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カメラの明るさの設定

カメラを扱っていると立ちはだかってくるのが、シャッタースピード・F値・ISOの壁。いわゆる写真の明るさを決める3要素です。

適当に設定すると真っ暗or真っ白になること必至で、ピントを合わせる前にまったく写真として成り立たなくなる可能性があるので慎重にならなければいけない。
いろんなところで明るさの設定について解説しているところがありますが、私なりに解説するとしたらどうするか考えてみました。

まず最初に結論から言ってしまう

難しく考える必要はありません。この表をご覧ください。

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シャッタースピード・F値・ISOの欄それぞれ右側に0〜10または0〜-10の数字がありますね。

右側の数字の合計を、
晴れなら14〜16
曇りなら10〜13
明るめの室内なら6〜9
暗めの室内なら2〜5
ほぼ明かりがないときは0付近
星空などほぼ光ってない場合は-3程度
となるようにそれぞれの欄の左側の数値で設定すれば、人間の見た目のように写ると言われています。

例えば曇り(合計13)のときは、
シャッタースピード 1/250(8)+F値 F5.6(5)+ISO 100(0)=13
が一つの答えです。

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式はもちろん8+5+0の一つではありません。
1/1000(10)+F4.0(4)+ISO200(-1)など、たくさんの答えがあります。

でもこんな表、頭の中に入れられない

いやいや簡単に言うけどこんなの覚えてられないし毎回計算するの面倒だよ。
同感です。私もそんなこと考えていません(笑)。
それにあくまで目安としてなので大雑把に「晴れの場合は14〜16」と言いましたが、14と16の2つ差はかなり明るさが違います。

じゃあこの説明なんだったんだよ!
ってなりますよね。ですよね。

でも、この考え方だけでも頭の中に入れているとかなり違うんです。理由は後述。

カメラが勝手に計算してくれる

ではこの表のことを考えていないならどうしているのか?
一眼レフ等をお持ちの方はよくご存知かと思いますが、カメラが計算してくれるのに従うのです。
今のカメラは優秀で、フルオートで適切な明るさにしてくれるモードがあります。AutoモードやPモードと言われますね。
例えばPモードにして撮りたいものにカメラを向けたとします。
シャッターボタンを押し切る直前、いわゆる半押し状態にしたとき、ピピッと心地よい電子音が鳴るのと同時にそれぞれの数値が出てきます。

名称未設定

部屋の蛍光灯を全灯の明かり、明るめの室内(6〜9)と推定される中で、
1/10(3.3)+F4.0(4)+ISO400(-2)=5.3
となり、ほぼ外していません。(※表では1ステップで表記してますがカメラでは1/2or1/3ずつのステップがあるため小数点が出てきます)
このように、ある程度はカメラが計算してくれるのです。

でも、カメラの計算は万能ではない

とはいえカメラが算出してくれるその数値は、あくまで目安です。

何を基準に明るさを決めたらいいのかという撮影者の意図が伝わらない
お花畑で人物を目の前に置いて記念写真を撮るときに、背中側から日が当たっている(逆光)場合、
A「明るさの基準を人にして、暗いのを明るく持ち上げよう。もともと明るい背景がもっと明るくなってしまうが白飛びしても仕方ない」
B「明るさの基準はお花畑にしよう。その分人物が暗くなっても仕方ない」
カメラはそれはわからない。いや実際には上級者モードで「ここのピンポイントで明るさを測って欲しい」と設定することもできるんですけど、考えることが一つ増えてしまうのですよね。

白いものを暗く、黒いものを明るくしようとする
白いものは光を跳ね返し、黒いものは光を吸収する性質上、白い=明るい=明るすぎるから暗くしよう。黒い=暗い=暗すぎるから明るくしよう。そう認識します。

グレーカード白黒

左からグレーカード、白、黒をファインダー内いっぱいに撮ったもの。
グレーカード 1/50(5.6)+F4.0(4)+ISO400(-2)=7.6
白 1/80(6.3)+F5.0(4.6)+ISO400(-2)=9
黒 1/10(3.3)+F4.0(4)+ISO400(-2)=5.3
グレーカードとはカメラの明るさの基準と言われている色。つまり、ここの明るさは7.6なんだとカメラは言っているんですが、白を写すと9、黒は5.3とバラバラ。ちなみにすべて同じ色に見えるように写ります。白はグレーに近づくように暗くし黒はグレーに近づくように今度は明るくする、という計算ですね。
例えば道路の風景を撮っているとして、白い車が通りかかったらその白い車を認識し、写真全体に影響して暗くなることがあるのです。
最初のカメラが勝手に計算してくれるよと話した、Pモードで明るめの室内(6〜9)に対してカメラが5.3を出したのというのは、背景が黒だったために明るく写そうとした結果かもしれませんね。

撮影者のイメージの問題

目で見える風景を撮るだけが写真の目的ではありませんね。
「見た目よりもすごく明るくしてふんわりさせたい」
「見た目よりも暗くしてクールに決めたい」
テレパシーが使えるわけもなく、これはさすがに機械であるカメラには指示しなければ理解してくれません。

ここで、表の考え方が生きてくる

オートに頼ると思ったよりも暗くなったり、ちょっと構図を変えたりなにか違うものが入ってくるだけで明るさがコロコロ変わってしまう。いいとこ取りをするにはどうすればいいか。答えは複数ありますが、考えられることを2つ。

カメラオートに任せて、その明るさを見て明るさを調整する(露出補正)
今撮ろうとしているものに対して、構図を変えたり何かが横切ったり見た目の明るさがしばらく変わらないのであればおすすめはこれ。
一枚撮って、液晶画面で確認してみる。暗いなと思ったら明るく、明るすぎると思ったら暗くすればいいだけです。
その方法を、露出補正と言います。

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この-3〜0〜3という数値、これが露出補正の調整量を決めるバーです。
そしてこの数字、これは最初の表と対応しています。
例えば一枚撮って暗すぎる、と思ったときは露出補正をプラスに向けます。そうすると。

名称未設定2

左 1/8(3)+F4.0(4)+ISO400(-2)=5 (露出補正0)
右 1/4(2)+F4.0(4)+ISO400(-2)=4 (露出補正+1)
露出補正を1上げたら、合計の数値が1下がりました。この合計数字は下がるほど明るく写そうとするという意味なので合っています。カメラでは明るさを5と認識したけど、私は4で行きたいんだよとカメラに認識させたのです。実際の写真も明るくなりましたね。
表の数字を知っていると、補正を+1かけるとシャッタースピード・F値・ISOのどれかもしくは合計で1ステップ変わるんだということを理解できます。(今回は1/8(3)が1/4(2)に1ステップ変わった)
これはPモードに限らず、Av(A)→F値は固定・Tv(S)→シャッタースピードは固定でも有効。他の値を動かして補正してくれます。

カメラオートに任せた後、すべての数値を自分で固定させる(マニュアルモード)
もうワンステップ、踏み込んでみましょう。
本当は今目の前にいる人物にずっと明るさを合わせて欲しい。だけど、背景が絶えず動いていて白いものや黒いものが行ったり来たりしていたら、撮るたびに明るさが変わって人物の明るさもコロコロ変わってしまう。
特に気をつけたいのは快晴の青空の比率。入れる量によって露骨に数値が変わります。それは先述した白いものを暗く、黒いものを明るくしようとするでお話ししたとおりです。
ならば、一度人物でこの明るさだって決めたあとに、マニュアルモードで全ての数値を固定させてしまえばいい。
やり方は単純に、写真を見てこの明るさで行きたいって思ったらその数値をマニュアルモードにコピペするだけ。
そのあと、シャッタースピードやF値、ISOを直接1いじったら、それは露出補正を1いじったのと同じです

ここまでが理解できると、例えばシャッタースピードが遅すぎてブレる、だけど明るさは変えたくない場合にどうすればいいかわかるようになりますよ!
1/250を1/1000にしなければいけないとき、合計数字はプラス2されますね。ということは、F値かISOをマイナス2すれば釣り合いが取れて、明るさは変わらないという相対的な考え方です。例えば下の表のように、ISO100を400にするというのが一つの答えです。

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まとめ

そもそもシャッタースピードやF値、ISOにはそれぞれの役割があって、ちゃんと考えなければいけない要素です(この話も後日したい)。だから最終的には全ての数値を自分で決めるのが理想なんですよね。
でも最初からここの明るさはこのくらいだからそれぞれの数値はこれで、なんて考える必要はなくて、カメラに任せたらこの数字が出たから、そこからプラスマイナスして調整しようって感じでいいと思うんですよ。
問題は3要素の表記を単純に1ステップ刻みの数字にしてくれていないから、1ステップがどれくらいかすぐにわからないってところですよね。さっきの1/250から1/1000は2ステップだというのがすぐ変換できるかどうか。これは慣れあるのみです。(カメラ側でわかりやすく出してくれないかな……)
もちろんこの1ステップのルールはありますよ。いずれこの話もしたいですね。

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