たまに病名で検索する #エッセイ
私がさよならしたあの人の病名は書かない。なぜなら、同じ病を患った人やその関係者が私の経験を知ったら絶望しかないだろうから。
とある病の疑いがあるのでと入院した、その3日後にはこの世から居なくなっていた。検査入院のはずだった。治療方針の説明までも行き着かずに終わった。
一周忌が過ぎた頃、検索バーに初めて病名を入力した気がする。病気の仕組みを知ったところであの人の痛みはわからない。
今日も何となく、久しぶりに検索してみた。
――病名 闘病記――
現在進行形の闘病記を読むことで追体験でもしているのだろうか?私が遺族として誰かと共有できる経験は何か考えてみたんだけど、よくわからない。
今頭に浮かんだことは、入院間もない検査結果待ち中だったから、病院に大変なお世話になったという気持ちは正直一切なかったのに丁重に丁重にお礼申し上げて取り乱しもしなかった私、バカみたい。
あんなときは人目も憚らず泣きわめいて、誰かに怒りをぶつけたり、そんなことをしても良かったんだ、多分。
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