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性癖は簡単にゆがむ

「地球グミ」という舶来品のお菓子があります。何年か前にSNSなどで流行っておりまして、グミが好きな僕もかなり気になっていました。しかし、そもそも品薄でなかなか店頭で見かけることもなく、ブームが下火になっても”1袋5個入りで500円”などいかにもな輸入お菓子価格だったため、「今は別にいいかな…」「また今度でいいや」の繰り返しで結局買えずじまいでした。ところが、つい先日ディスカウントショップで1袋100円で投げ売りされているのを見かけました。偽物も多い商品なので二度見しましたが、パッケージの裏表を見る限りおそらく本物っぽい・・・?まあいいです、最悪偽物でも死にはしないでしょう。1度は食べてみたかったグミですし、格安で買えたこともありとてもテンションが上がりました。

ところで、このグミが一体なぜそれほど流行っていたのかといいますと、もちろん味が美味しいからというのもあるでしょう。しかしながら、僕がこの商品を知るキッカケになったのはASMRです。ASMRが流行り始めたあたりで、地球グミも一躍有名になったようなイメージがあります。一口にASMRといっても、いろんなパターンの動画があります。耳掃除をするもの、リップ音を鳴らすもの、囁き声などなど。そして、我らが地球グミの活躍の場は「咀嚼音」です。興味のない人からすればとてつもなく不愉快でしょうが、「咀嚼音を楽しむ音声」がいちコンテンツとして成立してしまったのです。食べるものは何でもいいのですが、咀嚼時の音がハッキリクッキリしているものが好まれていた印象。野菜スティックや揚げ物などは定番ですね。そんななか、どうしてグミがそれほど注目されたのか。

僕の考えですが、下品な音が出にくいからではないかと思っています。咀嚼音なんて、そもそも聞いていて気持ち良いものではないし、うっかりすると唾液と混ざるなどしてとても汚い音が発生する。反面、グミはそういったリスクが少ない。もちゃもちゃ、もきゅもきゅと、けっこう可愛い音が鳴る。それがうら若き女子たちに受け入れられた要因ではないだろうか。実際、僕もそんなグミの咀嚼音は聴いていて心地よく、変なゾクゾク感もあるので病みつきになっていた。おそらくそれが”調教”だったのでしょう。このたび初めて地球グミを買って食べましたが、味どうこう以前に自分の咀嚼音が気になってしまう。これまで散々イヤホンから耳に流し込んでいた咀嚼音と同じ音が自分の口から鳴っているのだ。とても複雑な気持ちです。もし僕がASMRなど一切聞かずに地球グミを食べたなら、こんな感覚にはならなかったはずだ。不思議なものです、調教次第でこんなにもモノの感じ方が変わるのですね。たかだか音なのに。なんだか変な気分になってしまうので、地球グミを食べるのはこれっきりにしておこうと思います。

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