マガジンのカバー画像

雑感拾遺:“ただあること”を聴く

34
Ecrits divers : 日々の生活の折ふしに聞こえてくる“ただあることども”に耳を傾ける
運営しているクリエイター

#映画

【新刊案内】台本集『赤ずきんと死神』

筆者の作曲した歌劇(オペラ)等の台本について、このたび電子書籍の形で公開することと致しました。 ※なお本電子書籍は Kindle Unlimited に対応しております。 一人の少女の旅を描いたモノローグ・オペラ《赤ずきん》(2007) のほか、古典落語に題材を仰いだモノドラマ《死神》(2009) と《一眼国》(2013)、同じく古典落語を題材としたオペラ作品(〝ラクゴ・オペラティック〟と銘打たれておりますが)《なりひら・こぉど》(2013) と《鰍沢綺譚》(2013)

少年と老芸術家の放浪記

本記事は10年以上前に書いたまま〝お蔵入り〟状態になっていたものである。現在の筆者の語り口と異なる印象もあるかもしれないが、あえて加筆せず、そのまま掲載する事をお許し願いたい。 《家なき子》(2000, France) 今《Chanson de Rémi》と題する小品に取り掛かっています。題材の由来は、児童文学の古典的名作『家なき子』(Sans famille)から。 小さい頃に初めて読み通した長編小説がこの作品だった事もあってか、エクトル・マロのこの作品には少なからず

Zazie, ou une fleur de Malle

本記事は10年以上前に書いたまま〝お蔵入り〟状態になっていたものである。現在の筆者の語り口と異なる印象もあるかもしれないが、あえて加筆せず、そのまま掲載する事をお許し願いたい。 【映画レビュー】『地下鉄のザジ』(1960, France) 大貫妙子さんのアルバム『Comin' Soon』に《地下鉄のザジ》というタイトルの歌が収録されています。大貫さんのチャーミングなメロディに、大人を向こうに回して巴里の街中を駆けずり回る少女ザジの姿が描かれた佳曲。 “ザジ”の名前はこの

“或る芸術家の人生の挿話”

本記事は10年以上前に書いたまま〝お蔵入り〟状態になっていたものである。現在の筆者の語り口と異なる印象もあるかもしれないが、あえて加筆せず、そのまま掲載する事をお許し願いたい。 【映画レビュー】『幻想交響楽』(1942, France) 子供の頃TVでこの映画を偶然見たことがあり、ベルリオーズとその代表作『幻想交響曲』の名はその時初めて知りました。後日「人名事典」でこの作曲家の写真を見た時には、「わ、映画とそっくりだ!」と驚いたものです。 その後、その『幻想』の全曲を聴い