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大学教員になるまでの準備

 前回の投稿で「3年ほどの準備期間をかけて大学教員になった」という話を書きました。今回は、その準備期間のことをお話ししたいと思います。
要点を先に書いておきますと

(1)修士の学位をもっていること。
(2)査読論文が複数あること。また、査読付ではない論文もそれ以上にあること。
(3)学校現場の仕事にもしっかり向き合うこと。

この3つが必要かなと思います。

それでは、(1)~(3)のそれぞれについて簡単に説明します。


(1)修士の学位をもっていること。
 自分は、教育学部を出て教員になったのち、働きながら教育学部の修士課程に入りました。
 当時(20年以上前)は、現在のように「小学校や中学校の教員をして、途中で大学教員に転職する」という例が、少なくとも自分の住んでいる県内では、まったく見たことはありませんでした。ですから、当時の自分が修士に進学した理由は、「教育についてさらに学んでみたい」という非常に漠然とした期待でした。
 現在であれば、教職大学院か博士前期課程(いわゆる修士課程)のどちらかに進学し、学位を取得することになります。後日詳しく書きますが「大学教員に転職したい」という明確な目標があるのであれば、博士前期課程(いわゆる修士課程)への進学をおすすめします。


(2)査読論文が複数あること。また、査読付ではない論文もそれ以上にあること。
 査読論文というのは、レフリー制度の整った学会誌に掲載された論文のことを指します。
 査読プロセスを経て掲載に至るというのは、なかなか難しいことです。例えば、何も指導を受けていない学部卒の人が、学校での実践について頑張って何かしら書いたとします。しかし、その「論文」が採択されるのはかなり難しいことでしょう。これは書いている内容が悪いということではなく、「学術論文」に求められる書き方のルールや視点の置き方が、学校現場で書かれる「論文」とは異なるからです。また、学校で書かれる「論文」には「学術論文」と相いれない構造的な相違もあります。これについても詳しく書き出すと長くなるので、また後日くわしく述べたいと思います。


(3)学校現場の仕事にもしっかり向き合うこと。
 これは意外と思われるかもしれません。しかし、教科教育の大学教員は、その教科の現場教員ともつながっていることが多いのです。極端な例ですが、「私はいずれ大学に転出するのだ」という空気を振りまいて、現場の仕事をおろそかにするような人だと、いくら論文の数があっても足元をすくわれるように思います。これは大学の公募に限らず、仕事をするうえで当たり前のことなのですが、どうも最近そのような良くない事例をちらほら聞きます。確かに公募のとき、査読論文の本数は最重要ではありますが、資格試験ではなく公募、つまり選考ですから、「多い人が必ず採用される」とは限らないわけです。これについても後日、詳しく説明したいと思っています。

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