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インボイス制度 適格請求書発行事業者「登録取り下げ・失効件数」2023年10月期分 報告



●「登録取り下げ・失効件数」2023年10月期分 報告

2023年10月1日から施行した消費税インボイス制度。当会(インボイス制度を考えるフリーランスの会)では、国税庁が公表しているインボイス制度適格請求書発行事業者公表サイトのデータを基に、毎月「登録取り下げ・失効件数」のデータを集計・分析してきました。

制度実施直後となる2023年10月期のデータは、制度開始前 9月末までの中でギリギリで登録を取り下げた方が数字として現れています。1ヶ月間で「登録取り下げ・失効件数」が9,565件と単月あたりの取り下げ・失効件数として過去最高を記録。分析を始めた2022年6月からの累計で3万1385件に達しました。

制度開始前に何万もの登録取り下げが発生する制度が、他にあったかどうかは調べてみなければわかりませんが、少なくとも「インボイス制度」は、それ相当に混乱を招いた制度であったことは、間違いなく言えると思います。

登録取り下げ・失効件数 2023年10月末データ

取り下げ件数は、国税庁が公表しているインボイス制度適格請求書発行事業者公表サイトのデータを基に、当月と前月のデータを比較し、インボイス制度の登録取り下げ・失効件数をカウント。この中には、廃業、合併、企業統合などにより登録番号を失効したと考えられる件数も含まれています。

詳細を見ていくと、特に個人の方の「取り下げ・失効件数」が7,747件と突出しており、直前で、インボイス登録が本当に必要か、経過措置などを鑑みて一旦取り下げようと動いた方たちが、かなり多くいらっしゃったということがわかりました。

登録取り下げ・失効件数 内訳データ

本来は、10月1日時点で検索サイトに存在している番号は、向こう7年間は削除されない建て付け(消費税法上)のはずでした。
しかし、国税庁側があまり想定をしていなかったであろう、登録した事業者が制度が始まる前に「取り下げ」るという特殊な行為と、制度開始直前の国税庁側の体制が整っていなかったために、10月になってからも、公表サイトから順次「取り下げ」手続きが完了した分から、登録情報が消去されている現象が確認できています。

「取り下げ」をしたはずなのに、まだ自分の番号を検索すると表示が出てしまう…という声も聞きますが、国税庁の「インボイス制度適格請求書発行事業者公表サイト」からは、11月末時点でも、登録情報が順次消去されているようです。(「取り下げ」の手続きが完了次第の情報消去であると、推測されます。)

きちんと「取り下げ」ができているかどうか状況を見守りながら、心配な事業者さんは、所轄税務署などへお問い合わせなどをされると良いかもしれません。


●「取り消し」申請をして、免税事業者に戻るには

2023年10月1日の時点で、インボイス制度 適格請求書発行事業者になっている元免税事業者で、「やっぱり、免税事業者に戻りたい」と思われた方は、国税庁が用意している適格請求書発行事業者の登録の取消しを求める旨の届出書(PDFファイル) の様式に従い、手続きをすることが出来ます。

<※注意点>
但し、「取消し届出書」の提出日には気をつけてください。取消しをしようとする課税期間の初日から起算して、15日前までに提出する必要があります。また、
・適格請求書発行事業者の登録日
・事業者の課税期間(事業年度、決算月)
などにより、取消しが受理されても、即、翌課税期間から免税事業者に戻れないケースもあります。詳しくは、所轄税務署か税理士などにお問い合わせ頂くのがよろしいかと思います。

※参考「インボイス制度において注意すべき事例」(国税庁)

取消しの届け出をして、免税事業者に戻れるタイミングについては、以下の動画がわかりやすく解説されておりましたので、引用いたします。ご参考になさってください。

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