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現代の装備は身軽

ストームチェイサーの装備というと、ドップラーレーダーをはじめとする大掛かりな観測機器を用いて追跡を行うイメージがありますが、それは映画ツイスターが公開された約30年前の話で、ガチな研究者が使う装備です。現代の装備は実に身軽で、スマートフォンに複数のアプリを入れるだけです。今どきのスマホはちょっと前のPCを上回る性能がありますし、気象観測系のアプリも有料無料を含めて多くのものが世に出回っています。

装備に関してはかなりの誤解があるようで、取材の際など何か特殊な機器を用いているような質問を受けることが多々あります。車に関しても同じで、ごつい4WDと思われがちですが、実際は普通の乗用車です。そもそも日本の道は狭いですし、アメリカと違い未舗装の道路は滅多にありません。大きな車では駐車スペースの確保に困りますし、その場に溶け込んで活動するには目立たないほうが良いのです。

研究用の気象観測車両(オクラホマ大学)

私が追跡する際に用いるのは、撮影機材のほかスマホと雨具くらいで、特に変わったものはありません。唯一これだけは無いと困るのがGPSです。正確な位置がわからないと、撮影したデータを提供するときに座標の割り出しに苦労します。私の場合はドライブレコーダーにGPSが付いていますので、専用アプリで読み込むとGoogleマップと連動して即座に座標を割り出せます。

スマホに入れるアプリで必要なのが、予測の際に必要な高層天気図を表示できるアプリです。地上天気図では上空の寒気の様子などを見ることができないので、それに対応したアプリを導入したりWebサイトをブックマークしたりする必要があります。実際に追跡する際に必要なのが雨雲レーダーです。自分の立ち位置と雲の位置関係を測るために雨雲レーダーは必要不可欠です。レーダーも周波数の違いにより得意分野が違いますので、複数導入して使い分けています。基本は3Dのような無駄なエフェクトがなくシンプルで見やすいもの、更新間隔の短いものを好んで使っています。

それ以外にあると便利なのが、アメダスのデータを表示できるアプリです。地上付近の気温や風の変化がわかるとこれから向かうべき場所が容易にわかるようになります。極端に気温差がある場所や風がぶつかっている場所では何かが起こります。最終的には自分の感覚で決定しますが、ヒントがあったほうが有利なのは間違いありません。しかしながら人間の感覚というのは思った以上に優れていて、これはヤバいぞという状況が本能的にわかるのかもしれません。

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