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やべぇ飲み物

「災害級の高温」がトレンド1位になるほどの猛暑。夏は飲み物がいつも以上に美味い。まるで常に風呂上がりの状態であるかのようだ。そういや今日はお茶とアイスしか口に入れてない…そんな日もあったりする。より冷たいものを、より身体が歓喜するものを!と、ひたすらに冷たくて美味い飲み物を欲し続ける毎日だ。

さて、そんな飲み物ジャンキーシンドロームに陥った僕に一筋の光明が差し込んだ。いや、これは闇へと誘う魔の手なのかもしれない。ネットで偶然見かけたアイスボックス×モンスターエナジーというイカれたレシピ。これは試すまでもなく「やべぇ飲み物」だと分かる。アホだ、アホすぎる。エナドリがオタクたちの間で流行ってから久しいが、昨今では医師や専門家が常飲に警鐘を鳴らしているニュースもよく見る。海外のオリジナルに比べれば日本で売られている製品はまだマシかもしれないが、それでも毎日何本も飲むようなことは勧められないでしょう。

ドラッグストアでバイトをしていた頃の話。僕が休憩時間に一息ついていると、わりと親しい薬剤師の人が事務所に入ってきた。その時、僕の飲んでいたモンエナの成分表示を見て首を傾げていたのを覚えています。僕は薬剤師でも登録販売者でもないので分かりませんが、つまりそれほどの代物ということでしょうか。

が、それでも僕はたまーにエナドリを飲みます。学生時代ほどではありませんが、年に数回ほど。体に良い/悪いを過度に気にして口に入れるものを選別していると疲れるので、多少の「毒」はむしろ薬だとするのが僕の流儀。にしたってアイスボックスにモンエナはやり過ぎだ。テキーラ×モンエナが指名手配級の重罪だとすれば、アイスボックス×モンエナは道で拾った500円玉を警察に届けないくらいの非行。清廉潔白な僕にはそんなこと…できっこない。そうやって見て見ぬふりをしていた。

しかしもうダメだ。外気温と不快指数は上昇する一方だし、仕事が過密スケジュールで臨界点を突破。んだ、やっちまおう。気づけば自室のテーブルには表層に汗をかいたアイスボックスとモンスターエナジー。

ふふ。殻を破る時っていうのは思わず笑ってしまうものなんだなあ。ぺりぺりと蓋をめくり、カシュッとプルタブを開栓。人工甘味料で味付けをされた氷の山に、覚醒成分山盛りの砂糖水をシュワシュワと注ぎます。カップをビタビタに浸したら罪深き魔界の飲み物の完成だ。細いストローを通して口の中に流れ込んだ汁は恍惚の味でした。分かり切っていたことではあるが、うまい。これは知ってはいけない飲み方だ。もうモンエナ単体では満足しきれない身体になった気がします。より強い刺激の快楽を覚えた時、人は以前よりも不幸になっているのかもしれない…。

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