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2. 憧れのホノルル♡


ホノルル第1夜

   2010年8月3日、遂に念願のホノルルの地面を生まれて初めて踏みました。 25年前に寄港した時は客席に座ったままだったので、今回が正真正銘 初めての地上です。 到着時刻は午後11時45分、今回はラッキーにもドア横の席を取れたので、それが開かれる瞬間をしっかりと目撃できました。
  25年前の「あの空気」との感激の再会です 。。。。。 が、

違うぞ!!

   あの日、ものの数秒で歓喜に包まれた、あの全く異質な素晴らしい感触とは明らかに違います。 どう違うかって、そのぉ、ごく普通と言うか、さっぱり変哲がありません。 ぼう然と立ち尽くしている私に気づいたCAさんが、「いかがなさいました?」と心配顔で聞いてきました。
    この超美女に「ここは間違いなくホノルルですか?」と聞くわけにもいかず、人々はどんどんタラップへ向かっているし、取りあえず降りるしかありません。
  「ホノルルの正体見たり勘違い」というおそまつな句が浮かびつつも、先ずは 入国審査や税関検査へ向かいました。 空港内の施設は、時刻も時刻ということで ところどころ冷房を切っている(でなければ故障)らしく、やけに蒸し暑かったです。 はい、どこにでもある不快な場所です。 最高潮に盛り上がっていたものが 急速にしぼんでゆく空虚感を禁じえませんでした。

   もろもろの手続きを終えて、空港ビル外へ出てきた時は午前2時を少し過ぎていました。 機内アナウンスでは「天候は曇り、気温は26℃」とのことでしたが、小雨がパラついて(今度は逆に)肌寒く、時折 突風にあおられるので、なかなか来ないタクシーを待つ間に、ウィンドブレィカーを引っ張り出さねばならないテイタラクです。
   やっと乗り込んだタクシーの運ちゃんに行き先を告げ、「今日は寒いね? いつもこんなに寒いの?」とたずねると、「夜中は寒いよ」とのお言葉。 道は(夜中だし)空いていたので、15分ほどでホテルに到着、チェックインを済ませると時刻はほぼ午前3時。 まぁまぁ空腹でしたが、レストラン等を探す気力も失せ、翌朝(と言っても数時間だけど)を待つことにしました。


   それなりに疲れているはずでしたが、眠気はなく と言うより、「25年間 ただ買いかぶっていただけではないか?」というショックで、意識は逆にピリピリとしており、ベッドに腰かけたまま、ただひたすら気持ちの落ちつけどころを探しました。
   空港から考え続けた仮説のひとつは「今日はたまたま例外の日だった」というもので、さすがのホノルルも365日 あの素晴らしい空気に包まれているわけではないだろう説です。 しかし頭の中のもうひとりの自分は、「25年前のあのホノルル空港こそが、たまたま例外だったのではないか?」と攻めてきます。 それを25年もの間 勝手に培養し続けただけではないのかと。

   その作業は、第1期アメリカ探検を終え、6年以上ぶりに日本の地を踏んだ時の「ある違和感」までさかのぼりました。

ロスから日本へ

   第1期アメリカ生活の後半3年間を過ごした、ロスアンゼルスの自宅周辺の街並みをご覧ください。

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   広い道路に加えて、道路から家々までの間に「フロントヤード」という前庭が横たわります。 視界は広々としていて、たまに大型トラック(は進入禁止)が入ってきても余裕で見送れます。 

     そんな風景に慣らされた目で帰国して、実家へ向かうと、思わず「こんなに狭かったか!?」と叫びそうになりました。

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   まるで、小人の国に迷い込んだガリバーの目線です。

   宅配便の軽トラックが入ってくると、道を譲るのもなかなか困難です。 実際 彼らは、アメリカのドライバーならあり得ないだろう狭い小路まで、平気でどんどん突っ込んできます。
   噂に聞いた「逆カルチャーショック」です。


   それなら今回のは「逆逆カルチャーショック」ではないか?

   スーツケースを開くことも忘れて、ベッドの上で、いつまでもいつまでも自問自答を繰り返しました。 回答が頭の中には絶対にないと分かりながら、とめることはできませんでした。


ワイキキ美女たち

      小鳥のさえずりが聞こえ始めたら、もう居ても立っても居られませんでした。 フロントのおばさんに 開いている飯屋がありそうな地域を聞くなり、憧れのワイキキへ飛び出します。
   雨はやんでいましたが、空は鉛色で やっぱ肌寒かったです。

   おばさんが言っていた通り、開いている店は未だ なさそうでしたが、それでも辺りを見まわしながら歩いていると、背が やたら高いおネェちゃんにいきなり肩を抱かれました。


♡「私を探しているの 赤ちゃん?」
   背が高いはずです。 20cmぐらいのヒールをはいています。
♥「いいえ、何か食べられるところを探しています  ご存知ですか?」
♡「私を食べられます  はちみつちゃん」
♥「あなたは大き過ぎます  そんなに食べられません」
♡「たくさん値下げしてあげます  私を食べなさい   私の恋人」


   .... なかなか美形だったので、もう少し続けたいところでしたが、もちろん構っているひまはありません。
   それよりも気になったのは、この寒空にサーフボードを抱えている半裸の男女が何人も居ることでした。

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   話しかけ易そうな美女♡に、思い切って「Aloha こんなに寒いのにサーフィンするのですか?」とたずねました。

♡「Aloha サーフィンしたら暖かいわよ」
♥「へぇ でも昨日今日と寒いですよね?」
♡「昨日は暑かったわ  あなた ここの人?」
♥「昨日の夜に飛んできました」
♡「昨夜は寒かった 雨だったもの」
♥「雨は寒いですよね?」
♡「雨で暖かい時も多いの ハワイは」
♥「雨で暖かい?」
♡「寒いのが嫌いなのね 心配しないで 直ぐ暖かくなるから」
♥「ほんとですか?」
♡「今だって暖かくなったじゃない?」
(本当に暖かくなっています)
♥「ほんとだ!!」
♡「ハワイは直ぐ暖かくなるの」
♥「それは cool です!!」
♡「ㇵㇵㇵ cool ね^^  よい日を過ごしなさい」
♥「素晴らしい日を過ごしてください Mahalo♡」
♡「Aloha:)」

   嘘ではありません。 25年前にはほど遠いですが、急に陽が差して、あっと言う間に暖かくなっています。 心まで暖かくなりました♪   素敵な街です、 Waikiki

   私は Waikiki と恋に落ちました。


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何度も送迎を繰り返すことによって分かったのですが、ホノルル空港(Daniel K. Inouye International Airport)は海岸沿いに位置するので、天候はころころ変わります。(ワイキキももちろんそうです) ザァーっと大雨が降ったと思ったら、5分後にカンカン照りなんてことも珍しくありません。

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   っということは、25年前 私を一瞬にして完璧魅了したあの神歓迎も、少しタイミングがずれていたら何てことのない第一印象だった可能性が大ですね?
   まさに「ホノルルの正体」は勘違いだったのかも知れません。 しかし その勘違いのお蔭で、私は今 たいへん幸福です♡ 心の底から感謝しています。


Aloha Honolulu and Mahalo

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