新シリーズ 【2つめのPOV】企画説明:後編その4(No.0138)


後編その3のつづき


前回、前々回はまだ何とか大体の感覚は掴めていたのですが、残り2つは本当に自分でも未だ掴めずにいます。
また多少掴めていても、どうにも難しくてきちんと扱えるのか不安なままです。


パターン〈セルゲイのMix Up〉



「綿毛」


夕焼けに照らされた土手
かばんを背負って歩く少年
足取りは重い


一番うしろの席から見える授業中の風景
色を失う授業風景


飼育小屋の金網越しに鶏を覗く少年
金網に右手をかける


雪で真っ白な住宅地の片隅で雪だるまを作る
大きいのと小さいのを2つ作って並べてから、遠くに離れて物陰から雪だるまを覗き見る少年


両手に乗せた丸いヒヨコ
小さく鳴くヒヨコ
ヒヨコと両手の色が消える


木造の古い家がショベルカーによって崩される
もうもうと立つ埃と露出した壁の中身や屋根の裏、そして人が住んでいた痕跡のある古びた部屋
離れたところからジッと見つめる少年


青々とした野原で走り回り、綿毛の付いたタンポポを何本も集める少年
右に左に走って夢中で集める


少年は川べりの石に乗って綿毛を吹きとばす
ゆるやかな風にのって青空に舞い散るタンポポの綿毛
綿毛を追うように青空を見上げる少年


夕焼けに染まる土手の上で立ち尽くす少年
少年の足元に生える綿毛の付いた一本のタンポポ
少年は足元のタンポポを思い切り蹴り飛ばす


ほとんど崩された古い家の瓦礫に埋もれる額に入った賞状
額のガラス板は割れている


少年は物陰から勢いよく飛び出し、体当たりして雪だるまを2体とも粉々に砕く


少年は両手に乗ったヒヨコを思い切り握りつぶす
同時に目も口もシワを寄せて固く閉じる
震える手
奥歯を噛み締め震える身体
震える手をゆっくりと開く
口を固く閉じたまま、ゆっくりと目を開ける
開いた手から、たくさんのタンポポの綿毛が風に乗って飛び出す
驚いて口も目も大きく開けて、風にのって飛ぶ綿毛を目で追う


蹴り飛ばされた綿毛が夕焼けの空に飛んでいく
綿毛を目で追う少年


頭から血を流し泣きじゃくる同級生
心配した友人たちに囲まれている
慌てた先生が大きな声を出して騒ぎ、怪我をした子を抱きしめる
誰よりも遠くでその姿を見ている少年


少年は空に舞う綿毛を掴もうとして、急に慌てて追いかける
一生懸命に綿毛を掴もうとして手を振るが、全然掴めずにかえって綿毛はバラバラに飛んでいってしまう
夕焼けのなか必死に綿毛を追いかける少年


「戻ってきてよ!」


土手に響く少年の声


足元には、綿毛を失ったタンポポの軸が残って揺れている


「綿毛」
おわり


まだよく解らないが、何とか書けたという程度です。
非常に疲れます。


つづく

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