はデーモンに変貌。さらに呪いを解くため辿り着いた次元ゼンディカーで次元の守護者ナヒリと遭遇し、面晶体を埋め込まれて力と呪いを封印されました。次元を渡れなくなりゼンディカーに囚われた彼は灯を取り戻すこととナヒリ/ゼンディカーへの復讐を誓います。

そこからの彼は黒らしからぬ地道さで計画を練りました。面晶体を研究し、他のPWへ情報を流してやってきたPWを親切に案内し、自分に埋め込まれた封印を取り除ける存在が現れる日を待ち続けます。そして何百年か後、彼はついに現れた相手と偽りの戦いを演じ、面晶体を取り出させます。

計画は続きます。力を取り戻すために彼が欲したのはゼンディカーという次元そのものの魂でした。それを求めて地面を掘り進む彼の前に、ゼンディカーを守ろうとするニッサが立ちはだかります。
直接対決ではニクシリスが圧倒するものの、ニッサはゼンディカーの魂と繋がってその力を引き出しニクシリスを洞窟に閉じ込めます。

閉じ込められても彼は諦めません。洞窟を抜け出して策を練り直し、力を取り戻すためには一度ゼンディカーをエルドラージから救わなければならないと結論付けます。

 時だ。もっと時が要るというのに!
 その結論に打たれ、我は再び笑った。騒々しく、痛みを忘れ、涙が出るほどに笑った。この数世紀、結局、我を楽しませてきたのは皮肉だけであった。それだけが我が作品を再構築する時間をもたらす、唯一の道であった。
 ゼンディカーを救わねばならぬとは。

(公式記事「全てを賭しても」より)
このシーン大好き。他の劇的なシーンでもこの人ちょいちょい笑います。

しかし状況は予想外の方向に進んでいました。ゼンディカーの人々がエルドラージを面晶体で封印している場面に遭遇した彼は妙案を閃きます…封印に使っている力の流れを組み換え、自身に流れ込むように仕向けたのです。
こうしてニクシリスは灯を取り戻し、一時はニッサとゲートウォッチの仲間を圧倒。チャンドラの加勢で4vs1となり最終的には敗北を喫するものの、生き延びてニッサへの怒りを抱えながら次元を後にしました。

灯争大戦でラヴニカに呼び寄せられた際はちょっと皮肉めいた突っ込みを入れたくらいで特段暗躍はせず《次元橋/Planar Bridge》破壊作戦に従事。しかし次元橋を破壊すると用は済んだとばかりにどこかへ去ってしまいます。
その時ラヴニカには因縁のあるナヒリやニッサもいたのですが、今は復讐より優先すべきものがあるんでしょうか?

3:キャラクターについて

ぶっちゃけ悪人なので英雄的に活躍して世界を救ったりはしないというかむしろ一回世界を壊しかけてるバリバリの悪役なのですが、妙にかわいくて面白いところがあるんですよねこの人。

1:地道でポジティブ
ストーリーの話で触れた通り彼は高位存在の駒として生み出され使い捨てられるような存在だったのですが、少なくともPWになってからは存在に思い悩んだりすることは全くなし。常に自分のやりたいようにやり、力を封印されて次元に閉じ込められても挫けず、必要とあらば世界を壊すことも救うこともためらいません。
何百年もかけて計画を練り、笑いをこらえながら負ける演技をし、地道に鉤爪で岩を掘り、敗北して計画がぶち壊されると即刻方針を変換して新しい策を練ります。偶然を利用することも躊躇しません。

 敗北。もしそれを生き延びたのであれば、今はそれを自省すべき時という事だ。不当な傲慢が数多の自称将軍を死に至らしめてきた。我はというと数千年の間、彼らの思い上がりをどれほど多く切り捨ててきたのであろう? 圧倒的な敗北を被り、ここに生き埋めになりながら、我は決心した。与えられた機会を受け取ろうと。
 運頼みの計画を立てるのは愚か者だけだ、だがそれを利用し損ねるのは更に愚かな者だ。第一の選択肢が卓の上に戻ってきた。

(公式記事「全てを賭しても」より)

2:戦い大好き
生前からバトルマニアっぷりは判明していましたが、PWになってからの彼はより一層の戦闘狂ぶりを見せます。戦う相手を詩的に称賛する一面も。

 長身で筋肉質、角ばった顎、そして断固とした意志。多くの標準から見て、器量の良い男であろう。この者を推し量り、我はほくそ笑んだ。友を救うべく我を背後から攻撃はしたが、そうして戦いに勝利することまでは望んでいない。即座に気に入った。英雄様ではないか。
 戦いの中、このような瞬間というものがある。時が静止する。闘争の喜びが感覚と時の流れを圧倒する。身体を組み打ちの体勢にし、男は我へと突進してきた。だがその攻撃は高く隙があった。目が合った時、我はこの男の顔にも同様の喜びを見ることができた。この男は我と同じく、実に戦いを愛している。良いことだ。他では感じえぬ喜びだ。

(公式記事「オブ・ニクシリスの報復」より)

戦闘シーンでは骨が折れたり血が噴き出したりする様を詳しく解説します。青年誌みたいで面白いけどちょっとグロい。血なまぐさいの好きなの?
戦闘スタイルとしては悪魔の強靭な肉体を使った肉弾戦を好みますが、何年も前に仕込んでおいた呪いを発動させたり苦痛の呪文でジェイスの本体を見破ったりギデオンに物理攻撃が効かないとみるや組み伏せて窒息させたりと機転も効きます。
関係ないけどギデオンの容姿や実力をべた褒めした後肉弾戦でボコボコにするシーン「その手のゲームで見たことある!」となった。

また戦いだけでなく一方的な殺戮も好み、ゼンディカーでは人間やゴブリンを面白半分に狩りアモンケットでは無抵抗の永遠衆を殲滅しラヴニカでは退屈しのぎに鳥を焼いていました。黒~い。

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通称「鳩サブレ」

3:台詞回しがかっこいい
黒に属するキャラたちは時折妙に叙情的でかっこいい台詞を口にすることが多いのですが、この人も例に漏れず名言を吐きまくります。しかもだいたい独白で。

 戦の騒音を「咆哮」などと呼ぶのは不当な扱いだ。それはその音の威厳を軽んじている。それは交響曲なのだ。包囲攻撃エンジンの重低音、投石器は打楽器、空の静寂、そして圧倒的な軍が砕け、潰されて壊滅する。衝突し、舞い、鋼が叫び、人と獣と怪物とそれよりも悪いものが、幾重もの殺戮の波となって押し寄せる。
 大剣は誤解されやすい武器だ。未熟者はその武器の重量と打撃力から、それは純粋な力に報いると結論づける。ありえないほど正解から遠い答えだ。大剣とは表現できないほどに複雑な道具、梃子であり突き刺す楔でもある。

(公式記事「最初の世界、最後の難関」より)

「品行など、無力となることへの我慢を手短に言ったものに過ぎぬ。」

(《悪魔の食欲/Demonic Appetite》フレーバーテキスト)

割に合わぬ勝利は只の、最も味の良い敗北に過ぎぬ。
ナヒリは憎い相手だが、智慧を称える余地は存在する。これほどの力を持つものを作り上げ、その力を一つの物体に閉じ込めた上に数千年、それ以上に渡って保つなど! ナヒリがゼンディカーの破壊を止めるべく戻って来ないというのであれば、ほぼ確実にあの女は死んだのであろう。本心から言うが、少々悲しいことだ。あの女と対峙する機会を二度と得られぬというのは。
空は自由の味がしたが、同時に我が失ったものの苦々しい記憶をも寄越した。かつて多元宇宙が我に与えた自由を思うと、空の自由は塵と化して消えた。

(公式記事「全てを賭しても」より)

 牙をひらめかせ、悪魔は笑った。「これまで、我を止められたものなどない、小さな蝋燭よ。そしてそれはお前でもない」
「約束しよう」 悪魔は低い唸り声で言った。「我はあらゆる次元を渡り、あらゆる惨めな世界を一掃し、やがてお前達の心得違いの生涯に相応しい罰をもたらすと」

(公式記事「燃え盛る炎」より)

めちゃくちゃポエム詠むな!将軍ともなるとポエムの一つや二つ詠めないとやっていけないんでしょうか。

4:ブレない!折れない!
ここまででだいぶ伝わったと信じたいんですが、この人とにかくメンタルが激強!自分が駒だったと知らされても、デーモンに変えられても、灯を封印されても、何百年もゼンディカーに閉じ込められても、力をごっそり失っても(いわゆる「旧世代PW」なので大修復でかなり弱体化してるはず)、ナヒリやニッサ達に負けても、計画が失敗しても本当に挫けません。

もちろん葛藤したり苦悩しながら成長するキャラも素晴らしいのですが、こういう揺るがない黒の権化みたいな人をかっこよく描いてくれる(やろうと思えばゲームで活躍もさせられる)のがMTGの素晴らしいところだと個人的に思っています。いずれ倒される時が来てもカッコよくいてほしい!

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このゲーム死んでから活躍することもあるし

4:終わりに

気の赴くままに書いていたらストーリー上の燃えポイントが8000字くらいになってしまい慌てて削ったのですが、それでもだいぶ長くなってしまいました。
ただ書くことが多いのはありがたいもので、自分の好きなキャラでも
《隠れしウラブラスク/Urabrask the Hidden》(ストーリー上で目立たない上に現状生死不明)
《騙り者、逆嶋/Sakashima the Impostor》(来歴を描いた素晴らしい公式記事があるのにwebarchiveでしか読めない!しかも英語)
レム・カロラス(そもそもカード化されてない、ストーリー記事やフレーバーテキストには何度か登場)
など「どう紹介するんだこの人?」みたいな場合もあるんですよね…

まぁオブ様もちゃんとストーリーに登場するまで5年かかったので地道に待とうと思います。最近は統率者系セットで昔のレジェンドを現代風に表現して登場させてくれるのありがたい!でもレムカロラスさんはスタンダードで使いたいので通常セットで出してください!次のイニストラードあたりで!

それでは。

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