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『Cool Kids/C.O.S.A.』Release Oneman LIve at WWW X(渋谷)

1/12 『Chiryu-Yonkers(2015)』から実に7年ぶりとなるフルアルバム『Cool Kids』をリリース。本日1/15には渋谷WWW  Xにて自身初となるワンマンライブを行った。

今作は過去の作品群とは一線を画す雰囲気を放つ。『Chiryu-Yonkers』で見せた、赤裸々なまでの自然主義性。『Girl Queen(2016)』では打って変わって終始メロウなビートとフィクションを綯交ぜにしたストーリーテリング。『C-City Lost Tape(2016)』『FRIENDS & ME(2020)』に通ずるハードコアでギャングスタなリリック群。それらすべてが集約し結実したような。

一曲に対するリリックの量は増え、意図的に韻を踏むことを避けたようなものが目立つ。彼の持ち味である重厚にスロウに乗せるラップからは脱却を図ったかのようだ。ラップという歌唱法全般に言えることだが特に日本語でリリックに意味を持たせれば持たせるほど音から離れ、フロウはゆっくりになる傾向にあるよう思う。つまり、踊らせるフロウ且つリリックに重きを置くことは非常に難しい。今作はその問題にまっすぐ切り込んだ作品だという印象を受ける。
昨年末summitで渋谷を訪れた際に書いたと語る #11「Ghost Town」では
''2016から失望は続く この業界の裏側よく見てる それに吞まれかけてた俺がいる  だから少し離れる必要がある''
と描き、2016年からライブこそすれど制作しなかったことが心理が少しだけ明かされる。blackfileで公開されたKID FRESINOがインタビュアーを務める『Girl Queen』リリースのインタビューでは''今は生活できてないからね 単純にそれ(音楽)だけじゃ''と語る。その姿はぶっきらぼうでどこか他人事だ。


過去の作品に比べ、ビートは海外のプロデューサーが増えしかし自分を掘り下げる作品には、地元のビートメイカーを採用している。家族を支える覚悟や信念、HIP HOPへのタフさが垣間見える。#11「Ghost Town」ではこうも語る。
''俺は曲を書くたびに涙が出る だから誰のスタジオにもいかない こんな弱いラップスター想像したか''
彼の強さの根源が見える。自分の弱さを自覚しているものは強く、故にリリックにそれほどの力が宿る。私は彼を1つの''正解''として捉えている。好き・嫌いではなく彼のリリシストとしての覚悟、リリックが弱いものはラッパーではないと言い切る胆力。彼のスタイルで彼を超えるラッパーは現れないであろう。
『Chiryu-Yonkers』#1「GZA 1987」では''リリシズムが原因でぶっ殺されても仕方ねーと俺は思っとるでよ''と放つ。文字通り魂を削り書き上げるリリックに私たちは頭が上がらないのだ。

WWW Xで開催された自身初のワンマン。個人的には田我流主催の''Big Wave''at LIQUID ROOM以来のC.O.S.A.である。言葉少なに淡々と歌い続けるC.O.S.A.はどこかKID FRESINOと通ずるところがある。田我流の代わりにMAHBIEがきたり、JJJの前で「Wassup」をやったり、「LOVE.」/Kendrick Lamarのビートにのせる「365」、「Babylon Child」/ SEEDAのビートでの「知立Babylon Child」、客演で見る、JJJ,仙人掌,KID FRESINO,そしてRalph。
いつものように淡々とかますC.O.S.A.だが、いつもより少し熱っぽく気合が入っていたかのように思える。HIP HOP DNAで公開された「FRIENDS & ME」リリースインタビューでは多作になりたいという言葉通り、一年経たずフルアルバムをリリースしてくれたことに感謝である。今までのキャリアを踏みしめるようにバースをキックするC.O.S.A.。現代最高峰のリリシストである。

''いけるとこまで行こうぜなあ佐々木''

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