稲荷願い

同じ空を見上げていると、隣の空も見上げたくなる。そんなものなどもちろんないけど、同じばかりじゃつまらないから。そうして笑う、あなたの顔を、私はいつも隣で見ていた。

見ているばかりじゃ、つまらないから、神様神様、願って歩いた。向こうの神社の鳥居の先の、可愛い狐にお願いしたんだ。

生まれ変わって、もしも私が、この空みたいなお空になったら。笑うあなたの見上げる先の、きれいなきれいなお空になれたら。いつでもあなたの望むような、青ーいお空を贈れるようにと、涙に霞む悲しいときは、晴れた空から雨降らそうと。

隣で笑うあなたの視線は、私の向こうの彼女を見ていた。

それでも私はあなたの隣で、こうして笑って空を見ている。

end.

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