ストーリーは人間にとってなぜ重要か
進研ゼミの「憧れの人」のリサーチ結果が面白かったのでちょっと考えてみました。
小学生の意識調査 憧れの人を読んでみる
2022年
ドラえもんが古典的長寿コンテンツなのだなあというのにもびっくりしましたが、注目すべきはアニメ作品の多さだと思っていて3位のアーニャをはじめ4人のキャラがランクインしています。
2023年
こちらも2022年より数は減りましたが「3位:星野アイ」「10位:フリーレン」とアニメキャラからランクインしています。
ストーリー上のキャラも、リアルの人間と同じくらい大きな存在感がある
星野アイ(「推しの子」の世界でアイドル)にあこがれて、実際に「アイドル的な存在」を目指す人が何人いるのかはわかりません。大谷翔平にあこがれた小学生がみんながみんな「高校では甲子園に出場経験がある高校の野球部に入る」みたいな進路を選択するかどうかは謎です。
プロ野球選手にあこがれるのと野球がやりたいのとは、必ずしもイコールではないからです。アイドルが推しなのと、歌やダンスのレッスンが好きでトークも好きというのも、少し違う属性なことが多いと思います。
大事なのは、「友達」や「お母さん」のようなごく身近で顔を見ている人たちと同じくらい、ストーリーの中のキャラクターや画面の向こうのアイドルやスポーツ選手にも、存在感があることがあるということです。
私自身、子供の時にずっと見ていたアニメのキャラが死んだ時にボロボロと涙を流したことがあります。それくらいその作品の世界が自分の中で大きな存在になっていたということだと思います。
架空世界のキャラも人間には大きな影響を与える可能性がある
キャラの存在感が強い場合、キャラの価値観は見ている人に対して大きな影響を与える可能性があります。
たとえば星野アイ(アイドル)にあこがれた場合、「ウソでも愛してるっていうほうが愛」みたいなフィーリングは入りやすくなると思います。ついでに「身辺の警護には気を付けなくてはいけない」みたいな感覚も入りやすくなるかもしれません。
これはとても興味深い現象で、この現象を活用して「こういう自分になりたい」があれば「そういうキャラの人のマンガとか小説とか映画とかアニメ」にふれる時間を増やせば、自然に影響される可能性があります。
もっとテキパキ仕事したいとかだったら、三国志の諸葛孔明みたいなキャラの出てくるものを見るみたいな。
もちろんスポーツのマンガを読んだからといって、そのスポーツをやるスキルは読むだけでは上がらないと思います。スパイ映画を見ても、それで射撃のスキルや外国語のスキルが上がることもないと思います。
ただ、フィーリングや価値観の部分はマンガやアニメを見るだけでも大きく影響を受ける可能性はありそうな気がします。
考え方部分が変わってくれば「これがふつう」の基準が自然と変容しそうなので、ストーリーを通して価値観をアップデートするというのはうまく活用できたら便利なツールになりうる気がしています。
なお、歴史ファンの間でたまに聞くあるある話ですが、中世が好きな人は価値観や感性が中世人に近づくみたいな説があってこれもわりと真実ではないかと私は思っています。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?