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VOCALOIDへのメッセージをそのボカロ自身に歌って貰う楽曲について

*サムネイルは斜め上P【MEIKO】きみとぼくのレゾナンス【マジカルミライ「MEIKO 15th Anniversary」テーマソング】からお借りしております。

いつもお世話になっております。口閉(こうへい)と申します。
今回は,以前から気になっていたタイプの楽曲について語らせて頂きたいと思います。
音楽的な技術や方向性についてはご期待に添えかねると思いますが,それでも宜しければ少々お時間の方を頂けましたら幸いです。

さて、何についてお話させて頂くかといえばタイトルの通りなのですが,我ながら何のことかわかりにくいタイトルです。
ですので,今回のノートを書こうと思ったきっかけでもある1例を通して話をさせて頂きます。

はい!皆さんご存じ「MEIKO 15th Anniversary」テーマソング、「きみとぼくのレゾナンス」となります。MEIKOさん15周年おめでとうございます!
今回はサムネもお借りしているのですが,このタイプの曲がテーマソングとして抜擢されたことについて個人的に感慨深いと感じ,一言二言申し上げたくて筆を執らせて頂きました。

こちらの楽曲は,大別すればVOCALOIDイメージソングに分類される楽曲ではあるのですが,こういうタイプの曲を聞きなれていない方はちょっと「ん?」と思われたりしなかったでしょうか。
VOCALOIDイメージソングにも色々なものがありますが,いわゆるキャラクターソングに近いもの、ボカロ自身の想いやメッセージを,ボカロPや視聴者に向けて歌い上げる形のものが多くあります。
それでは,この楽曲について聞いてみると……あれ?この曲で歌われているメッセージって…歌っているボカロ自身に向けてのものでは???
ということに気づかれると思います。

歌には,そこに籠められた想いやメッセージがあります。
VOCALOIDという存在は,その想いやメッセージをより多くの人へ届けるために生み出された側面があると私は思っているのですが…
その,届けるための存在であるVOCALOIDへの想いを,メッセージを,そのボカロ自身の歌声で歌い上げている。
これは,考えてみるとちょっと不思議なことではないでしょうか。

その想いを伝えたい「誰か」に向けて歌うのではなく、歌っている歌手自身がその「誰か」なのです。
私は不勉強なのであまり思いつかないのですが,人間の場合だとこういう曲は出てこないのではないでしょうか。
そもそもVOCALOIDイメージソング自体がボカロが居なければ生まれ得なかったものではあるのですが…。

と,このように少し珍しいタイプの楽曲ではあるのですが,実を言えばこのような楽曲はこれまでにもずっと生み出されてきました。
話の途中ですが,理解を深めるためにも必要だと思うので,さらにいくつか紹介させて頂きます。

初音ミク誕生祭2015に合わせて発表された、八王子Pの楽曲です。
初音ミクとの出会いとこれまでの,そしてこれからの想いを綴った曲となります。

デスクトップ・シンデレラ
エレクトリックな愛を
あなたに届けたい
叶うなら

初音ミクへ向けた言葉を「あなたに届けたい」「叶うなら」と,初音ミク自身が歌い上げるのは,不思議な温かさと少しの寂しさを感じてしまいます。

初音ミク誕生祭2014に投稿された,DECO27さんの楽曲です。
氏の楽曲では「愛言葉」系統も当てはまるとは思うのですが,あちらは視聴者へのメッセージも含んでいるところがあると思うので,より絞ったメッセージである此方を挙げさせて頂きました。

内容としては,ただただ純粋に初音ミクへの祝福と感謝を伝える曲です。
何度も,何度も,自分へ向かっておめでとうと歌う初音ミクは,何故か心に響きます。
「君に」ではなく「君が生きてる世界に」ありがとうと述べるところがすごくDECO27さんらしいと思うのですがどうでしょうか。

あんよくん(脚P)さんによる楽曲で,曲名がそのまま見事にこの曲を現しています。
投稿文に「僕の気持ちの代弁者!ミクさんです!!」とあるように,シンプルに,力強く,ミクさんへの感謝を歌い上げています。
タイトルからTell your worldを連想される方もいるかもしれませんが此方の方が一週間ほど早い投稿となります。

何度ありがとうって言っても足りなくて歌に籠めたんです。

歌の原点ってこういうものかもしれないと思わされるパワーがあります。

りねずさんによる楽曲です。
こちらの楽曲は今までの曲とはまた少し違って,初音ミクへの別れを初音ミク自身に歌って貰ったものとなります。
好きだったこと,夢中だったこと,変わらないと思っていてもいつかなくなってしまう。そんなことは大なり小なり皆経験してきたことで。
君のことも忘れてしまうかもしれないけれど、でもそれでもきっと君は私の奥底で生きている…。

子供のころに見たアニメや本など,気づかないうちに忘れてるものはきっと沢山あるのだろうけれど,それでも,今の私を作り上げているのはそれらの忘れられたものたちなんだろうと…。

悲しいお別れとも、笑顔で別れるのとも違う,一つの別れの形として個人的にとても印象に残っている曲です。

こちらはひろ★ろんさんの楽曲で,初音ミクから遠ざかっていたマスターが再び初音ミクに歌って貰うという曲になります。
イメージとしてはギターなどの楽器に再び活躍して貰うといった形に近いものがあると思うのですが「君の声が聴きたいんだ」「君の声を聞かせてよ」と,楽器であるボカロ自身が歌い上げるのはやはり不思議で,しかし胸を打つものがあります。


と上記に挙げさせて頂いた楽曲はあくまで一例で,この他にもいくつもの楽曲がこれまで生み出されてきましたが,VOCALOIDイメージソング自体がそういう性質が強いところもあって,私の観測範囲の中でも投稿はどうしても初音ミク中心なところがありました。
そういう意味でも,「MEIKO 15th Anniversary」テーマソングとして「きみとぼくのレゾナンス」が投稿されたことは,これからのボカロイメソン界に一石を投じるものとなったのではないでしょうか。

だいぶ寄り道をした気もしますが,結局のところ「VOCALOIDへのメッセージをそのボカロ自身に歌って貰う楽曲」はどのような意味や意義があるのか。
上の楽曲でもあったように,強すぎる想いを表現する方法が他にないというのもありますが.個人的にはこの方法が「VOCALOIDへメッセージを伝える手段として1番確実」なのではないかなと思います。
この方法ならば,ボカロエディタに歌詞としてメッセージを打ち込むことで少なくとも認識はして貰えます。物理的に。強い。
また,この方法だと,ただ単にメッセージを伝えるだけではなく二人の共同作業のような形となるのも面白いでしょうか。
「きみとぼくのレゾナンス」の最後の歌詞は,まさにこのことを現しているように思えます。

不思議だよね
二人の言葉が重なって
君の感情と歌声と僕の心ふるわす

パ パ パパパ パパパパ パパ!


最後に,私がこのタイプの曲で好きなところは,通常のVOCALOIDイメージソングと違って,これらのメッセージを受け取ったボカロの感情は表に出てくることがなく,楽曲から想像するしかないところです。
この曲を歌ってるVOCALOIDはどんな心境なんだろう?
その曲のメッセージはVOCALOIDへと向けられたものですが,その心境を想像することだけは視聴者に委ねられています。

ここまで纏まりのない長文を読んで頂き,ありがとうございました。
このタイプの楽曲を呼び現すのに何か良い呼び方はないかとずっと考えているので,何かアイデアがありましたら口閉までどうぞ宜しくお願いいたします。
勿論,「こんな曲もありますよ」といった情報も大歓迎です。
それでは,またどこかのミライで。

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