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ミュージカル マタ・ハリ

マタ・ハリ観劇しました。キャストはこちら。

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初演組! 2018年の初演がほんとにほんとに大好きで… 2パターン観劇後、あまりに好きすぎて韓国版のライブビューイングを観に行ったくらい。ことある事に「再演して」と言い続けて来たらついに!!!感涙。ほんとは全通したいくらいなんだけど… 初演も加藤ラドゥー、東アルマンが好きだったので迷いなくこのキャスト回のチケット取りました。

もうね、最高でした。初演で最高って知ってるのにさらに最高。深みと厚みと凄みと熱量が増し増しで、圧倒され続けた。石丸さんの情熱的な演出、フランクワイルドホーンの1度聞いたら忘れられないキャッチーかつ情緒的なナンバー、アンサンブル含め圧倒的技術のキャスト。これが上質なミュージカル!


マタ・ハリ(柚希礼音)

強くて自立してて、でもアルマンの前だと少女のようにかわいいマタ。また会えて嬉しい。最初に出てきた時の圧倒的スター!!!に釘付け。マタ・ハリは悪女とかしたたかとか女を武器にしてるとか、悪い女のイメージがあるけれど、柚希さんのマタ・ハリは全くそんな感じがしない。ただただ真っ直ぐに生きている人。男たちを誑かしていると言いよりは、人間力で惹き付けている。柚希さんのマタ・ハリは媚びることができない。そこが一番の魅力。 こんな風に凛と生きたい、と女性も憧れられる存在。

そしてダンスも素晴らしい!劇中でもあるように、神聖なもの、儀式のよう。衣装は露出が多いのに、それがいやらしくない、柚希さんの持つ上品さと惚れ惚れする体つきがお見事です。衣装と言うと、マタ・ハリはAラインのワンピースやコートを着てることが多いんだけど、柚希さんが動くたびに裾がフワッとたなびいて素敵。一番好きな衣装はアルマンとリオンを歩く時の水色のワンピース。くすんだ地味な色が多い中で、アルマンといるときはちょっと明るい服を着てて、なんだか可愛らしくて大好き。

最期(あえてこの字)、牢屋に入れられて全てを失っても、マタ・ハリとして存在することを辞めない姿に涙。初演は気が狂ってしまって可哀想…という思いの方が強かったけど、今回はなんだか希望が感じられた。マタ・ハリはこの困難も乗り越えて行くんだろうなあ。


ラドゥー(加藤和樹)

色気を抑えてください!!!!!! 余裕たっぷりな色気も、自嘲的な色気もどちらも素敵。ガウン肩掛けがあんなに似合う人います? 

ラドゥーは嫌な奴なんだけど、100パーセント憎むことができない。しょうがないなあと思わせる節がある。国を背負うプレッシャー、同胞たちの死、出世欲、パートナーとの不和。いろんなことが重なってその重圧に押しつぶされそうになった時に、マタ・ハリが現れて。世界的スターを自分の手中に収められること、上手く利用すれば出世できること、戦争を終わらせられること。それがマタ・ハリへの執着に繋がっている。そりゃあ、やってることは最低なんだけど、でも彼も悩んでいたんだとちょっと同情してしまう。本来真面目でやり手な仕事人なんだと思うの。戦死した同胞に心を寄せ、戦争を終わらせたいと思っていた事は伝わったから。

加藤さんの安定感はさすが。マタ・ハリ、タイタニック、BACKBEATと観劇しているのだけど、貫禄が増しているような。そろそろ幸せになる加藤和樹が観たいですね…


アルマン(東啓介)

圧倒的ヒーロー!恋!もう終始かっこよかった… もうね、かっこよすぎたのよ… そして初演からの伸び率がすごい。

初演のアルマンも大好きだったんだけど、アルマン若すぎない…?って違和感を感じるところもあって。 若くてかっこいいからマタ・ハリもなびくはず→特別任務のご褒美に中将にしてもらえた、そんなような。若くて青い危なっかしいアルマンと、それをほっとけないマタ・ハリのある意味親子のような関係。(これはこれでとても好きでした)
でも!今回は!ほんとにすごかった!東くん自身の深みと自信が増して、リーダーに相応しいアルマンだった。中将になるべくしてなった勇敢な男。ピエールを鼓舞するシーン、良かったなあ。私まで応援された気持ちになって泣いてしまう。マタ・ハリを支えられる文句なしの男。もう恋です。
「普通の人生」が忘れられない。感情が溢れ出てとまらない! エネルギーをバシバシ感じて、必死に受け止めていた。拍手も群を抜いて大きくて、客席を掌握してしまっていた。もう一度聞きたい…!

あと茶色めちゃめちゃ似合う。イエベ秋なのか…?と気になってしまった。そして脚長すぎる!知ってたけど腰どこにあるの…?何頭身なんだろう。恵まれたプロポーション。

歌もお芝居も全部進化してて、圧倒的された。すごいなあ。東くんの進化が作品全体のパワーアップに直結していた。いやもうすごいとしか言いようがない。これからどんな役者さんになっていくのかが本当に楽しみ。


ラドゥーとアルマン

「二人の男」最高でした… 顔の良い男がバチバチにぶつかり合うのってなんでこんなに素晴らしいんでしょう。ニヤニヤが止まらなかった… マスクしててよかった…一幕の「二人の男」、ラドゥーがアルマンにパッシェンデール行きを命じたときのアルマンの感情の切り替わりにゾクゾクした。煽るラドゥーと食らいつくアルマン。「コレコレー!」ってボルテージ上がる。

今回ラドゥーのことを理解できたような気がしている。ラドゥーは、マタに恋愛感情を抱いていたのではなく、香りに惑わされていたんじゃないかなあ。「二人の男」でラドゥーはアルマンに「夢中なんだろあの香りに」と迫る。ラドゥーにとってマタの香りは強く記憶に残っている。マタは公演前にコロンをつける。(=香りを纏うことがマタ・ハリになるスイッチ)香りに酔い、惑わされていることをラドゥーは好きだと勘違いしていたんじゃないかなあ…と。
一方でアルマンはマタ・ハリよりはマルガレータ・チェレを愛している。アルマンにとってマタ・ハリの香りなんてあんまり関係なさそう。

「二人の男(リプライズ)」、発砲によって倒れるラドゥーとアルマン。その瞬間迷うことなくアルマンに駆け寄るマタを見て、自嘲的に笑うラドゥーがもう… 地位も名誉もなんだってアルマンより上なのに、でも圧倒的にアルマンに負けているラドゥー。こんなはずじゃなかったのにね。


マタ・ハリとアンナ

心の拠り所アンナ~😭 初演は親友、再演は親子。初演のアンナは歳が近い分、2人で支え合って立っている。再演のアンナは歳を重ねているからこその包容力が魅力で、マタ・ハリを後ろから支えてあげている。家族のような無償の愛。こういう愛が身近にあったから、再演のマタは真っ直ぐにアルマンを愛せたのだと思う。


戦争と今

結局「戦争が無かったら」この一言に尽きる。戦争が無かったらこんなに苦しむこともなかったのに。でも戦争だったからマタ・ハリとアルマンは出会えたと思うと難しいところではあるのだけど。

そして今。普通の暮らしができない中で、身の回りにある幸せをことの大切さを日々感じている。登場人物は「戦争を終わらせるために戦う」「戦争が終わったら何したい?」みんな未来のことを考えていたけど、それは希望ではなく無意味な夢物語で。どうなるかわからない未来のことを考えるより、今この時を真っ直ぐに生き抜く。これが大事なんだと思う。

大好きな演出家、大好きな作曲家、大好きなキャスト。心震え、満たされる。この感覚を味わうために、ミュージカルを観ているのだ。上質な作品でした。またいつか観劇できる日を楽しみにしています!




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