見出し画像

・『今を生き抜く乙女たち』/ Rick Rack

・Rick Rack

日本の3ピースガールズバンド。(2013?-2017)
結成まもなくして十代白書での準優勝、閃光ライオット2014を経て、2015年初のEPをリリースする。その一枚のみでの解散、次期バンドの活動休止。しかしその現状がこのアルバムに特別な意味を持たせているのも事実である。音楽的にはなんら新しいことをしていないであろうが、若き才能が最高の形で結実した珠玉のアルバムである。

彼女らの遺作『今を生き抜く乙女たち(2015)』を聴く-

画像1

・収録曲

1.アトリエ
繊細なリフと、単調にしかししっかりと響くドラムス。アルバム全体で見ても#1アトリエの存在は大きく、#2ソルジャーガールズへの良い足がかりとなっている。若く比喩を凝らした歌詞をSERINAの力強く優しく歌い上げる。

2.ソルジャーガールズ
彼女らの名刺代りの一曲。アグレシッブな側面と刺すように繊細な美しさが楽しめる。アルバム名通り、現代を生き抜く少年少女を代弁するがごとく曲である。この楽曲はRick Rack解散後VoとBaを中心に結成されたFERN PLANETでもカバーされている。キラーチューンでありYouTubeでも公式MVは100万再生を超える。

FERN PLANETでのカバー


3.迷い星
ソルジャーガールズで逸る心を諫めるように、優しく浸みる#3迷い星
静かに確実に盛り上がる展開、Vo.SERINAの声はこういった類の曲によく合う。

4.夢追いバク
愛する人の夢を食むバクを自分になぞらえた曲。
若さを感じられて秀逸な詩作である。
アッパーチューンが始まるようなイントロにVo.SERINAの声は切なげにメロディに絡む。

5.寂しがり病
収録曲で最もお気に入りの曲。SERINAの力強さと声の強さ、ラストの高音は心震わせる。椎名林檎の声のように、弱さと艶めかしさ、芯の強さが同居した彼女の可能性を感じさせる楽曲だ。

6.カラフル
温かく優しい旋律、日常を唄った人間味のあふれるバラード。
アルバム全体に終止符を打つようにゆっくり包み込む。


・『今を生き抜く乙女たち(2017)』とは

彼女らの処女作にしてRick Rackとしての遺作となった今アルバム。
全体を通して非常にバランスがよく彼女らのポテンシャル・可能性がいかんなく発揮されている。#2ソルジャーガールズを中心に山なりに曲中の盛り上がりが描かれていると思われるがそうでは無い。#1アトリエから徐々に続く胸の高鳴りは収まることなく#5寂しがり病まで続き#6カラフルで優しく蓋をし消化してくれる。邦楽ガールズバンドのマスターピース的作品だ。Vo.SERINAは今後も音楽活動を続けていくことを公言しており、今後の活動に期待されるしファンも望んでいることだろう。しかし、最高のタイミングで生み出された今アルバムを越えられないことは誰もが、本人さへも承知していることと思う。


画像2

画像3

画像4

画像5



・各リンク

・Vo,Gt.SERINAとBa.山口メイ子による新バンド(活動休止中)

・Twitter

FERN PLANET

Vo,Gt.SERINA


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?