見出し画像

なぜ「大きな政府」を持つ国は崩壊するのか。デメリットを解説。

我々の社会は大きく3つのモノによって構成されています。
一つは政府(政治)、一つは市場(経済)、そしてそれ以外の政治権力も金銭も介在しない、家族や地域などのコミュニティです。
このうち「政府」が大きくなりすぎた国は、歴史的に崩壊しています。
ソ連は崩壊し、中国は6000万人の死者を出し、部分的に市場原理を取り入れる事になりました。
そして今、政府が大きくなりすぎた日本やヨーロッパは深刻な低成長・少子化に悩まされ、移民に乗っ取られ、国と民族が滅亡しようとしています。
今回はなぜ「大きな政府」を持つ国が崩壊するのか?そしてなぜ市場原理が優れているのかという事を書きます。


日本の現状について

まず「日本は大きな政府ではない」、「日本は大きな政府を止めてから衰退した」という誤解もありますので、その点について解説します。
日本は確実に大きな政府です。「大きな政府ではない」という方は、恐らく公共事業や公務員雇用が他国と比べて少ないのではないか、という事を言いたいのだと思います(実際に少ないわけではありませんが)。
大きな政府の定義は「政府が積極的に市場に介入すること」であり、もちろん社会保障も含みます。年金制度があるという点だけでも、日本は政府が肥大化し過ぎています
日本は収入の46.5%が税金や社会保険料で持って行かれます。これが大きな政府ではなくて、何なのでしょうか。
https://www.mof.go.jp/policy/budget/topics/futanritsu/20240209.html

更に財政赤字拡大に伴うインフレ・円安や、有権者が直接負担しない税金・手数料を含めると、間接的な負担はもっと大きいです。
「日本は大きな政府ではない」と言っている方々は、「必要な部分にお金が使われていない」というような事を言いたいのだと思いますが、それはまた別の議論です。
重すぎる税金・社会保険料と、増え続ける歳出を考えると、日本は間違いなく「大きな政府」です。
もう一つの論点として「大きな政府を止めたので日本は衰退した」という議論もありますが、これも間違いです。
前述したように税金や社会保険料は上がり、財政赤字も増え、政府は肥大化を続けているというのが一点です。
もう一点は、そもそも戦後の高度経済成長はアメリカからの投資ありきという点で、別に日本が歳出を増やしたから成長した訳でも何でもありません。事実、世界には歳出を増やしても悪性インフレになるだけの国が多々あります。
バブル景気が一時的なインフレだった事を考えれば、むしろ日本は成長している状態の方がイレギュラーだと言わざるを得ません。高度成長とバブルだけが特殊なのです。
「失われた30年」と言いますが、30年も続いているならそれが普通です。
そもそも日本は成長できる国ではない、その理由が「大きな政府」です。
それでは本題に入りますが、なぜ「大きな政府」は国を崩壊させるのでしょうか。

「大きな政府」が失敗する理由① 利益を考えない

いきなり本質を答えますが、利益を考える市場の民間企業とは違い、政府はいくらでも徴税も国債発行も出来てしまうので、利益を考えません。
利益が出ない事業が経済成長に寄与する事は絶対にありません。
「利益が出なくとも公共事業などをすれば経済成長する」は絶対に間違いです。

これは重要なところなのでもう一度書きます。
利益が出ない事業が経済成長に寄与する事は絶対にありません。
「利益が出なくとも公共事業などをすれば経済成長する」は絶対に間違いです。
なぜか?利益を出すには、最低でも2つの条件が必要だからです。
一つは消費者のニーズがあるという点です。つまり誰の役に立つのか、という事です。
芸術家やスポーツマンなどがそれだけで食べていくのは非常に難しいです。彼らは技術力では非常に高度な事をしている場合が多い、しかしニーズが少ない。見る人に感動を与える、という点では一部のトッププロだけで十分だからです。
これが重要な視点で、「私は難しい仕事をしているのに賃金が安い」と文句を言う方がいます。難しくともニーズがなければ必要ありません
また「私がしている事は必要なのに」と言う方が居ますが、これも必要だと判断しているのは自分だけだったりします。
利益を出すためのもう一つの条件は掛けたコストに対してメリットの方が大きいという事です。もっと平たく言うなら「採算が取れる」という状態です。
例えば山奥の集落にアクセスしやすくするために道路を作ったとします。すると集落の住人にはメリットがありますが、その道路を作るのに消費した資源や労働力を考えると、経済成長にはマイナスです。
利益を出すには以上の2つが必要ですが、逆に言うと利益の出ない事業は「消費者のニーズがない」のか「掛けたコストに対してメリットが見合ってない」という事なので、やはりそんな事業は経済成長に寄与しません。
ここで重要なのは「経済成長には」寄与しない、という点です。
例えばシビリアンコントロールが必要な安全保障や、公平性が求められる警察は政府がやる必要があるのかも知れません。また「移動の自由の確保」を確保するために道路を整備したり、倫理的な理由で社会保障を整備したり、コミュニティを守るために地方を支援したり、という考え方はあると思います。
しかしそれらは経済成長には寄与しないのです、「やればやるほど雇用が増えて得なんだ!」というのは間違いです。
経済成長を犠牲にしている事を自覚した上で、なるべく最小限に、効率的に、という事を意識せねばならない、という事を言っているのです。

「大きな政府」が失敗する理由② 管理できない

これも普通に考えればすぐ分かる話ですが、例えば大企業であるトヨタ自動車の従業員数は約7万人です。
一方で日本は国家公務員だけで58万人、地方公務員は274万人です。
どんなに天才と呼ばれる経営者でも数万人を統括するのが限界なのに、
世襲のお坊ちゃんに何十万人という人間をマネジメントできますか?

それも自動車のように1業種だけならまだしも、行政は複数の事業が入り乱れているので、余計に難しい
という事なんです。妄想の中で「あれもこれも国営化すべきだ!」と喚く方がいますが、現実的には全く不可能なんです。これは人や社会の限界なのだから仕方がない。
不可能な事を無理矢理やっているから適当な仕事になるのです。

「大きな政府」が失敗する理由③ 無駄が多い

当たり前の理由が続きますが、同じ給料でも国民がそのまま受け取れば消費に使えますし、貯まれば事業や投資に使える。また余剰資金になったとしても、ある程度の余裕は消費性向を高めます。
それをわざわざ国が集めて、何に使うかを決めて、費用を掛けて再分配する、というフローは無駄でしかないです。
余計な間接業務を増やしまくっているのだから、非常にシンプルな害悪と言わざるを得ません。

「大きな政府」が失敗する理由④ 責任がない

よく資本主義を批判する方々が「資本家が富を独占してておかしい!」と言いますが、自分で必死に稼いだ金だから真剣に運用するのです。
逆に言うと政治家や官僚にとって税金とは、他人の金です。汗水流して稼いだ金でもなければ、使い方に失敗しても何の責任も取らなくていい
だから適当にジャブジャブ使って、意味不明な事業で溢れかえるのです。
この一点だけ見ても「大きな政府」は有害であると言わざるを得ません。

まとめ

今回は「大きな政府」が崩壊する理由を述べました。
一言で言えば経済成長に寄与しない、生産性の低い業務で溢れかえるという事です。
しかし結局のところ、事実ベースで失敗した実績が多いというのが全てでしょう。政府を大きくしたソ連は崩壊し、中国は6000万人の死者を出しました。なぜかそれを真似した日本、ヨーロッパは衰退しつつある。
そんな事を今更やる必要はないのです。

「減税通信!」の活動を支持して頂ける方は、ご支援の程よろしくお願い致します。