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雑感拾遺:“ただあること”を聴く

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Ecrits divers : 日々の生活の折ふしに聞こえてくる“ただあることども”に耳を傾ける
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【新刊案内】台本集『赤ずきんと死神』

筆者の作曲した歌劇(オペラ)等の台本について、このたび電子書籍の形で公開することと致しました。 ※なお本電子書籍は Kindle Unlimited に対応しております。 一人の少女の旅を描いたモノローグ・オペラ《赤ずきん》(2007) のほか、古典落語に題材を仰いだモノドラマ《死神》(2009) と《一眼国》(2013)、同じく古典落語を題材としたオペラ作品(〝ラクゴ・オペラティック〟と銘打たれておりますが)《なりひら・こぉど》(2013) と《鰍沢綺譚》(2013)

〝野良ガイド(?)〟に遭遇した話

某国の工作船が展示されている事で知られる横浜の海保資料館。そこで公式にはいないはずの〝解説スタッフ〟に遭遇したという話題が流れてきた。 美術館や博物館で、一見の来場客に対し、そのようなボランティア精神を発揮してくれる御仁 –––––〝自主解説員〟あるいは〝野良ガイド〟とも名付けるべきか ––––– をしばしば見かける。中には間違った情報を伝えていたりするケースも、となれば有難迷惑なハナシで、善意からか自己顕示欲からかはともかくとして、出来る事なら敬して遠ざかりたいものではあ

10年そこそこの記憶ですら…

東日本大震災から13年。あの年に生まれた赤ン坊も中学生になるわけで、ことほど月日が経つのは早いもの。年齢を重ねれば「ついこの間」という時間の隔たりだが、その感覚的時間の近さは、必ずしも記憶の正確さを担保してくれない。 ここで述べられている事実はまったくもってその通りなのだが、そのように語っている人々のすべてが意識的に〝嘘を言っている〟のかというと、必ずしもそうではない場合もある。 人間は現実よりも観念で生きている領域がかなり大きい。目の前の他者と話をするにしても、家事や仕