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「自分たちに合った曲」の選び方

2020年度全日本吹奏楽コンクール課題曲が発売となり、筆者の手元にもスコアと音源が届きました。部活動の時間短縮などの影響もあるからか、学校の先生たちからは、「もうそろそろ、夏のコンクールで演奏する課題曲と自由曲を決めておきたい!」という声も聞こえます。
「やりたい曲をやる!」、「安心して演奏できる曲をやる!」など、選曲の基準や方法は千差万別。しかし、適当にすることもできないのが曲選びの難しいところ。
そこで今回は、「自分たちに合った曲の選び方」について考えてみましょう。

■ 公開されている楽譜サンプルをチェックしよう

多くの出版社は、出版している楽譜のサンプル・スコアをウェブ上で公開しています(ただし、「最初の1ページだけ」、あるいは「数ページまで」など、出版社によって制限されている場合があります)。まずは、気になる曲のスコアをざっと見てみるのがよいでしょう。
また、スコアとその曲の録音が同時に再生される動画を出版社が公開してくれていることもあります。こちらは、音源に合わせてスコアのページがめくられるので、選曲する上でとても便利です。

■ 編成の相性

吹奏楽では、団体の人数や規模感を「編成」というもので表しています。
編成には主に、小編成、中編成、大編成と大きく3種類あります。
どの程度の規模が想定されているのか、「小編成対応」や「大編成向け」といった具合に、各作品それぞれに編成の種類が表記されていることもあります。
しかし、各編成それぞれに厳密な定義があるわけではなく、出版社などによって考え方がさまざま(!)なので注意が必要です。一般的には、以下のようにまとめられることが多いと考えられます。

10人から25人程度まで:小編成
25人から40人程度:中編成
40人以上:大編成

小編成の団体が大編成用の楽譜を演奏することが現実的でないのは、想像に難くないでしょう。つまり、選曲の第一歩として、自分の団体が編成のどの分類に該当するのかを知っておくことが大事なのです。
もちろん、「大は小を兼ねる」という言葉の通り、大編成の団体は小編成向けの楽譜を選ぶこともできます。
また、作品中で用いられる打楽器も必ずチェックしておきましょう! 小編成の作品でも、打楽器を大量に使う(想定されている打楽器パートの人数が多い)という作品も珍しくないのです。

■ グレード(難易度)をチェック

吹奏楽では、「グレード」というものを使って楽曲の難易度を示しています。実はグレードも、国内においては厳密な定義がなく、あくまで出版社あるいは作編曲家自身)の判断によって分類されているのです。一般的には、以下のように考えられています。

グレード1〜3:小学生向け
グレード2〜4:中学生向け
グレード3〜5:高校生・大学生以上向け

「難しい曲は評価されやすい」、「難しい曲の方が盛り上がる!」ということもしばしば耳にしますが、決してそんなことはないというのが筆者の考えです。自分たちの技量に合わせた作品を選びましょう。

■ ソロの有無

作品には、ソロが指示されていることがありますが、それがなんの楽器で、どの程度の技術を必要とするのかもあらかじめ確認しておくことが必要です。
また、オーボエやバスーンなど、バンドによっては奏者がいない場合もあるパートがソロだった場合は、別の楽器がその代わりを果たせるかどうかも確認しておきましょう。

■ わからないことは、出版社へ連絡!

もしわからないことがあれば、その楽譜の出版社に問い合わせましょう。「トランペットの最高音はなんの音か」、「オーボエのソロは、クラリネットで代用するのがよいか、アルト・サックスでもよいか」など、なんでも親切に答えてくれるはずです。

■ 最後は、「その作品が好きかどうか」

「選ぼうとするその作品が好きかどうか」、「自分たちがその曲で感動できたかどうか」という点もとても大事なことです。演奏する曲のことを「嫌いだ」、「面白くない」と思ったままでは、作品の魅力を十分に伝えることはできず、本番までの練習もとても苦痛なものになってしまうでしょう。
とはいえ、指導者・指揮者はどんな作品でもその魅力を演奏者にしっかり伝えられなければならないことも最後に述べておきます。

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