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MOMOKICHI

ある日突然旦那と行ったペットショップで

フレブル半年の子が値下げされていた。

それはとてもとてもショッキングなもので、

そのときに住んでいた家がペット禁止だったから、

そこから突然ペット可物件を探し始めた。

妥協しそうな形で新しい家を決めそうになったとき、

その子が無事に新しい飼い主さんと出会えたと連絡をもらった。

嬉しかったのと同時に、少しさみしそうでもあった。


そのときのあたしは、

正直まだちっぷのペットロスから抜け出しきれていなくて、

新しい子を迎えるときになるまでゆっくりゆっくりと思ってた。

多分全てにおいて任せきりだったと思う。


家のことと、フレブルのことは、

そこからまた半年くらいの時間が流れた。

家探しはペースは落ちたけれど、

いい物件を暇つぶし程度に空き時間に眺めてた。


そんなとき。

旦那が「会いに行きたい」とフレブルの赤ちゃんの写真を見せてきた。

その子は群馬の子。

群馬のブリーダーさんから赤ちゃんが生まれたというお知らせを見たようだった。


旦那は、

いつか私のふるさとと一緒に里帰りできるように、

群馬県のブリーダーさんで出会いたかったんだと話してくれた。

そこから本格的な家探しを旦那がはじめ、

すぐに見たサイトで今の家と出会った。


不思議と、

そのときに見つけたこの家は、

今まで探していたどんな物件よりも理想的で、

今はもう全てにおいて愛着がわいて仕方ないくらいの家。

さらに不思議なことに、

そこからその家の審査、契約までは嘘みたいに順調だった。

申し込み殺到のこの物件も私達が1番手だったようだ。


そして、

ブリーダーさんのところへ会いに行くことにした。

決めてしまいそうな勢いだったけれど、

フレブルを買っている友達に相談したときに、

やはりちゃんと性格も含めて見たほうが絶対いいと言われたから。


会いに行くまで、実はまだ吹っ切れてはいなかった。


到着していよいよそのこと対面したとき。

ブリーダーさんは3匹連れてきた。

実はアップしていなかったんだけれど3匹います。

性格含めて、どの子がいいかちゃんと見極めて、出会ってくださいと。


その中で1匹、

気がつけば初対面の私の腕を枕に爆睡しはじめた子がいた。


会いに行く数日前。

旦那は改めてちっぷのこと含めて、

新しい子を迎えることについてどう思っているか聞いてくれた。

正直な気持ちを話したときに、涙が出た。


でもそのときに腕の上で眠る子を見て、

そんなもやもやや不安とかかたまった気持ちが一気に軽くなって、

この子の家族になろう、

そのとき直感でそう思った。


そこから、新しい家に引っ越すまで少し待ってもらって、

準備万端に整って、お迎えに群馬に行った。

震えながらも用意したクレートの中で、

用意したIKEAの豚の小さなぬいぐるみと一緒に、

彼はよく眠ってくれた。

私は後部座席で、彼とともに過ごして、

ちっぷをはじめて迎えた日の帰り道のことも思い出していた。


どちらもきれいな晴れの日だった。


彼の名前はももきちに旦那が決めた。

唐揚げやをしている旦那は、名前にももをつけたかったと。

ももは女の子で、この子は男の子だから、

画数的にももきちが最高だったんだと。


こうしてももきちとの暮らしがはじまった。

気がつけばもう彼は七ヶ月。

すっかりすくすくと育って、あたしは散歩係となった。

ももきちと一緒に近所を歩くと、

いろんな人が声をかけてくれる。

強面のお兄さんでさえ、ももきちに微笑むというギャップを見せてくれる。


ももきちのおかげで、

この家が、そしてこの街がさらに好きになった。


ちっぷへの気持ちは何一つ変わっていない。

でも一つだけ変わったのは、

いつまでもちっぷのことを引きずっていることよりも、

こうして新しい家族を迎えて

笑っている方をのぞんでくれているはずと思えたこと。


旦那はその後、あたしに手紙をくれた。

「犬を買うのは俺の夢だった。

 夢を叶えてくれて、ありがとう」と。


ももきちを迎えるときに迷いがなかったのは、

あたし以上にフレブルのことを調べぬいている旦那がいたから。

その姿を見なかったら、

きっとあたしは今でもももきちとの生活はなかったかもしれない。


ブリーダーさんからは、

もしも先天性の病気が見つかったら、という話も受けた。

あたしは迷わずに、

「この子を迎え入れると決めた日から、この子はもう家族なんです。

 だから、彼がどんな病気を持っていても、

 あたしたちは家族として、向き合って一緒に歩いていきます。」と。

ちっぷの病気のことがあったからこそ、

重みも含めて伝えられた覚悟。

ブリーダーさんは優しく笑ってくれた。

あたしはその姿に、涙が出そうになった。


ももきち、長生きしてね。

一緒にたくさんのものを見ていこうね。

うちに来てくれて、

出会ってくれてありがとう。


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