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ライブレポ@北野日奈子卒業コンサート #北野日奈子は長谷川勇也

長谷川勇也という職人

長谷川勇也という野球選手をご存知だろうか。プロ通算1108安打、2013年にはシーズン198安打で首位打者を獲得した選手である。決して派手さはないが、職人技でファンを魅了した選手であった。そして何よりも卓越した精神力と闘志こそが彼の最大の魅力であろう。

彼を象徴するシーンは数多あるが、その一つに2021年日本シリーズ第3戦がある。(グダグダ説明するより見てもらった方が分かるだろう 動画① 動画②
ホークスvs巨人で争われたこの日本シリーズは、順調にいけばホークスが優勝することが大方の予想であり、2連勝で挑んだ第3戦もホークスがリードする展開であった。その6回裏、ホークス2死満塁のチャンスでこの男が登場した。「打撃一閃」のビジョンとともに、打席へ向かう長谷川。勝負は一瞬だった。巨人サンチェスの初球を打ったボールは、セカンド吉川へ。外野に抜けそうな当たりをキャッチし素早く送球。長谷川は決死のヘッドスライディングを見せるが、判定はアウト。これで巨人にいい流れができた。いや、そうはならなかった。一塁上でグラウンドに拳を突き立てる37歳の姿が流れを渡さなかったのである。チャンスで期待されて出場したのに、それに応えられなかった。ファンよりもチームメイトよりも悔しがる本人の姿に球場は一体となった。自然と沸き起こった拍手は、巨人のラッキーセブンの「商魂込めて」の音楽をかき消すほどの勢いであった。ピンチを防いだのは巨人で、チャンスを逃したのはホークスであったはずなのに、流れは全くその逆になり、結果としてこの試合もホークスが勝利した。そして、翌日も勢いそのままに4連勝、日本一を決めた。

この長谷川の姿、これこそが本日の主役・北野日奈子と重ねずにはいられないのである。

(長谷川の職人技集はここから)

北野日奈子というアイドル

北野日奈子というアイドルをご存知だろうか。選抜9回、福神1回、アンダーセンターを2回務めた乃木坂46の2期生である。決して派手さはないが、職業:
アイドルとしての生き方を全うしたような人物だった。そして何よりも人生をかけた覚悟が魅力であっただろう。彼女を象徴する場面はいくつもあるが、自身のセンター曲「日常」抜きには語れないであろう。
2018年12月に発売された22枚目シングル「帰り道は遠回りしたくなる」のアンダー曲として収録されたこの楽曲は、北野にとっても乃木坂にとっても欠かせない1曲となった。この曲が発売される前、北野は1年近い長期休業に入っていた。原因は体調不良だった。8枚目シングル「気づいたら片思い」で初選抜を果たして以降、選抜とアンダーを繰り返していた彼女には落ち着ける居場所がなかったのではないかとも思われる。2018年夏の全国ツアーで復帰すると、その次のシングルである今作ではアンダーとして活動することとなった。
「日常」という曲は、東西線ロングランサークルの3つあるテーマ曲の一つである。(残り2つはサンプラザ中野くん「大きな玉ねぎの下で」と欅坂46「月曜日の朝、スカートを切られた」)テーマ曲に採用している理由は、もちろんその歌詞からなのだが、日常といえば息をのむライブパフォーマンスである。
(見たことのない方はぜひ見てほしい。「【LIVE】乃木坂46 アンダーライブ2020~DAY-3~(for J-LODlive)」
イントロからアウトロに至るまで、すべてがカッコいい。惚れる。惚れた。
そんな「日常」で彼女は化けた。実際、この曲はライブでは欠かせない曲となったし、先日の46時間TVでの表題曲以外のメンバーランキングでは1位を獲得した。そして何より本人にとっても彼女の乃木坂人生を象徴する曲となっている。「日常」を披露するごとに磨き上げられていく表現には毎回惹かれていくばかりであった。
もちろん、彼女の魅力はそれだけにはとどまらない。彼女がブログやライブで紡ぐ言葉には人の心を動かす力がある。そしてユニット曲などからはアイドルらしさもうかがえる。それらはこれからグダグダと御託を並べていくことにしよう。

ゾンビ、既にゾンビである

3月24日、某企業の面接を終え、横浜へと向かった私。東横線の中で、長谷が…いや、北野の卒コンのイメトレをしていた? 北野の卒業が発表されたのは1月末。4月いっぱいでの卒業とあり、シングルでも表題とアンダーには参加しないと述べられていた。5月中旬に10周年のバースデーライブが控えていることから、この時点で卒コンはないものだと思っていた。それに、北野は参加シングル20曲中、選抜は9作と贔屓目にも選抜常連とは言えず、せめて卒業直前にセレモニーくらいはやってほしいという気持ちであった。それが大きく動いたのが2月末。乃木坂工事中のエンディングで「北野日奈子卒業コンサート、モバイル先行受付中!」と出た。それを見た瞬間、大きな声を出してしまった。卒コンをできるほど、彼女が乃木坂に貢献してきたということ、また、彼女が腐らずに9年間活動してきたことが報われたような気がした。私自身は「日常」新規ということで、正直応募していいものかかなり迷ったが、卒コン・セレモニーに関してはここを区切りにしようということで応募した。(ザキさんとか絢音さんはどうするんだ?)
バイト先にほど近い神田明神で当選祈願をしたところ、卒コンと翌日からのアンダラ3daysに全当選するという平将門もびっくりなご利益を出してしまい、正直財布が驚いたが、行けないより行けることが喜ばしいものである。(アンダラのチケットについては次のnoteでいろいろと…)
諸事情により時間ギリギリになってしまったが、何とかスタート前に会場入りできた。席はアリーナ真ん中中央。ものすごく近いわけではないが、真正面で見れることは非常に大きかった。何より行けることが喜ばしいことであるのだ。

影ナレで泣く4期生林瑠奈、2カス日本代表。(2カス=2期生推し)

それでは、ようやく本編のレポートに入ろう。(ここにたどり着くまでまで1週間かかっている)


0.overture
北野バージョン。

1.気づいたら片想い(8枚目 表題)
 北野が初めて選抜入りした曲である。1つ前のシングル、「バレッタ」で同じ2期生の堀未央奈がいきなりセンターを務めたのに少し遅れての選抜であった。北野の歴史の1ページ目を刻んだこの曲で9年間の締めくくりが始まった。

2.あの日僕は咄嗟に嘘をついた(10枚目「何度目の青空か?」 アンダー)
 アンダー曲の中でもかなり高い人気を誇る曲。初期アンダーのシンボル的な立ち位置。
 人生は、「もしもやり直せるならどこまで巻き戻そうか」の繰り返しである。

3.ハウス!(2枚目「おいでシャンプー」 カップリング)
 オタクのコールが賑やかな曲。コールは出せなくとも楽しい。

4.ロマンスのスタート(8枚目「気づいたら片想い」 カップリング)
これも楽しい。この緩急の差をつけられるのが北野らしさかもしれない。可愛くて恰好良い、マジで。

MC1 ライブに来るとわかる和田まあやの必要性.
VTR

5.ここにいる理由(9枚目「夏のFree&Easy」 アンダー)
 本当に久しぶりに聞いた。前作で初選抜となった北野だが、今作ではアンダーに入る。ここから選抜とアンダーを行き来する北野日奈子の波乱万丈のアイドル人生が始まったともいえる。

6.嫉妬の権利(13th「今、話したい誰かがいる」 アンダー)
#ロシア連邦は北方領土とアナスターシャを返還せよ2022
「2期生の誰かを推すと2カスになる」という格言があるが、このころから2カスなファンには心から敬意を表するべきである。隙自語すると、私は何空で生田を知る→高校生クイズ、はださま新規→気づいたら堀にもはまってた→日常北野新規なので、2カスになってからは3,4年といったところであり、ある意味2期生が報われ始めてからしかリアタイ出来ていない節がある。ん、本当に報われていたか?

とにもかくにも、InstagramerMiona Horiさんがかつて乃木坂46の堀未央奈さんだったころに言っていたように、この曲は「2期生が誰一人選抜に選ばれなかった」シングルのアンダー曲である。これを2期生がセンターで歌うのにはどうしても意味づけをしたくなるのが2カスのSAGAであろう。


7.別れ際、もっと好きになる(12th「太陽ノック」 アンダー)
#ロシア連邦は北方領土とアナスターシャを返還せよ2022
このシングルでは、ナムラシンウチが初選抜となった一方、そのほかの2期生は全員アンダーとなっていた。この辺で感情するのは避けられない。2カス、死。

8.不等号(14th「ハルジオンが咲く頃」 アンダー)
北野の戦友であり親友でもある中元日芽香のセンター曲。推し出す時期の関係もあって、中元ー北野ラインがそこまで強固なものだとは思っていなかったのが正直なところである。ギャン中は往々にしてラインを大事にするのであるが、これはギャン中亡霊おじいちゃんゾンビとしてヤラカシタヤラカシタ。

9.風船は生きている(17th「インフルエンサー」 アンダー)
2期生・渡辺みり愛のセンター曲。
先日の46時間TVでの深夜帯の過去映像が「風船は生きている」のアンダーライブ東京体育館のものであった。それまでこの曲にそこまで強い思い入れはなかったが、ライブの風船の振付がぶっ刺さることに不意に気づいてしまった。そんな風船をはじめて生で見たのが今回だったが、これはハマる。それから、間奏とアウトロのダンスも丁度良い。音楽として聴く分には特徴を捉えにくいし、歌詞はあまりにもヤスンゴだが(特にラップ?笑)、これは圧倒的にライブ向きである。なおこの後のアンダラでさらに急性刺さり症候群を発症することを私はまだ知らない。

10.ブランコ(16th「サヨナラの意味」 アンダー)
2期生・寺田蘭世のセンター曲。
2カス、この辺りで気づく。殺2カスセトリであると。それに気づいた頃には時すでに🍣。完膚なきまでに殺されていた。
寺田蘭世とかいうバランスオブゲーム*。。。
*G2勝利数歴代最多の7勝を挙げた名馬

11.アンダー(18th「逃げ水」 アンダー曲)
北野、中元のWセンター。
ダメだよこれは。リリース当時アンダーを歌わされた時の心境ってどうだったんだろうと思うとともに、さすがにサイコヤスンゴだよなという歌詞。ただ、今回が北野の最後のアンダーで、しかもアンダーメンバーと卒コンをやってこの曲を歌うのがあまりにも北野らしすぎる。日本語が崩壊してきたな。

MC2 りりあ

亡霊やゾンビに住民税はかかるのか?

そして、ユニットパートをやるよという予告VTR。死を覚悟した。いや、既に死んでいた。

12.君に送る花がない(16th「サヨナラの意味」 カップリング)
サンクエトワール(堀未央奈、北野日奈子、寺田蘭世、中元日芽香、中田花奈によるユニット)のメンバーも北野の卒業によってついに誰もいなくなってしまう。素直に寂しい。

※メンバーは、北野と金川紗耶、阪口珠美、佐藤楓、佐藤璃果

13.大人への近道(13th「今、話したい誰かがいる」 カップリング)
同じくサンクエトワールの楽曲。この曲の歌い出しはもともと堀未央奈のソロパートであるが、そこを4期生の林瑠奈がやったところで私は息絶えた。林は、日本代表2カスであり、特に堀推しだったことで知られているからである。
ちなみに、林は「乃木坂スター誕生」という超人気番組で「少女A」や「白い恋人達」などをカバーしており歌唱力が高い評価を受けているメンバーの一人である。そう遠くない将来に選抜に入る(と思っている)のでぜひ期待したい。

※メンバーは、北野日奈子、伊藤理々杏、林瑠奈、矢久保美緒

14.ゴルゴンゾーラ(4thアルバム「今が思い出になるまで」 カップリング)
こちらは、堀、北野、渡辺みり愛のユニット曲。2期生ライブの時にみり愛が「自分はあまりユニット曲をもらえなかったので大事な曲」と言っていたのを思い出した。

15.隙間(13th「今、話したい誰かがいる」 カップリング)
おじいちゃんオタクたちが死にそう。オリメンは「他の星から」と同じ1期生7名、もちろん誰もいない。正直これを歌いたかったのは意外だった。

16.ゆっくりと咲く花(5thアルバム「Time Flies」 カップリング)
はい。

2020年の幻の2期生ライブで初披露された2期生曲。音源化されていなかったが、最新アルバム「Time Flies」に収録された。「アナスターシャ」と並んで2カスが静かに魂を抜かれていく楽曲。2期生は2013年に加入したのだが、当時はせっかく人気が高まっている中で足手まといになるという意見も多く、なかなか歓迎されなかった。また、加入後すぐに「バレッタ」で表題センターを務めた堀を含め、アンダーとして活動するメンバーが多く、不遇と言われ続けてきた。近年になってようやく報われるようにもなってきたがそのころには時すでにお寿司。昨年の堀の卒業以降、卒業ラッシュは止まらず当時8人いた2期生はライブ時点で北野、山崎怜奈、鈴木絢音の3人となってしまった。鈴木は選抜に定着しているので、今回のライブにいたのは山崎だけだったが、その山崎と2人で歌い始めた時点で私の魂は鶴見川を渡っていた。そもそも本当に報われていたか?

なお、順調に進んでいた私の筆はここで止まり、現在はライブから3週間経った4月12日である。

VTR2 2期生について
「どうしても歌いたかった曲」として「未央奈が卒業してから…」と語り始めた北野。心の中でざわついていた。

17.バレッタ(7th 表題)
この曲は確かに堀未央奈の曲である。卒業後はどこでも披露されていない…と思ったら去年の4期生ライブ(配信)でやっとるやん!しかもC:早川聖来は解釈一致では…
それはそうと、「私がやることで後輩たちがやりやすいように」という理由で披露した北野、いよいよ長谷川である。

18.Route246(5thアルバム「Time Flies」 カップリング)
たたたったったったったたったた「「ぉおおおーっ」」である。は?
夏の全ツでもそうだったが、この曲のイントロでオタクの心の声が唸るのが本当に好き。世間では古臭い小室サウンドとして低評価だが、乃木坂特有の重低音と小室進行はライブでこそ輝く。まさかこれをやるとは思ってもいなかったが、wowwowしていてうれしかったwowwow。

19.ガールズルール(6th 表題)
歌詞「海岸線を まいやん バスは進む まいやん 空は高気圧 超絶可愛いまいやん」

20.裸足でsummer(15th 表題)
夏曲2連発!タオルを掲げるのだが、昔のアンダラの「北野日奈子」タオルとかを持ってる人もいて本人もだが推し続けるオタクの方もすごいよなと思っていた。実際、VTRの中で「私のファンは物好き」と北野自身が言っていたし、でもそういう人を推したくなるのがオタクであり2カスなんだよなという感想。

MC北野

21.僕だけの光(15th「裸足でsummer」 カップリング)
2016年高校生クイズ応援ソング。私が乃木坂にはまったきっかけとして、個人的重要ソングである。
「2018アンダーライブ九州ツアーアレンジ」と言われ、正直どんなものかわからなかったが、ピアノ音源のバラードバージョンであった。本来はアップテンポで「ザ・応援ソング」なのだが、スローテンポでダンス抜き、一人一人の歌声を聴けるこのバージョンは心に染みるものだった。歌詞を噛み締められるというとヤスンゴに屈服した感じがするので言わないが、歌詞とともに自分の歴史までもが思い出された。

22.日常(22th「帰り道は遠回りしたくなる」 アンダー)


冒頭に紹介した「日常」である。今回は「北野日奈子は乃木坂46としての運転を終了いたします」という特別発車案内?とそれに続くダンストラックのイントロで始まった。会場の観客は皆死にかけとはいえ、全てを悟っているのでこの時点で会場は曲カラーの青に染まっていた。
イントロが永遠に続けばいいのにという思いと、早く曲を見たいという期待で既に感情がぐちゃぐちゃだった。ダンストラックの最後に微笑を浮かべた北野が現れると心も体も震えていた。曲が始まり、歌が始まる。「ラッシュアワーの満員電車は 死んだ夢の棺桶」という歌い出しは北野にしか歌えないだろう。サビの歌詞は文面だとヤスンゴっぽくてダサいので書かないが、ここに曲とダンスが加わるとなぜかカッコよくなるのである。正直この曲のために8000円払い、神田明神に参ったまである。北野センターの最後の日常を目に焼き付けられたことに感謝したい。

こうして本編は終了。あの日常は一生忘れられないだろう。

心臓「忘れるわけねえだろ!!」

EN.スピーチ
卒コンでは白のドレスでアンコールに登場するメンバーが多いが、北野はクロノジェネシスで登場した。スピーチでは、アイドル人生を支えたスタッフ、メンバー、家族そしてファンへの感謝を終始伝えていた。印象に残ったのは、祝花への感謝である。今回、会場に祝花を贈ることが禁止されており、有志が近隣の会場を借りて祝花を集めて展示していた。この会場を北野の家族が訪れ、写真を撮っていたのである。ファンの独自の行動であり、本人は知らなくても何ら不思議はないものだったが、本人にも伝わっており、その感謝を最後のスピーチで述べた。ファンを大切にし続けた北野らしささ最後まで出たものだと言えるだろう。
(スピーチ全文はこちら )

EN1.忘れないといいな(29th「Actually…」 カップリング)
北野の最初で最後のソロ曲である。北野は決して歌が上手いタイプではないが、全力で噛み締めて歌う姿は最後まで我々の心を動かし続けた。この曲は北野に宛書きされたような歌詞で、「忘れるわけねえだろーーー」と思わず野次を飛ばしたくなるような歌唱であった。
そういえば、「乃木坂スター誕生」という4期生の超人気番組で北野が鈴木絢音とともにゲスト出演した際、「キセキ」を歌っていたのだが、これにも心を掴まれたと言えば本当になる。

EN2.君は僕と会わない方が良かったのかな(11th「命は美しい」 アンダー)
不等号に続き再び中元のセンター曲。ここまで来てこれをやるかという選曲に凄さすら感じた。
「君は僕と会ってしまって回り道したかもしれない」は自分を推していたファンへの北野なりのラストメッセージなのかもしれない。スピーチでは中元の言葉を借りて、乃木坂に「片思い」していたと語っていた北野。9年間でそれが実ったかは本人にしかわからないが、頼むから実っていてくれ。

MC北野 
このMCではメンバーから北野への感謝の言葉が述べられた。普通は、互いに「ありがとう」と涙を浮かべて話すようなシーンだが、ここは北野である。3期生の阪口珠美とのやり取りで生まれたシーン
阪口が「日奈子ちゃんの活動を見ていてアンダーメンバーとして自信を持って頑張れるようになった」と語ると、北野は「珠ちゃんはこれか辛いポジションとかを経験することもあると思うけれどそれを乗り越えて」と返した。このメッセージは北野にしか送れないだろう。長谷川である。

EN3.乃木坂の詩
ライブを締める定番曲。卒コンの締めはメンバーの色が出るものだが、北野が最後にこれをみんなで歌って乃木坂を去っていくというのは、いかにも乃木坂に全てをささげた彼女らしさである。

#北野日奈子は長谷川勇也

これでこのコンサートは終わり…ではなかった。
規制退場のアナウンスが告げられても鳴りやまない拍手。声を出せない観客の心の声が拍手の形でぴあアリーナMMに響き渡る。アナウンスに従って退場する客もいたが、多くはそこにとどまったままだった。アリーナには最後の雄姿をまだ終わらせまいとするファンや、その場でゾンビになり動けなくなったファンなど三者三様の光景が広がっていたが、皆の想いはただ一つ。「北野日奈子をもう一度見たい。」 突然、アナウンスが途切れ会場には拍手だけが響き渡った。そしてしばらくの無言の後、ステージに一人の姿が見えた。彼女は、当惑を隠しきれない様子ではあったが、マイクを手に話し始めた。「本当に想定外」だと言った北野は笑顔を浮かべながらファンへの感謝の言葉を述べた。こうして万雷の拍手を受けながら、ライブに、アイドルに人生をかけた北野日奈子はステージを降りていったのである。

まあ…この行為が褒められたものであったかどうかはわからない。特に、配信ライブではこの模様が流れない媒体もあったと聞くので、全肯定はできないかもしれない。ただ、これは少なくとも会場にいたファンの総意であり、同時に今乃木坂46というグループが発展するか凋落していくかの瀬戸際に立たされている中でのこの行動は今後のグループにも何か大きな影響を与える気がする。
そして何よりもアンダーメンバーの目の前で熱い姿を見せつけて去っていった北野日奈子は長谷川勇也である。

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