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第1回:世代間におけるTRPGの認識の齟齬

■ 今日の寝言:分析編

テーブルトーク・『ロール』プレイング・ゲームにおいて、現状では『ロール』という単語が複数の意味で用いられている為に、新しい人(初心者)と古い人(ベテラン)の間で、TRPGの解釈に対する齟齬が発生しています。

【a】ダイスを振ること → ダイス『ロール』
【b】チームにおける役割を全うすること → 『ロール』プレイング
【c】キャラクターになりきること → 『ロール』プレイ

古い人は、RPGが元々「職業訓練におけるロールプレイングが原型となったゲーム」だと知っており、主に【b】で使っています。つまりRPGとは、発生した問題の種類に応じて、専門の者が役割分担で対処するチームゲームとして認識しているのです。(TRPGの祖であるD&Dの「セービングロール(「セービングスロー」とも)」という用語に因み【a】の意味で併用する場合もありますが、その場合は使用者同士で既に区別が出来ているので、おいておきます)

新しい人は、主に【c】の意味で認識しています。つまり新しい人にとってRPGとは、キャラになり切ってセリフを熱演するゲームなのです。極端に言うと、自作のキャラクターを個人的に表現する手段であり、その舞台装置としてTRPGを使っているのです。新しいゲームの中には、そもそも『役割』という概念が存在せず、キャラクター単体の表現に特化したゲームも少なくないので、そういう認識になっても無理のないことでしょう。


■ 今日の寝言:解決編

自作ゲームのロケプレイで幅広い人々と多くTRPGをした結果、『ロール』というゲームの核となる単語の意味が統一されていないから、認識の齟齬が発生しているとことに、私は気付きました。
そこで、問題解決の方法として、用途ごとの呼称の再定義を提案します。

【a】ダイスを振ること → ダイスチャレンジ
【b】チームにおける役割を全うすること → ロールプレイング
【c】キャラクターになりきること → キャラプレ

という呼称で如何でしょうか?
ダイスロール(振る)よりもダイスチャレンジ(挑戦)の方が、ゲームに挑んでいる感があると思いますし、キャラクターへのなりきりは、キャラプレイの方が直接的な表現だと思います。例えば、コスプレがコスチューム(外面)のプレイ(なりきり)ならば、キャラクター(内面)のプレイ(なりきり)はキャラプレが妥当でしょう。
そして、TRPGというゲームの成り立ちや歴史を尊重する気持ちで、役割を全うすることを『ロールプレイグ』と呼称し、その意義を伝えてゆきたいと思います。
しかし、前記の呼称は、一介のゲーム好きからの提案に過ぎません。業界を代表するような方が、相応しい呼称を定めるべきだと具申します。当然、それは私ではありませんし、前記の呼称が絶対に正しいと拘ったりもしません。
本稿は議題の提案であり、議論の叩き台にしてもらえれば十分です。

どの意味の『ロール』が正しいとか、どっちの世代の認識が正しいとか、優劣をつける様なことを言いたい訳ではないのです。言葉の意味が世代で変わるのは、時代の変化として当然起こり得ることであり、アップデートとして先人は受け入れるべきことなのです。


アップデートを受け入れられない古い人は、「地球の重力に縛られた人間」なので、地球人同士の狭いコミュニティーに籠っていれば、宇宙は平和です。また、ニュータイプ(新しい人)は、悪戯に地球へコロニーを落としてはいけませんよ。
互いへの共感(認識のすり合わせ)か、完全なる棲み分けが、新しい宇宙世紀を切り開くのです。


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本コラムをお読み頂き、ありがとう御座います!
テーブルゲームデザイナーの九城ツカサです!
著作:『断国の騎士(絶版)』『ラスト任侠RPG』『20Dシステム』


▼オリジナルTRPG『#ラスト任侠RPG』
・幻冬舎より出版予定です。出版準備中につき宣伝を兼ねて、現在は期間限定で無料WEB公開しています。

「燃やせ、義侠魂!
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▼TRPG汎用基本ルール『#20Dシステム』
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・20Dシステムの権利は放棄していませんが、本作を利用した作品を頒布して収入が発生しても、九城に使用料などを支払う必要はありません。なんてお得な! 事後でも構いませんので、使用報告を聞けると嬉しいです。

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ラスト任侠RPGも、20Dシステムも、共々、宜しくお願い申し上げます!
折角ですので、九城の名前だけでも、覚えていってください。


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