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『トウキョウソナタ』の感想とか

 非公開日記8 『トウキョウソナタ』の感想とか  2015年01月22日10:58

 ハガキ大の画面を誇るDVDプレーヤーで『トウキョウソナタ』をみた。その前に『桐島部活やめるってよ』と『風が強く吹いている』もみた。で今、『鍵泥棒のメソッド』をみている途中。映画は映画館でしかみてこなかったのにいったいどうしたことだろう。なにかしらの恨みを感じる暴走行為のにおいがする。簡単に言えばDVDを観るという行為自体にとりつかれている。

「ハガキ大」で思い出した。ちょうど年賀状が手元に(まだ)置いてあったので比べてみたら、縦に少し足りず、横に少し広かったので、うん、面積ハガキ大だな、と納得。ちっさいなー。やっぱり俳優さんの表情をもっとよく見たい。そう思ったのが『トウキョウソナタ』のラストシーンだった。
 
 公開時からずっとみたかった『桐島部活やめるってよ』はやっとみられるワクワク感を胸に正座する勢いで観た。最近頻出激しい東出昌大に違和感がちょっとあって困った。この人ってどの役も顔と声がおんなじだもんなあ。そりゃ同じ人だからそうなんだけど、顔も濃いし声も独特、トーンというか「東出」そのものが出るから役作りに励んでいますねと感じてしまう。『アオハライド』に続き『寄生獣』にも高校生役で出ているようだけど(みてないけど)26歳なのになぜ高校生役にこんなに抜擢されちゃうのかな。昭和の青年感=永遠の青年像を持っているからじゃないかと分析。往年の森田健作的な。

 「桐島」続き。とてもよかった。念願かなって観られた感動にしみじみ浸れるくらいよかった。原作とはストーリーが違うのに、テーマに揺るぎがなかった。原作のさりげなさがうまく料理され、わかりやすく増幅されていた。原作のストイックなイメージとは印象がちょっと違う東出と、やっぱり原作のイメージよりかわいい度が高すぎる橋本愛の配役が気になったけど、全部ひっくるめて全力で丸をつけたくなるのが神木隆之介のパワー。この人はすごい。何やらしても骨格から役になりきっててすごい。神だ。この役でも、卑屈な部分と自信に満ちた部分との配分が絶妙だった。高校生役にも無理がない。『20世紀少年』の時も全部ひとりでもっていった印象だった。神だ。なんとなく気になる俳優さんどまりだったけど、しばらく本気でおっかけになってみよう。

 でやっと『トウキョウソナタ』の感想です。確か観たいと思ってたような~で借りてみた。ほとんど盛り上がりがなくてどうしようかと思いながら目が離せずにいるうちに、後半とんでもないことになっていく、そういう映画だった。慌ただしい中だったけど途中で観るのやめなくて良かった~。
 
 測量機器の会社の総務部課長だった父が突然リストラされるところから始まるんだけど、この父・香川照之がやってる父がもう。虚栄心の塊みたいな性格とそれまでのはったり半分の人生が目に見えるようだった。それに比べてセリフも動作も極端に少ない母(小泉今日子)の有能さよ。家族に威張り散らしがちな夫を巧みに抑える。手渡された生活費だけできちんとやりくりする。いつの間にかこっそり運転免許を取得して、驚く家族に「(身分証明が)保険証じゃ嫌なのよ」と小さな声でいう。大学生の長男の気ままな生活にも対応し、小学生の次男がこっそりピアノの練習をしているのを見つけると「ピアノがひける男の人って好きだな」と女性目線を添えて力づける。

 リストラされたことを言えず家族に嘘をつきながら「嘘は最低だ! 」と家族をなじる卑屈な父に比べて、不満や不安を一切自分の中で処理する骨太な母は、長男から「離婚したら? 」と言われて飛びあがるほど驚く、そのことにこちらは驚かされる。この「母」はあの「父」と人生を共にすることをとっくに覚悟して生きてきたんだと気づかされる。夫になる男の性格を理解し彼が生みだすかもしれない痛い人生に力を貸す覚悟を持って結婚に踏み切った勇猛果敢な女性なのだと気づく。

 そんな二人が揃うラストシーン。その二人の表情だけはもうちょっと大きな画面でみたかったですねわたし。テレビにつなけば40インチで見られますけどそこまでじゃないからいいや。

 てことで30分で書いて「鍵泥棒のメソッド」を午前中に観終える予定だったんだけど間に合うか! てか洗濯ものがまだだ!! 雨なので一日の大半を乾かす作業に追われる。洗濯ものに追われるだけの人生だ。『トウキョウソナタ』の父のほうの性格みたいなわたし。母のようにすべて受け入れるオット。男に生まれていたら家庭崩壊は免れなかっただろうなあ。あ、結婚していない気もします。虚栄心だけではったり人生を生きるヤツ。権威に対して卑屈に反抗しリストラでもされようものなら犯罪者になりそうだ。

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過去日記ココマデ。読んでくださった方ありがとうございます。

当時は確か自分的に香川照之の演技が見たいという欲が強かったせいで『トウキョウソナタ』と『鍵泥棒のメソッド』が選ばれたと記憶しています。

『桐島部活やめるってよ』と『風が強く吹いている』は、原作が好きでたまらなかったからなんとしても観ておきたくて借りました。朝井リョウと三浦しをん、両作家のファンでもあるし。

 どうしても読みたい本にも、どうしても観ておきたい映画にも最近はあまり巡り合わない。自分の感性がにぶったせいか、求めるものが変わってきたのか、どちらだろう。どちらもでしょう。

 話かわりますが、三浦春馬氏のことでもう一言だけ。彼がかつてトーク番組で「お酒を覚えたとき、やっと生きることが楽になった」という意味のことを語ったことを強烈に覚えています。相当生きづらい人なんだなと感じて、以来なんとなく気がかりでした。どうか安らかに。

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