顔ナシモブキャラの悲劇

私のこの想いは 一体 何なんだろう…?

『推し』への想いは 叶わなかったあの人への『片想い』の代わり…?
それとも…?

ステージの上で歌う『推し』は
シンデレラの魔法をかけられた
キラキラと光り輝く天使そのもの…

『推し』の笑顔は 私達ファンに
太陽の光りの如く向けられるもの…
その笑顔を 決して 曇らせちゃいけない…
『推し』の心を 悲しみに染めてはいけない…
笑顔を消してはいけない…

頭の中では分かっている…

太陽のような『推し』に近づき過ぎると
心がジリジリと焼け焦げて 灰と化し
跡形もなく消えてしまうから
決して 近づき過ぎちゃいけない…

心がメロメロになるのは 『推し』の魅力そのもの
ファンにメロメロになってもらうのが
『推し』のお仕事だから…

私達ファンは 『推し』の歌声に癒やされて
頑張っている『推し』の姿を見て
励まされている…
それだけで いいじゃない…?

決して 『推し』のプライベートに
介入しちゃいけない…
『推し』に認知してもらおうだなんて
思っちゃいけない…

そんな事を望む資格なんて
私には無いのだから…

私の 醜くて不細工な顔と心を
『推し』に見られてしまったら
私は『推し』の前から
姿を消さなきゃならなくなる…
もう二度と 『推し』を観に行けなくなる…

『推し』に会えなくなるくらいなら
私は 『顔ナシのモブキャラ』のままでいい…

私の醜くて不細工な顔を見られたら
もう二度と 『推し』に会っちゃいけない…

私は『推し』にとって あくまでも
『顔ナシのモブキャラ』だから
たとえファンサだろうと
『大好き♡』を言わせてはいけない…

私の顔を見た事ない『推し』を
『大うそつき』にしてはいけない…

言えるわけない…

言うわけがない…

顔を知らないのに 『大好き♡』なんて
言わせちゃいけない…

心がザワザワして落ち着かない
『推し』への想いは あくまでも
『疑似恋愛』に留めないと
私の心が 引き裂けてしまう
抑えておかないと ダメになってしまう…

『推し』の笑顔と歌声は ファンみんなのもの
だけど 『推し』の心は 誰のものでもない
『推し』自身のもの…

私は『顔ナシのモブキャラ』だから
これ以上の事は 一切 望んじゃいけない…
『推し』の光り輝く笑顔を
消し去ってはいけない…

『推し』の笑顔が見られるのなら 私の心が
苦しみと悲しみに染まって
このまま壊れてもいい…

私は『顔ナシのモブキャラ』として
一生 顔も心も 『推し』に隠し通そう
それが私の『推し事』だから…


※2024年2月15日、作






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