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友達が不安で過ごしていたら、僕は友達の悩みに真剣に応えたい【子どもたちのストーリー】

STORIAでは、サードプレイスと呼ばれる居場所にて、
経済的・精神的な困難を抱える家庭と小学生の子どもたちのサポートを行っています。
一般的な子ども食堂と異なり、自分たちの居場所を必要とする子どもたちに、あたたかい食事や学習の機会を提供し、
子どもたちが心から安心安全な居場所と感じ、ありのままの自分でいられ、たくさんの愛情と最高の機会を得られる居場所をつくっています。

Kくん「おー!あやちゃん(代表ささき)、ひさしぶりー」

久しぶりに居場所に来たあやちゃん(代表ささき)を、
優しい笑顔と声掛けで迎えてくれたKくん。
彼は高校1年生。
高校に入学してからもボランティアとしてこの居場所に来てくれています。

ささき「Kくん、ひさしぶり!!高校生活どんな感じ??」

Kくん「農業高校だから、これからシイタケ栽培しようとしてるところ(笑)。」

ささき「へー!シイタケ栽培するんだ!ここの居場所でも栽培できちゃったりする?」

Kくん「マジで言ってる?(笑)。あやちゃんの無茶ぶり、いつもスゴ!!(笑)。」

 そんな会話をしながら、Kくんはこれからみんなで食べる夕飯の準備を手伝ってくれました。

ーKくんの生い立ちー

 Kくんが居場所にやってきたのは小学校3年生の時でした。
Kくんが小さい頃にお父さんが病気で亡くなり、お母さんが3人のお子さんを育てていました。
ある日、地域の紹介で代表ささきがお母さんの相談に乗ることになりました。

お母さん「Kは発達障害と知的障害があって、自己表現をすることが苦手なんです。学校も馴染めず、家ではそのストレスのせいか、家の中で暴れてしまうんです。専門機関で相談はしているのですが一向に治まらず、私はもう困り果てていて・・」

 お母さんは生活するためにコンビニで仕事をしており、3人の子育てとKくんの対応で心身ともに疲弊していました。
 
私たちスタッフも、Kくんが居場所に安心して過ごしてもらえるのかと心配もありましたが、Kくんと対話をしながら居心地のよい過ごし方、関わり方を一緒に考えました。
 
自己表現が苦手なKくんでしたが、自分から「学校には行けないけど、ここには来れるんだよね。」と、たくさんの笑顔を見せてくれました。

(左)居場所の畑に水やりをしてくれているKくん。この頃から農業に興味あったのかな
(右)真ん中にいるのがKくん。仲良し3人組でパソコンに夢中♪

ー体験プログラム『ラジオ番組』の制作ー

 ある日、子どもたちの体験プログラムで『ラジオ番組』の制作をしよう!ということになり、当時中学校1年生と6年生の男の子4人で、企画と準備を始めました。
 
企画書が代表ささきに上がってきました。
企画書の題名には『男たちの人生相談』と書かれていました。  

男の子それぞれの「らしさ」を考えながら、
Yくんは全体をまとめ進捗を確認するディレクター、
Rくんは司会進行を行うラジオパーソナリティー、
Iくんはおちゃらけキャラでパーソナリティーの話にボケと突っ込みを入れる役でした。 

Kくんは、言葉を発することが苦手なこともあり、
ラジオ企画では「自分には何もできる自信がない・・」と塞ぎ込んでいました。
 
それを見ていたスタッフのけいちゃん。

けいちゃん「Kくん、作曲に興味ある?一緒に曲を作ってみない?」

Kくん「できるかな・・でも面白そうかも・・」

Yくん「僕も手伝うから一緒にやってみようよ」

Kくん「うん」

 そこからKくんとYくん、けいちゃんとの作曲が始まりました。
けいちゃんはKくんの特性を見て、パソコンで作曲することを提案しました。
Kくんは言葉を発することは苦手ですが、パソコンでの曲作りでは素晴らしい才能を開花させました。
私たちが想像する以上に、オープニング、BGM、エンディングの曲を3つも作ってくれました。
そこからKくんの自信がめきめきと湧いてきたことは言うまでもありません。
Kくんはこの企画を今まで見たことがないくらいの良い表情で関わっていました。 

ラジオ番組には、大きな山場がありました。
それは、学校のお友達から「人生相談」の悩みを集めることでした。

Iくん「あやちゃん、この企画を担任の先生に説明したいんだけど、一緒に学校に行ってくれる?」

ささき「もちろん、いいよ!先生に企画書持って説明にしに行こう。」

 Kくん以外の男の子たちと学校で待ち合わせをしました。
学校に行けていないKくんを気遣ったメンバーが、
Kくんに「俺たちがちゃんと説明してくるから。」と話してくれていました。
 
学校の門に到着した時、なんと!!Kくんの姿が見えました。

ささき「Kくん!!来てくれたの??(涙)」

Kくん「うん!俺もみんなと一緒に説明したくて。」

4人揃ったメンバーの姿がとても頼もしく、輝いて見えました。

ー学校の先生に話をしに行くが・・

 Iくん「ラジオ番組を作っていまして、このような企画なんですが、クラスの友達に悩みのアンケートをとってもいいですか?」

学校の先生「お前ら、何言ってんだ。お前らは宿題すらやれていないのに、こんな企画やってる場合か。」

「K、お前なんて学校すら来れてないじゃないか。この企画がお前の何のためになるんだ?」

 ささきの怒りがMAXになり、先生に文句言ってやろうと思った瞬間・・

Kくん「僕は学校に行けません。
毎日、不安で不安でどうしようもない気持ちになっています。

でも不安で過ごしているのは僕だけじゃないかもしれないと思ったんです。

友達が不安で過ごしていたら、僕は友達の悩みに真剣に応えたいと思ったんです。」 

学校の先生「他人のことより、自分のこと考えろ。」

 ささき「先生のお考えもあるかと思いますが、今の子ども達の気持ちを聞いて、その言葉はないと思います。この場は帰りますが、後でお話する場をいただきたいです。」

 帰宅する道中、私たちの気持ちは悲しみと悔しさでいっぱいでした。
そして改めて、『このメンバーでラジオ番組を成功させよう!』と、みんなで気持ちを一つにしました。
 
人生相談のお悩みは、STORIAのサポーターの皆さんからいただき、
ラジオ番組の構成からシナリオ作り、作曲や話し方の練習まで、チームが本気で取り組みました。 

ー『ラジオ番組』の収録本番ー

 スタジオでは緊張しながらも本番前まで練習を重ね、しっかりと楽しみながら収録ができました。
収録後、子ども達の達成感や充実感で満たされた笑顔を私たちスタッフは忘れることができません。

収録前の打ち合わせ
収録が終わってホッとし、笑顔になっているところ♪

ーKくんのその後ー

 Kくんは、その後から学校に行くようになりました。そして家で暴れることもなくなり、お母さんとの関係性もとてもよくなりました。
 
どうしてそうなったのか理由は誰にもわかりませんが、居場所でありのままを受け止められ、愛情のある関わり合いがKくんの自己肯定感を育み、自分の意思で人生を切り拓きながら生きていくための礎になったのかもしれません。

『私たち大人が自分の“being”を大切にすることが、
子どもたちの“being”を受け止めることに繋がっていく。』

 
このことは私たちの大切な立脚点です。
私たちは目の前の子どもたち一人ひとりの心の声に耳を傾け、子どもたちの小さな選択の積み重ねに寄り添い続けること、命と心が通い合う場を子どもたちと共につくっていくことを大切な『あり方』として立ち続けたいと思っています。

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STORIAでは
・子どもたちの気持ちに寄り添い、一緒に過ごしてくださるボランティア
・子どもたち・親御さんを支えるご支援
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詳細は以下HPリンクよりご確認ください。
私たちの愛情の循環に加わってくださるみなさまをお待ちしております。

子どもたちの日々の居場所での様子は、note・Instagramでもお届けしています。ぜひ居場所の雰囲気を感じてみてくださいね!


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