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スティーブのひとりごと

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『スティーブのひとりごと』は、毎日の生活の中で「これは語りたい」と思ったことを、メンバーそれぞれの新鮮な言葉でお届けします。Steve* Magazineは、クリエイティブカンパ…
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#クリエイティブディレクション

丸森時間差遺産 第4話「風呂上がりの夜風」

  僕は熱い風呂が好きだ。理由は恐らく幼い頃の記憶、建て替える前の実家が五右衛門風呂だったせいかもしれない。当時住んでいた家は台所が土間になっており、祖母と母が夕食の支度をしている隣で、お風呂を沸かす係だった僕はよく薪を焚べていた。徐々に太めの焚き木へパチパチと火を育てていきながら、時々アルミホイルで包んださつまいもを一緒に入れたりして、沸きたての熱い風呂に入った後に、出来立ての甘い焼き芋と冷たい牛乳を喉に流し込みながら、縁側で夜風に当たるのが大好きだった。  そんな風呂好

丸森時間差遺産 第3話「全力で走り抜けた公園」

 僕は全力で走っていた。とはいえ、太宰治の小説『走れメロス』のように親友との友情を守るためではない。先ほどスーパーで受け取ったレシートが風で飛ばされたため、追いかけていただけである。30mほど先で追いついて無事に回収したが体力は消費した。昔は追いかける側ではなく追いかけられる側だったのになと、息を切らせながら30年以上前のことを思い出していた。  実家には昔、コロという犬がいた。名前の由来は当時僕が夕食時にコロッケを食べているときに思いついたからで、マグロを食べていたら「ト

丸森時間差遺産 第2話「時をかける赤い橋」

 夜寝ていると息苦しいことがある。今夜も金縛り……ではないので安心してほしい。寝相の悪い我が子の足が僕の顔に乗っていただけ。いつものことである。家族で一緒に寝ている場合、自分の寝ている範囲を越えないようにという暗黙の了解があると思うのだが、そんな大人の常識で作り上げた境界を軽々と越えて来る息子の自由な本能に感銘を受けるとともに「境界を越える」というキーワードから、ふと、脳裏に丸森橋の思い出が浮かんだ。  丸森町には大きな橋が2つある。2012年に完成した556mの丸森大橋。

丸森時間差遺産 第1話「小高い駅のホーム」

 1996年。18歳の僕は進学のため、仙台で念願の一人暮らしをすることになった。すでに荷物は新居となるアパートに送っており、一人暮らし前としては最後の実家での夕食。この漬物の味ともしばらくお別れだなと、白菜の味を噛み締めていた。最後の晩餐ならぬ最後のばあちゃんの漬物である。お湯1に対してウイスキー3ほどの濃いめのお湯割りが好きだった父からは、丸森からでも通えるだろうとしつこく説得をされたが、故郷への未練1に対して都会への好奇心9という濃いめの自立心に溢れていた僕は「自分の足で

大人なこどもっぽさを、こどもな大人は学ばなければならない話

44歳の誕生日を迎えた。いよいよ大人である。そりゃそうだろ、というつっこみも多そうだが、それを自分自身で深く認識することが非常に難しいことは「大人になりきれないんだよね(笑)」と、嬉しそうに語るおじさんたちが多いことからもわかるだろう。これを僕は「大人になりきれないんだよね(笑)症候群」と呼んで密かに恐れている。同世代のみなさん、現実に目を向けよう。繰り返すが、いよいよ大人である。せっかくの誕生日なので、今日は夜更かしして「大人」というテーマで、今思うことをまとめてみようと思

他人になかなか言えない職種、クリエイティブディレクター

2歳の息子が、せっかく買ってあげた仮面ライダーゼロワンのベルトを装着せず、何を思ったのかピーマンやトマトをベルトの丸い部分に乗せてフライパンがわりにユサユサ振っている。どうやら野菜炒めでも作っているつもりらしい。全身に脱力感を感じながら、おいおい、そのベルトは仮面ライダー、、、に変身する主人公と同じように、料理もある意味食材の変身といえるのかもしれないな、、、とぺこぱのツッコミのごとく息子の自由な思考を肯定しながら、改めて思ったことがある。 それ、クリエイティブディレクショ