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違う場所に、本来ありえないものが置かれてる。ダンスカンパニーデペイズマンインタビュー
ストレンジシード静岡のサポートスタッフ、その名も「わたげ隊」。ストレンジシードってどんなフェス? どんなアーティストが出るの? ということを伝えるべく、地元・静岡を中心に活動するわたげ隊が出演アーティストにインタビューする企画。ダンスカンパニーデペイズマンのみなさんが登場です。
わたげ隊がゆく!
ストレンジシード静岡2023 アーティストインタビュー
ゲスト:木皮成(ダンスカンパニーデペイズマン)さん、丹野武蔵さん
聞き手:ハボ(わたげ隊)
ハボ 最初に、団体名の由来と、お二人それぞれの自己紹介から始めていただいてもよろしいでしょうか。
木皮成(きがわ せい) ダンスカンパニーデペイズマン代表の木皮と申します。団体に固定メンバーは居ないんですが、こちらはレギュラーメンバー的に毎公演関わっていて、音楽も作る丹野武蔵さんです。
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作品ごとにやる人が変わるんですけど、ほとんど一緒の人がいる、みたいな状態で。(今回もご出演の)高下七海(こうげ)さんもそうですね。毎回出てる。
「デペイズマン」ってどんな意味?
木皮 僕はもともと東南アジアを転々と旅してて。2016年に帰国して作品作りたいなって思った時に、美術大学出身っていうのもあって、ちょっとアートっぽい名前をもじってつけたいな、みたいなことを考えたんです。
シュルレアリスムのジャンルの中にデペイズマンっていう言葉があるんです。なんか「マン」てついてると男っぽいし。(フランス語だから)「男」という意味ではないんですけど、無理やりカタカナ表記にして。本当の意味は「異郷の地へ送る」で、旅好きにはぴったりな名前だなって思って、団体名にしました。
ハボ なるほど!
木皮 ダリの絵で、時計が溶ける絵がありますが、あれこそがデペイズマンで。違う場所に、本来ありえないものが置かれてる状態、みたいな。作品作る時は、そういうテーマでやる事にしてます。「ここにこんなのがあったらどうしようかな」みたいなのをダンスでやったら面白いかなっていうところからいつもスタートしています。
メカニカルでデータ数が多い鳥獣戯画!?!?
ハボ 今回、鳥獣戯画からインスパイアされた作品と伺っているんですけれども、鳥獣戯画を「デペイズマン」的に、と言うと、どんな作品になりそうなんでしょうか?
木皮 僕、結構ダジャレから作ることが多くて。鳥獣戯画ってワード出した時に、どういうもじり方が一番耳に残りやすいかなって考えて、「ギガ」をもう一個つけよう!という発想になったんです。ギガがついた鳥獣戯画ってなんかメカニカルな感じがしますよね。そこからデータ数が多そうな鳥獣戯画を作ってみたいな、ってところに発展しまして。
さっき稽古してたから今汗だくなんですけど、凄いんですよね。振り数も、テンポも。多分お客さんも首を振りたくなると思います!
ハボ 首振りたくなっちゃう感じのギガな鳥獣戯画(笑)
木皮 話が逸れるんですけど、M-1グランプリで「ヨネダ2000」っていうコンビがいて、リズムネタで160BPMのリズムをキープしてたらしいんですけど、彼らのインタビューで「一番人間がノリやすいテンポは160BPM」って言ってて、それだ!と思って。
今回僕らも160テンポで20分ぐらい踊るんです。
ハボ それは汗だくになりますね!
木皮 そういうすごいアップテンポなウサギ・カエル・キツネが居たら面白そうだなと。
ハボ なるほどー。
天野 (今回の作品は)誰が見ても「あ、鳥獣戯画だ!」ってなる作品なんですか?
丹野 あー。。
木皮 いい質問ですね!
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丹野 最初はやっぱり鳥獣戯画の絵から振付を起こしてみよう!とやってみたんですけど、ちょっとうまくいかなかったんですよね。でもモチーフは鳥獣戯画からもらって、解釈をどんどん膨らます中で変化していったんです。
木皮 結果的になんかちょっと鳥獣戯画っぽいよね、みたいな風に。
丹野 なってるなってる。鳥獣戯画っぽくなってる。
木皮 鳥獣戯画の絵巻物からこれやりたい!っていうシーンをピックアップしてるんで、「あ!あいつや!」みたいなのを発見できると思うんです。注目してください!
丹野 確かに!弓矢(の動き)とかやってますね!
木皮 160BPMの中で。
丹野 見つけられるかどうか(笑)
木皮 ウォーリーを探せ、みたいな。あそこに鳥獣戯画おる!って。
ハボ とすると、観劇前に少し鳥獣戯画を予習してから観ていただいた方が…
丹野 楽しいと思います!
「サンプラー」=「魔法の箱」
ハボ 今回サンプリングと、移動式DJブースを使われると伺ってるんですが、私サンプラーが何かすら良くわかってない人なんですけど、サンプラーって何なんでしょうか?
木皮 サンプラーは、叩くと音が鳴るっていう魔法の箱で、よくあるサンプラーは16個のボタンがあって、そのボタンに好きな音を入れられるんですよ。(初期設定では)ドラムの音とかが入ってたりするんですけど、データを書き換えて、ライオンの鳴き声とか犬の鳴き声とか人のセリフとかも入れられるんです。「ドッ!カン!ドッ!カン!ドッ!カン!パオーーン!」みたいな。
ハボ あーあーあー!(←わかったらしい)
木皮 音のデータを切り貼りする手法はよく使ってます。今回も色んな音楽のツギハギで出来ているので、それにサンプラーが加わる可能性があるかな、と、今ちょっと考察中です。
ハボ モバイルDJブースは、DJ機材を抱えた状態でダンスされるという理解で合ってますか?
木皮 それをね、やりたかったんですけど、あまりに重さが大変すぎて。ちょっとそのシーンとは分ける予定です。
ハボ 160BPM、20分これ持ったままやるのかなと思って。
木皮 やばいスね。
丹野 やばいッス。
雨が降った方がありがたい?
ハボ (静岡市役所前の)大階段という屋外でのパフォーマンスですが、屋外だから気をつけるところとか、逆に屋外だからこそ可能性を感じるところはありますか?
木皮 雨、降らないでほしいですねー。
ハボ・天野 (笑)
木皮 この間ストレンジシードの事務局の方に「雨降ったら中止にしてもいいんですよ」と言ってくださったんですけど、雨でもやりたいよね、でも足元が滑るよね、でもやりたい…
丹野 ま、現場判断で!
木皮 あと逆に、雨が降った方が僕らにとってありがたいのかも知れない。
丹野 連帯感とか。
木皮 お客さんとの連帯感。一生懸命やってて、
丹野 応援したくなる、みたいな。
木皮 あとは、劇場であろうと、環境によって起こるトラブルみたいなものを、なるべく無視しないようにしたいと思ってるので、なるべくアドリブを拾いたいです。
僕、振付をダンサーに渡さないんですよ。どういうことかというと、「ダンスの表(設計図)」をみんなで読みましょうっていうところから始まるんです。
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木皮 例えばここに「ビブラフォン奏者」って書いてるんですけど、(BGMで)ビブラフォンの音が鳴ってるから、ダンサーにはビブラフォンを叩く人の動きをやってほしい、という指示が書かれています。同時に「喜びのアンオー」って書いてあるんですけど、「アンオー」というのはバレエの形のひとつで、喜んでいる人の動きをやってほしい、という風に。
(動きの)形を揃える所はもちろんあるんですけど、どういう解釈でやりましょうか?というところは丹野君に任せているので、僕の振付には正解がないんですよね。
丹野 ある程度決めるところは決めるんですけど、野外だったらもうちょっと動きが大きい方がいいよね、というのを自己判断で出来るのが野外でやる面白さかな。
観光名所? 食い倒れ?
ハボ 静岡は今までにも何度かいらっしゃってますか?
木皮 私個人は2020年、SPACに俳優として参加させてもらってて、何回か行ってます。
丹野 僕も全く別の企画で、グランシップでやっていたオペラでダンサーとして出てたことがあって。
木皮 いいよね、グランシップの前さ、
丹野 だだっ広いところ
木皮 いいよね!
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ハボ 静岡でやりたい!って思ってらっしゃることはありますか?
木皮 僕、後輩を静岡の観光名所に連れて行きたい!っていう思いからストレンジシードに参加しようぜ!って言ってるので。
ハボ そんな思いが!(笑)
木皮 富士宮焼きそばとか、
丹野 あと「さわやか」ですね。
木皮 「さわやか」行きましょうね。でも、予約しとかないと。
天野 三時間待ったりするので気を付けて下さい。
丹野 あと、散歩したいですね。路地裏を歩いて、地元の人しか行かないような喫茶店に入ってみるとか、観光名所じゃないところも行ってみたいです。
木皮 市役所前の通りとか、駿府城公園とか、グランシップ裏の公園もめちゃくちゃいいよ、静岡。
意外と○○○かもよ?
ハボ 前もって鳥獣戯画を見ておいたら「ウォーリーを探せ」みたいな楽しみ方が出来る、とおっしゃってましたが、他に見どころってありますか?
木皮 敢えて意味深に伝えると、「意外と哲学的かもよ?」
ハボ おー…!
丹野 うーーーーーん?
ハボ (丹野さん、固まってる…)
丹野 そうなんですね?哲学的って、あの振付のことかな…。
木皮 今、丹野さんは振付を覚えることで一杯一杯だから(笑)。何も考えずに観れるっていうか、予備知識を必要としないように作ってはいるんですけど、実は斜に構えて観ようとしても、面白い作りにしてます。
ハボ 益々、楽しみになってきました!
木皮 ウォーリーを探せ、に近いんです。やっぱり。
丹野 作品のテーマもそうですし、振付の内容もそうですしね。
天野 静岡を楽しみにして下さっているのがすごく嬉しいので、おすすめできるスポットを調べておきます!
木皮・丹野 ありがとうございます!
ダンスカンパニーデペイズマン
2016年、木皮成により設立。団体名の由来は、シュルレアリスムの表現方法Dépaysement(仏:異郷の地へ送る)から。
「新時代の身体」をテーマに、形而上学や空想科学を上演構造に昇華し、独自のノーテーションを用いたダンス作品を創作。作品は劇場公演、映像製作、VR空間まで多岐に渡る。
2020年よりアジアの同世代アーティストとの継続的な創作を続けるため、コラボレーションを開始。これまでにアジア5ヵ国共同制作公演、マニラでのJapan Friendly week、インドネシア国際ダンスフェスティバル、台湾 Want To Dance Festivalに参加。
現在の拠点は、和歌山県と東京の二拠点。
WEBSITE
ストレンジシード静岡2023
『ギガ超獣ギガ』
ダンスカンパニーデペイズマン
日程:2023年
5月4日(木・祝)13:00 / 16:50
5月5日(金・祝)13:00 / 16:50
5月6日(土)14:10
会場:市役所エリア[大階段]
構成・演出:木皮成
振付:木皮成/高下七海/丹野武蔵
出演:木皮成/高下七海/丹野武蔵
衣装:土田寛也
インタビュー・記録・テキスト:ハボ(わたげ隊)
編集:天野(わたげ隊)
ストレンジシード静岡 事務局:山口良太、草野冴月
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