理由⑤現地採用=海外アルバイト社員
前回、現地採用での就職の場合、
入社試験の際には筆記試験も性格診断もなく、
35を過ぎても簡単に業界を変えることが可能であり、
面接も1回で終わることがあるとお伝え致しました。
当時、この時点で少し違和感や不安を持ちましたが、
その理由が何かまでは分かりませんでした。
では、なぜこのように「現地採用は入社のハードルが低いのか」
を今回お伝えします。理由は下記の3つです。
1.支店長の一存で採用が可能だから
これを話すとほとんどの方に驚かれるのですが、
日系海外支店の現地採用の人事には、日本本社の人事は一切関与しません。
つまり、現地採用はあくまでも海外支店に直接雇われているだけで、
雇用関係においては、日本本社と一切関係のない人物だということです。
(仕事上はがっつり日本本社との関係があります、
それこそ日本の正社員と同じような立場として扱われます)
採用の仕組みとしては、コンビニやスーパーのアルバイトを
イメージすれば分かり易いと思います。
店舗が独自にアルバイトを雇っているのと同じ仕組みです。
勿論、本社から人件費等の採算性は見られますが、
アルバイトを雇う際は、基本的にその一店舗の権限で可能です。
現地採用の場合もこれと一緒です。
ご存知の通り、バイトの面接を行うのは
本社の人事部ではなく、その店の店長です。
これと同じ仕組みで、現地採用の場合、
海外支店の支店長(日本本社ではそこまで偉くない管理職の人)
が面接をします。
日本本社採用時のような
筆記試験+人事・現場・役員面接という厳しい
スクリーニングを受けるわけではなく、
一支店長の裁量で採用することが出来るから、
入社が簡単だということです。
2.人事のド素人が採用活動を行っているから
あえてこういう言い方をさせていただきます。
日本の会社では、まず人事部が採用一次面接を行うのが一般的でしょう。
筆記試験や性格診断等で集めた基礎的情報と、
何人もの応募者と対話した経験とデータを持って
面接を行い、客観的に審査を行っていく。
面接の際に確認するポイントも熟知しているはずです。
それに対し、まず先ほどのバイトの例でいくと、
バイトの面接をしている店長は、人事のプロではありません。
あくまで店長、つまり現場の方です。
これと同じで、現地採用の面接をしているのは一海外支店長であり、
彼らも同じく現場出身で、人事の経験はありません。
要するに、人事の経験の無いド素人が採用活動を行っているわけです。
彼らは自分の感覚のみで採用面接をしています。
なので、僕の様なその業界経験の無い人間すら、
面接の場でうまくやり取りさえできれば受かってしまうのです。
自分で言うのもおかしな話ですが、結果そういう事です。
3.面接官(駐在員)に任期があるから
駐在員には任期があり、一般的には3年~5年と言われています。
これは裏を返すと、採用に関して長期的な視点が無いという事です。
どうせいつか日本に帰るし、自分の任期内さえ何とかなればいい、
そういうその場しのぎの考えが必ず生まれます。
会社として、ある人を採用するに当たり
「たった数年の付き合い」を前提にするのか、
それとも「ずっと付き合っていく」を前提とするのかで
(日本は基本後者)、応募者のどこを見るかも、
審査の質も変わってくるはずです。
現地採用の場合は「たった数年の付き合いを前提とした採用」です。
この条件も採用のハードルを下げます。
4.まとめ
現地採用の入社のハードルが低い理由は、
「人事未経験者である一支店長の一存で、
たった数年の付き合いを前提とした採用活動を行っているため」です。
5.お伝えしたいこと
採用形態の例でも出した通り、日系企業の
海外支店の現地採用は「フルタイムアルバイト社員」です。
え?現地採用も正社員でしょ?
と思っている方が非常に多いと思いますが、
日本でいう「正社員」は駐在員だけです。
日本の雇用形態でみたら現地採用はバイトと同じです。
ここを勘違いしている人が、かつての僕を含め非常に多いと思います。
給料に関しては現地スタッフよりもらっているため、
本質が分かりにくくなっていますが、
結局給料や社会保障面を含めて、待遇はマジでバイトみたいなもんです。
社会保障面は別で触れますが、現地採用は基本全員
国民年金払ってないです。
払う余裕がないからです。真剣に将来を考えたら
本当にそれでいいのかという話です。
実際のところ駐在員と現地採用の給料は3~4倍位違うので、
日本でフルタイムでバイトした時の方がまだ両者の給料の差は
小さいかもしれません。
時間数によってはバイトでも雇用保険や会社の健康保険にも入れますし。
てなわけで、仮に日本の超有名企業の海外支店の現地採用
になったからと言って、自分が日本の超有名企業の正社員になった
と思ったら大間違いだという事です。
採用のハードルも全然低ければ、そもそも日本本社との
雇用関係が全く無いわけですから。
ただし、仕事内容は正社員と同じ難しい仕事である可能性が十分あります。
海外支店はそもそもの日本人の数が少ないので、
日本語ができるあなたにお鉢が回ってくる可能性も十分あるでしょう。
「待遇はバイトだが正社員の仕事を任せられる」ことをどう捉えるかです。
エージェントはここだけピックアップして「駐在員と同じ」とか、
「キャリアアップのチャンス」と言いますが、
ほとんどの方は「いやじゃあもっとお金払えよ」と思うのではないでしょうか。
現地採用の入社のハードルが低い理由、お分かり頂けたでしょうか。
これから現地採用を目指そうしている方は、
「現地採用=アルバイト」ということを絶対に頭に入れておいてください。
皆さんがそれを知った上で現地採用を選ぶのと、
それを知らないで現地採用を選ぶのでは、大きく意味が違ってきます。
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