家康や幸村の旗印に見る「サムライスピリット」

大坂の陣で家康をさんざんに苦しめたことで有名な真田の旗印は「六文銭」です。これは三途の川の渡し賃からと言われています。「いつでも死ぬ準備できてるよ!」というサムライスピリットが感じられる旗印の選び方です。

死の覚悟という話が、さらにわかりやすいのが家康の旗印で「厭離穢土 欣求浄土」という文字をかかげていました。

これは「汚れた現世を離れ、安楽の地としての浄土へ」という意味ですので、戦場でこれを掲げるということは「戦って死ねば楽園にいける」的な意味の檄として解読することができます。「戦上手」として知られた家康公らしい旗印であると言えましょう。

ちなみにこの言葉、フィクションである時代劇やドラマなどでは「永遠に平和な浄土を願えば、志はかなうだろう」的な解釈をされることもあるようです。

ただ、江戸時代の書物である「柳栄秘鑑」にあるこの旗のエピソードの解説は戦意高揚的な方向性で解説されています。家康の敵だった一向一揆が「進是極楽退是無間地獄」を旗印に戦っていたのに対抗して「厭離穢土 欣求浄土」を掲げて戦って勝利してから吉例になって採用された的なものだったようです。

戦乱の時代に天下を奪い取った武将の掲げた旗印ですので「信じれば夢はかなう」的な道徳の教科書のような解釈をするよりは、「生きようとするな、むしろ死に行け!」的なサムライスピリットを掲げたものとして「武の心」を見るほうが自然ではないかと私は思います。


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