トーハクのきもの展で感じた、信長・秀吉・家康のリアル感

東京国立博物館のきもの展を見てきたら、信長の陣羽織、家康の胴服、秀吉の陣羽織、と展示がされていました。

・チビだったことが分かりやすい秀吉の羽織(高級インポート生地を利用)
・かっぷくのよさそうな家康の胴服(羽織的なもの)
・美的センスの高さがうかがえる信長の陣羽織(鳥の羽根を利用)

をはじめ

・篤姫のふくさ(徳川時代末期)
・秀吉の正妻ねねの小袖(戦国末期)

など、歴史上の有名人の着物がちょこちょこと展示されており、

「ほんとにいたんだ~ 」

という妙なリアル感を感じることができました。

秀吉のものは本当にSサイズだったので、「猿って、ほんとに小さかったんだ」ということが実感できてオモシロク、信長のものはハイセンスだったので 「美意識高かったんだなあ 」という感動がありました。


江戸時代の火消し半纏は、現代でいえばヨウジ・ヤマモトのデザインのようなかっこよさを持つものが展示されていました。

「天上天下唯我独尊」とか「夜露死苦」とかのヤンキーマンガに出てくる「特攻服のご先祖様?」、みたいなものを感じました。火消しの半纏は、火消しが火の中に突っ込んでいく時に着るものですから、ノリとしてはバトルの場に突っ込んでいく特攻服と、ちょっと近いものがあったのかもしれません。

花魁の打掛の展示もありましたが、これも近距離で見ても「超絶豪華」でした。これを着た花魁と遊ぶとなると、相当高かっただろうなということがうなづけるゴージャスな打掛でした。


布のクオリティーは時代が下がるとともに下落する?

明治大正期の着物で、「銘仙」というのがあります。これは、「生糸を作る過程でできるクズ糸をうまく利用してつくられた安価な普段着」です。林業でいうなら、間伐材という廃物利用で割りばしという便利アイテムが作れたみたいな話です。

銘仙の展示を見ると、布の雰囲気としてワンコインTシャツ的な雰囲気がよく出ていて、気楽な普段着だったことが分かりやすいものがたくさん展示されていました。

ところで、室町時代や戦国時代の大名や武将の衣装や、江戸期の花魁の衣装などを見てから、明治以降の着物エリアの展示を見ると、「明治以降、着物に使われる布のクオリティーが明らかに下落している」ように見えたのが面白かったです。

「昔はよかった」というお年寄りの話がよくありますが、着物の布という意味では、本当に「昔(江戸以前)の高級品はすごかった」のだということを実感してきました。美術鑑賞の対象としてという意味では、江戸以前のものが、鑑賞対象として見ていて楽しいと感じました。

YOSHIKIプロデュース進撃の巨人着物もおもしろかった

現代の着物コーナーは、岡本太郎デザインの着物や、YOSHIKIプロデュース着物もありました。

目を引いたのは「進撃の巨人のマンガ絵がプリントされた着物」で、布へのアニメ絵のプリントというものがアニメ映画のポスター以上にキレイにできていてびっくりしました。

友禅染の登場以降、絵画のような着物が作れられるようになったこと。と並んで、プリンター印刷的な着物の登場は大きな技術革新なのではないかと感じました。


補足

東京国立博物館 「きもの KIMONO 」
https://www.tnm.jp/modules/r_free_page/index.php?id=1987

※入場に事前予約が必要になっているのでご注意ください



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