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『20, Stop it.』/ KID FRESINO('21年所感)

'20年10月07日「No Sun」がYouTube上で公開される。それに伴い'18年を代表するhiphopの名盤『ài qíng』より3年ぶりのアルバムリリースがアナウンス。時代を象徴する『20, Stop it.』。

フレシノとの出会いは思い返せば、『FL$8KS(2013)』〜『Horseman's Scheme(2013)』でいずれにせよ2013年、まだトラックメイカーとしての彼が最初であった。''適当に''ラップしていたと語るC.O.S.Aとの共作『Somewhere(2016)』までは、それゆえに身軽に友人たちとその周辺のアーティストで構成されている。『ài qíng(2018)』より音やジャンルの拡張・融合の種は芽吹き、今作でその一つの実が結んだと見るべきであろう。

先行配信された「No Sun」の衝撃が強いためか今作には徹底して''無機質''のイメージが先行する。金属の、冷たい、迎合しえない、フラットな。
AIの吐き出す言葉をイメージしたという、「No Sun」のリリックは、フレシノのどこか非人間的で機械的なフロウにはまり、心地いい。ハンドパンの音色も神秘的で近未来な感じを助けているし、Otagiriの演説チックな滔々としたフロウも、Campanellaの細かい粒を繋げて繋げて流動させるフロウも、無機質な感じを違った角度から殊更引き立てている。

自身もアルバム内で折り返し地点と語る、JAGGLAのft.曲は相反して人間的だ。熱っぽいJAGGLAに絆されつつ、カネコアヤノ、Rondoへ。リリックの意味の重要性から解き放たれたかと思えば人間的なHiphopに帰ってきているような。

2021.10.11. 新木場で行われた、KID FRESINO,カネコアヤノ2マンライブに幸運にも足を運び、半年以上ぶりの生の音を楽しんだ。私的にはラストである新木場の風景を刻みながら。普段イヤホンや小さなスピーカーでは動きえない何かがざわめき。打ち込みの音をドラムで叩かれるような、試験管内では分からない生体内の出来事に感動し尽くしていたのだ。

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