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「どうせ人間なんてみんなどっかちょっとずつおかしいんだから」

人の心の脆く壊れやすい現場で働いている。

難しい立場の中、優しくあらねばいけない反面、キツく責め立てられながら、基本的に怯え、慎重に毎日を送っている。


数日前、職員が飛んだ。

もっと具体的に言うと、その後行方不明になった。

今は連絡が取れたと親族から社長に伝わったことを聞き、安堵しながらも考えることがあってこのnoteを書き始めてみた。


当初は動揺して内容が入ってこなかったが、今は落ち着いてこのコンテンツを聴いている。

#Spoon DJのtel(ハチラジ)です。
ぜひCASTを聴いてみてね!
https://u8kv3.app.goo.gl/uHR17


#SPOON #tel #ハチラジ  

第97回「皆どっかちょっとずつおかしいんだ」


ラジオを(具体的には音声配信コンテンツアプリだが)聴くのは学生時代以来だった。

当時前職どブラック企業で機械になりかけながら働き、片道2時間はかかる電車内で、Instagramによく広告の出ていたこのSPOONというアプリを気まぐれに安直にDLし、気がつけば人間に蘇生してもらい、転職し今に至る。

まあその話はおいおいするとして、本題に戻る。


このハチラジ第97回では、新海誠作品「言の葉の庭」のキャラクターのあるセリフをピックアップして言及している。それがこの記事のタイトルである。


当初はコロナの大流行期、緊急事態宣言真っ只中ながらもリモートワークとは程遠い現場勤務の連勤終わり、帰路前に寄った100円ショップの中で「皆どっかちょっとずつおかしいんだ」というタイトルに惹かれ、自分の荒んだメンタルをなぐさめるようにこの回をCASTリストに入れて何度も聴いていた。

telさんのちょうど良い低さの声やテンポ、口調もさることながら、紡ぐ言葉、包容力のあるコンテンツに安心を感じていた。



それから季節が過ぎ、マフラーを着用し始めた頃、自己で精いっぱいになってしまったその若い正職員が飛んだ。

月初めシフトが出たばかりで、正職員の「〝今〟辞めたいです」を社長が即答でOKするわけが無いのだが、諸業務で社長が別室に行ってしまった瞬間、彼は行方をくらまし、グループLINEで「突然ですが、本日付けで退職します」とポストした後に消えてしまった。


そして冒頭に戻る。

成人を迎えた人間が、行方不明/消息不明になるというショッキングな体験が身近に起こるなど露ほども思わなかった

と書いていて、それはあくまで人間が「普通」としてあることを前提とした戯言であることに気がつく。

「ノーマライゼーション」ぶって社会の中でどうにかやり抜こうとしても、やっぱりどこかおかしいの中で、「平均」や「均衡」を保とうとみんなが必死になっていて、何かのささいなきっかけでそれが跡形もなく瓦解してしまう。

きっとどこでだって同じなのだろう。

人間が「飛ぶ」のは、この職場では2度目、人生の中では3度目の経験だ。

じゃあなぜ自分は今こんなにもやもやとしているのか。

ふと思い出し、SPOONの☆マーク(CASTリスト)から、telさんのハチラジのこの回を引っ張り出して聴きながらゆっくりと考えてみた結果、「ちょっとずつおかし」くなってしまって、限界を迎えた飛んだ人のカバーのために、本当は「みんなどっかちょっとずつおかしい」はずの「我々」が、「普通の人間」ぶらなくてはならなくなってしまったからなのではないだろうか。

「自立するためのなぐさめ」として、今の私には音声配信コンテンツアプリがある。学生時代マイノリティだった「ラジオリスナー」の自分も、この世界の中では普遍的で、共通のコミュニティを見つけて、「自立するためのなぐさめ」を得ることができている。そして、その中でまた「普遍的」に、「どうせ人間なんてみんなどっかちょっとずつおかしい」を感じては、リアルの生活をどうにかこなしている。

そして明日もきっと、何者でもなく、普通ぶったちょっとずつおかしい自分は、補填でいろんな部署へ走り回っているのだろうと思っている。


飛んでしまった人たちの「ちょっとずつおかしい」は、誰が救ってくれるんだろう。

今夜はその心配が夢に出てきませんように、と思いながら、これから定期通院のメンタルクリニックに行ってきます。



帰着点がわからなくなってしまった。

おしまい。



🎧推奨BGM🎧

🎧ハチラジ第97回「皆どっかちょっとずつおかしいんだ」/tel(ハチラジ) @advancetry(Twitter)

🎧Rain/秦基博

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