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赤子、強炭酸水を浴びる

新鮮さの欠片もないM-1ツアー大阪(昼)の感想である。
今頃。R-1も終わったというのに。
もう次のお笑いライブにも行ったというのに。

あまりにも面白過ぎて、夢かもしれないとぼんやり思いながら日々を過ごしていた。
結果、夢の内容を忘れていくように記憶が薄れてきたので、慌てて書き残すことにした。

漫才の内容を明記することは極力避けるつもりだ。
主に、出囃子大おふざけについて記そうと思う。
(コンビ名は敬称略、個人名はさん付け)



出囃子の話

前回の記事でも述べているが、私はテレビ以外でお笑いを観た経験がほとんどない。
つまり、彼ら固有の出囃子に全く慣れていない。
今回初めて聞く出囃子も、既に聞いたことのあった出囃子も、それぞれ印象に残っているものを挙げる。


①東京ホテイソン
流れた瞬間の衝撃が凄まじかった。
なんか知ってる気がする、あっ、前前前世!?!?
好き嫌い・良い悪いの感情ではなくただ純粋に驚いていたのだが、どこに驚くポイントがあったのかが未だに解明できていない。
「東京ホテイソンの出囃子って前前前世なんだ……」の一点に気持ちが集約されてしまい、危うく自我を失った状態で漫才を見るところだった。
幸い、たけるさんの「がんもどき」に大笑いしたおかげで集中力を取り戻すことができた。

②男性ブランコ
謎の外国語に戸惑うなか聞き覚えのあるメロディーを拾い、それが「山ねずみロッキーチャック」のOPであることは分かった。
しかし「似てるだけの、謎の外国の曲」なのか「謎の外国語版ロッキーチャック」なのかが気になってしまい、またもや自我を失いかけた。
今回は平井さんのつかみが大変ぶっ飛んでいたおかげで素早く我に返ることができた。
後日この話を友人にすると、出囃子は「夢見るシャンソン人形」というフランス語の曲で、それをモチーフにして作られたのが山ねずみロッキーチャックOP「緑の陽だまり」であることを即座に調べてくれた。
調べればなんでも解決できる時代、すごい。

③モグライダー
突然のクラシックで思わず背筋が伸びた。
ドヴォルザークの新世界より第4楽章。
子どもの頃、なぜか狂ったように聴いていた時期があった。
あと「ドヴォルザーク」というカタカナの並びが他の何より怖そうで強そうとも思っていた。
それまでは軽快だった舞台上の照明が荘厳にゆっくり切り替わるのが見ていて楽しかった。

④見取り図
なんかどこかで、この部分だけ聞いたことあるような……と思った直後にはっとした。
友人に誘われて唯一行った劇場に見取り図が出ていたことを思い出した、聞いたことあるに決まっていた。
知らない出囃子にいちいち驚いていたので、妙に安心した。
彼らの漫才の終盤こそ、最も安心していられない部分だったけれども。

⑤ゆにばーす
よく知らないなりに川瀬さんはめちゃくちゃこだわりを持っている人、というイメージがあったので、出囃子で流れたアラレちゃんが溌剌とし過ぎていてひっくり返りそうになった。
漫才の内容がほぼ下ネタだったので、はけるときのアラレちゃんも溌剌とし過ぎていた。ギャップが面白かった。

⑥真空ジェシカ
突然の「デストロイ」。
今回の出囃子の中でおそらく一番混乱した。
漫才部門でも今回一番混乱させられたのは彼らだったので、ある意味脳細胞はすごく「デストロイ」された。



大おふざけの話
先ほども述べた通り、私は生でお笑いを観たことがほとんどない。
だからこの日、初めて目にした一連のアドリブのようなものがとても珍しいものなのか、よくある光景なのか判断がつかない。
そもそもあれを、なんと呼べばいいのかも分からない。アドリブとはっきり口にするのもしっくりこない。
よって、この記事では勝手に「大おふざけ」と名付けて話を進めることにする。


①マユリカ
自己紹介としてバク転を披露する中谷さん。
よく目にする、独特の姿勢を保ったまま指先で中谷さんの上着をひっかけている阪本さん。
この絵面だけでずっと笑っていた。

②東京ホテイソン
突然ショーゴさんがマイクをぎゅいーんと伸ばしたので驚いた。
たけるさんの「コマンダンテの位置」で大笑いした。
「囲碁将棋の位置」版もいつか見たい。

③ランジャタイ
先に伊藤さんだけ出てくるのはなんとなく予想の範囲内だった。
どうやって出てくるんだろうな~とわくわくしていたら、国崎さんに引き摺りだされるようにしてたけるさんも出てきたので仰け反って笑ってしまった。
「まえだまえだの位置」と「まえだまえだの位置の前だ」をひたすら叫ぶたけるさんの背後で佇む伊藤さんの存在が相乗効果となり、なお面白かった。

④見取り図
「大おふざけ」と名付ける理由そのものである。
漫才自体は覚えがあって、オチもなんとなく記憶があった。
知っているものよりよく動くので、舞台を広く使っているのかなぁと呑気に思っていたら、なんと上手から田渕さんがやって来た。
えっ!?と思っていると一旦下手にはけたリリーさんがランジャタイ、堂前さん、伊藤さんを連れて登場。
ランジャタイの方の伊藤さんはカツラをぶん回しながら走っていて余計面白かった。

⑤オズワルド
見取り図の流れを汲んで、前説の生ファラオをオズワルドが追いかける素振りで登場。
なぜか見取り図と真空ジェシカも登場し、終わりどころを失って迷走していた。
動き回っていたからか、漫才中伊藤さんが何度も咳き込んでいたのがリアルだった。

⑥真空ジェシカ
東京ホテイソンが登場し、つかみを終えたところで真空ジェシカが登場。お札を渡して帰ってもらっていた。
開口一番「つかみはプロにやってもらうのがいい」と川北さん。
ネタが飛んだときの再現をするネタ?だった。
再現しようと思うこと自体は面白いけど、せっかくだからちゃんと見たかったなぁという気持ちも少々。

⑦ロングコートダディ
「ショートカットの小池栄子」を名乗る堂前さんとツッコむ兎さんで真空ジェシカのつかみが成立していた。
前の出番の流れを汲む感じが大好き。

⑧もも
漫才に入る前に、まもる。さんのタップダンス披露があった。
終盤にせめる。さんが「できるかも」と挑戦してだめだったりした。
二人とも大変微笑ましかった。

⑨インディアンス
田渕さんの「なんでやねん!番犬ガオガオやろ!」が上手すぎて今思い出してもまだ笑えてくる。
うろ覚えだけど、前振りの「寝てる怖い犬の前で骨とってね」みたいなやつの言い方も面白かった。さすが田渕さん。
順番が違ったら番犬ガオガオは聞けなかったかもしれないと思うと、インディアンスがももの後で本当によかった。



当日までは、以前から応援している数組を生で見ることばかり楽しみにしていた。
しかし終わってみれば、どのコンビの出番を思い出してもめちゃくちゃ面白かった瞬間というものが必ず存在する。

生でお笑いを観るのに慣れていない初心者には、いささか刺激が強すぎたように思う。
しかしまぁとんでもなく面白かったので、気の早い私は既に来年のM-1ツアーへと思いを馳せている。
チケット取れたらいいなぁ。

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