【獣人処方箋】Case.3 「獣人の群れ」(No.0029)


 人の気持ちなんか考えもしない獣人達は不思議とよく群れます。

いい歳して仲間でつるんで固まっている姿を街で見かけるかと思います。
公共の場所だろうと関係なく身内の世界を展開し、周りを威圧するように声を荒げたり攻撃的な笑い声で人々に不快を撒き散らします。

当然ですが全てワザとやっています。

彼らは群れて居ますが決して仲は良くありません。

彼らの大好きな「絆」という言葉は自分たちには絶対にありえないことだから、やたらと連呼して求めているだけです。

面白いことに、彼らは周りに獲物になる人間がいる時にだけ上記のように楽しそうにギャーギャー騒ぐだけで自分達だけになると鎮まります。

これが獣人達の生態で彼らの群れが成立するための条件として必要なものが「生け贄」なのです。

彼らは周りの真っ当な人達の優しさや丁寧さを踏みつける事で優位性を獲得し、その土台で背伸びをすることで群れの中で地位をアピールするのです。

何故なら根本的に彼らは仲間同士のようでいて、実は敵同士だからです。

獣人たちが生きる指針としている弱肉強食の法則で言えば、エサとなる一般人を奪う敵がその身内である仲間ですから、本来は何よりも最初に潰すべき相手なのです。

しかし、エサと違い喧嘩を売れば相手は手強く無傷では済みません。奪うものと失うものの経済的なバランスを考慮しかつ恐怖心もあるために野蛮な頭で判断した結果、仲間のフリをして揉めないように付き合っているのです。

ですから実は凄いストレスがありその捌け口として、何かある度に周りの人を生け贄にするのです。

つまりは八つ当たりです。

なんの八つ当たりかといえば、要は闘う相手と正面向いてやり合う根性の無い、自分の腐った性根へのやりきれなさに対してなのです。

それを無関係の優しい人にぶつけてくるのです。
真っ当に相手をするべき存在ではありません。

お気をつけください。


【獣人処方箋】Case.3 「獣人の群れ」(No.0029) 

おわり

Case.4へつづく


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