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ホンモノは、きわめてシンプル、そしてディープ

今日は、どんな事があっても、夜起きていなくてはならない。
午後11:00からのBSプレミアム、
「数学者は宇宙をつなげるか? abc予想証明をめぐる物語」
を見なくてはならないからだ。

2020年4月「abc予想」という数学の超難問が、京都大学の望月教授によって証明された。
望月教授がその論文をインターネットに発表してから、

8年もかかってようやく専門誌に掲載(=証明された)という超超・・・難問だ。
8年もかかったのは、世界中の数学者をもってしても、

その論文の解読(査読)にはそれほどの時間が必要という、
今までの数学の常識を覆すような、証明論文だったからだ。

ちなみに、数学の世界では、「予想」という言葉が良く出てくる。
例えば、「フェルマー予想」。
「3以上の自然数 n について、xⁿ + yⁿ = zⁿ となる自然数の組 (x, y, z) は存在しない」

フェルマーが提唱した時には、この予想はまだ証明されていなかったが、
フェルマーの死後330年後に、ワイルズ氏がこの予想を完全に証明したため、
この予想は、「フェルマー・ワイルズの定理」と呼ばれるようになる。

このような、まだ予想の段階で誰もそれを証明していない問題が、

数学の世界には山ほどあるらしい。
そしてその中でも難問中の難問が「abc予想」なんだそうだ。
また、「abc予想」が証明されると、世の中に残っている多くの証明されていない予想が、
ドミノ倒しのようにバタバタと証明される、ということが分かっている。
例えば、abc予想が証明されれば、前述の330年かかったフェルマー予想の証明が、
わずか3行の数式で、あっと言う間に証明される、ということなのだ。

全世界の数学者が何十年も、それこそ一生をかけても証明できなかったabc予想。
望月教授も、徹底的に考えた末に、「abc予想は証明できない。無理である」
という結論に至った。
ところが、そこからがスゴイ!のだ。
「それなら、それが証明できる新しい数学の世界を作れば良い」と考えた、と言うのだ。

そして、
「数学の世界は2つある、と定義し、それらは同じであると同時に異なってもいる」
という、今までになかった奇妙な新しい数学の世界を作り、

そこでabc予想の証明を成し遂げた。
天動説から地動説に切り替わるほどの大きな新しい考え方だ。
今でも数学者の中には、「そんな禁じ手は許容できない」と言う派もいるらしいが、
この考え方がもっと分かりやすく理解が進むように、と取り組む若手の数学者も
世界にどんどん増えているらしい。

根源的なものは、きわめてシンプル。
しかし、それを本当に知る(証明する)には、非常な深さと構造が必要となる。

そう思うと、なぜか力がみなぎって、私も何か出来そうな気さえしてくる。
abc予想については、なんのこっちゃ?だけれども、
でもなんだかドキドキ・ワクワクする!!

シンプルだけど、その本質はどこまでも奥深い。
そういうものが、
「ホントウのホンモノ」
なのだ。
今日は、発砲酒でなく、久しぶりにモノホンのビールを飲んでTVを見よう。

※お勧め本
「世にも美しき数学者たちの日常」(二宮敦人著)
「現在の数学常識では禁じ手」だけど、それを使うことを前提とするとこんなに美しい数式が生まれる、という話とか。眠れない夜はお勧めの一冊です。

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