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『GUNJOU』/ ACE COOL【個人的名盤】

広島・呉のラッパーACE COOLの1stフル。
HipHopにはその音楽の特性上、自然主義的側面が色濃く出る。いわゆる''リアル''というやつである。ボースティング、地元の友人と派手な過去。優美なそれらとは無縁な泥臭いところに彼はいる。

地元での内向的な少年時代から、AKLOに魅せられ上京そして現在まで、自伝的でコンセプチュアルな作品だ。

どこまでも口語的で口をついてでたその熱情そのままにラップする。音楽的なリリックの均しは無(いように思える)く、それを聴かせる彼のラッピングのうまさが際立つ。軽快なフロウからの熱量の切り替え。実直なリリックが深く刺さる。温度が伝わるほど濃密な情景・心理描写。
何よりも弱さを自覚しているからこその強さ。
ラッパーである前に、徹頭徹尾人間であることを主張するかのようだ。

''スキルは道具であって目的であってはならない''
とは、Red Bull Rasen(#13: anddy toy store / ACE COOL / GAPPER / Campanella (prod. by DJ MAYAKU))での本人のリリックだが、ACE COOLの魅力は技術が先行しないことにある。経験に裏打ちされたスキルフルな土台が透明化し、迸る熱いスピットとリリックが直接響く。

C.O.S.A.『Girl Queen(2016)』然り、コンセプチュアルな作品を出した次作が楽しみなラッパーである。


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