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ババヒロミさんのこと

学生時代にバンドをやっていたくらいなので、もちろん音楽は好きだ。
パートはギターで、それなりに上手く弾いてた(ハズ)。
尊敬する先輩や同期たちがやってた関西フォークと言われるジャンルが大好きだった。(今でもか…)

それから数十年、娘が中学生のころ、インターネッツは怖いところですね、で偶然ババヒロミさんがパーソナリティのラジオを見つけた。
ラジオの中でババさん自身の弾き語りの曲が流れるのだけれど、どうやって弾いてるのかわからない不思議な響きのコード、親指のリズムのしっかりしたギター、しっとりして、せつなくて、そして儚い歌声。
おじさん、ファンになった。

毎週土曜日に猫トイレの掃除をしながら聞いたババさんの歌、一緒に掃除を手伝っていた娘が口ずさんでいるのを聞いて、いい歌手と歌に出会ってもらえたと思って、しみじみ、うれしかった。

娘が高校生になったころ、渋谷でライブに出演されるのを知り、娘と一緒にライブハウスに行こうってなった。(ちなみに渋谷は、じじいになった今でも新宿と並んで、できることなら行きたくない街だ。)
嫌だなぁ、父さん渋谷が嫌いなんだよぅ、と娘に言いつつライブハウスに向かったら、案の定、道に迷った。こういう時はまずい方向にしかいかないのは、いつものこと。迷ったのは道玄坂あたりで、気付いた時はラブホテル街のど真ん中を歩いてた。びびでばびでぶ。

もしお巡りさんに職質受けたらどう受け答えすればよいのだ?とか、誰かに通報されたら即逮捕されるのでは?、とか頭をよぎったので、きょろきょろしたいのを我慢し、なるだけ前を向いてすたすた歩いた。
そしたら娘がクスクス笑いながら、「友達に会ったらどうしよう、知らないフリすればいいのかなぁ、それと、お巡りさんを見かけたら、このおじさん、知らない人です、変態なんですって言っちやおうっと」って言った。

げ、なななんでそんなことを言うの?、冗談でもまずいよ、そりは。
それに、なんで、とと友達に会うかもなのだ、えっ、友達がいつも行ってるって?、えぇぇ、そんな話はおおお父さんは聞きたくありませんからね、ふんとに。もう、だだだ黙ってください、今はライブハウスを探してて忙しいのです、お願いしますねっ、て父親の威厳を発揮しつつ、体感39分でライブハウスにたどりついた。

娘の友達やお巡りさんには会わなかったけど、ライブハウスのそばで、ババさんとすれ違った。

長いな、なので続く(かも)。

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